2010年 08月 28日
○ 85周年企画 道展新鋭展 会場:札幌時計台ギャラリー 2階全室 中央区北1条西3丁目 札幌時計台文化会館 (東西の中通りの北側にあるビル) 電話(011)241ー1831 会期:2010年8月16日(月)~8月21日(土) 時間:10:00~18:00 (最終日は、~17:00まで) 【参加作家】 多数。 (DMを拡大して確認してください。) ーーーーーーーーーーーーー(8.21) 2階全室を使った公募団体選抜展です。 まず、3部屋の会場風景を載せます。 というか、僕にとっては会場風景が大きな意味を持っているので、やや多めの掲載です。 個別作品が基本なのですが、全体のムードが今展では一番大事なのではと思っています。そういう意味ではまさに企画展です。個別作品を離れた全体意思が良くうかがわれます。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() (以下、敬称は省略させて頂きます。) 作家が力(りき)んで制作しているのが良く伝わる展覧会だ。そういう意味では良い展覧会だ。一方で、レパートリーの少なさ、幅の無さという点では考えさせられる。 「Uー21」という展覧会がある。今回の主催者と同じ団体が、「21歳以下」という年齢制限での一般公募展だ。そのネーミングにあやかれば、今展は「選抜O-21、そしてU-?(35)」と言いたくなる。質の高さという点では今展のほうが良いに決まっている。だが、あまりに均質なのには困ってしまった。 もっとも、今展の中には35歳以上の方も選ばれている。例えば竹津昇だ。困ったことに、氏の作品の力の方向性が他とは違って見える。今展は概ね、外の外に拡散する自己主張だ。竹津作品は、力が中にこもっていて、それから外に発散する感じだ。中とは、まさしく具象画家としての対象そのものへの近接と、塗り込める粘着力だ。惜しみなく絵画制作時間を注ぎ、そこから立ち上がってくるものを確かめる感じだ。他との印象度が違いすぎて、当然の如く受賞対象外だった。 ![]() 今展での一番のお気に入り。 お気に入りなのだが、この作家はこんなに輪郭線もなにもかも強く描く作家なのかと考えてしまった。どこか抜けたいい加減さと、それでもちゃんと存在感なり臨場感を保とうとする画風と思っていた。 ![]() 今年道都大学を卒業された方です。 技法は基本的にシルクスクリーンが中心。そのシルクスクリーンの可能性と、作家自身のロマンを正直に重ねた作品。直向きな努力・試みと、作家自身の情緒を両立したい気持ちが良く伝わる。 ![]() 一人我が道を行く水戸麻記子、そんな画題だ。画題は面白いが、絵としての個性が少し弱かった。水戸ラン丸全開!!には少し遠かった。 以上が、今展お気に入りの3点です。以下、印象に残った作品を載せます。 ![]() 「波動の人・沼田彩子」だ。 おそらく手で大事な宝物を持っているというのがイメージなのだろう。僕にはどうしても縦長の作品に見える。右側が上になり、何かの塊が強く揺れながら浮遊形でドーンと存在している。 画家にはタフな画風もあると思う。さわやかな波動だけではこの人の画風には似合わない。「にじみ出るタフさと粘っこさ、それでいてサラッと揺れている」、そんな希望値に近い絵だ。 ![]() 「青の人・斉藤由貴」だ。 けれんもなく画きたいことを真ん中に画いている。その姿勢の強さに好感を持てる。問題はこれからだ。浮かんでばかりでは物足りない。夢は開かないと!!斉藤・夢物語だ。 ![]() 最近の石川潤は二つの画題に取り組んでいる。一つは、今までの流れと同じで、花弁のような装飾的なもだ。一つは、虫のような形が這い回るものだ。今回、それらを一つに組み合わせた。初めて見た。花の中で這い回る虫、そんなイメージだ。要するに「男と女」だ。しかも男が中心の絵だ。 いつになく知的な構成が目に付く。しかも、一所懸命に緻密に画いている。その分、青年の情念というか、美への憧れが薄く感じた。拡散度が少し弱い感じ。 僕はほんの少しばかり石川青年を知っている。おそらく賞に漏れて悔しいことだろう。その悔しさを次のバネにしたらいいのだ。 ![]() ↑:河合春香、「ふたりの朝」・油彩。 まさに男と女の組み合わせだ。暗い情念型の清武昌、明るく踊る河合春香。正直な青春時代の自己と求愛表現なのだろう。男は自虐的なポーズをとり、女は誇らしげにすり寄ってくる。 ![]() 画面を覆うヒモのようなものが印象的。絡んで解けないというという感じでなく、絵画的に整理されている。それでもジトッと若さを感じて好ましい。好みとしては、このヒモが画面を覆い尽くして出口無し、それでもしっかり女性が画かれている、そんなのも見たい。 ![]() 納屋の中。一個一個の農機具を並ばせて大きく描いている。それも、似たような大きさで差別を付けていない。竹津流平等主義が納屋で実践されている。器具の一つ一つのワイルド感、存在感、関係性は頼もしいが、そのことのために絵全体が小さく見える。おそらく、余りに強く一つ一つを、全体を作家は愛し過ぎたからだろう。抜ける部分が無くて、愛に息苦しさを感じる。
by sakaidoori
| 2010-08-28 15:48
| 時計台
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![]() 丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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