栄通記

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2010年 08月 27日

1353) 市民ギャラリー 「第55回記念展 2010 新道展」 8月25日(水)~9月5日(日)


○ 第55回記念展
   2010 新道展


 会場:札幌市民ギャラリー
     中央区南2条東6丁目
     (北西角地)
     電話(011)271-5471

 会期:2010年8月25日(水)~9月5日(日)
 時間:10:00~17:30
   (最終日は、~16:30まで。)

ーーーーーーーーーーーーーー(8.26)

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 久しぶりの公募展鑑賞。
 華やかで楽しい市民展、そういう印象だった。挑発的かつ挑戦的影はほとんど見受けられない。インスタレーション作品も、実質は立体作品がほとんどだ。いつになく楽しい気分で見歩くことができた。

 新道展は道展、全道展との違いを出すためにインスタレーションを会の個性として強く打ち出していた。今ではか細き一ジャンルの感がするのみで、残念だが成功したとは思えない。理由ははっきりしている。
 この団体は主婦なり市民的女性の美の表現の場だからだ。グループ展なり公募団体の重要役職は男性がほとんどだ。一方で、絵画人口は圧倒的に女性だ。それも、中年女性というか主婦が大半だ。女が支えて男が指導するという構図だ。これからは定年後の男性も増えるとは思うが、女性ももっと増えるだろう。その場合、強烈な自己顕示ではなく、やや説明的な楽しい美の表現だ。その象徴が新道展だと思っている。

 試みに、今年の出品目録から、そのお名前で勝手に男女比を推測した。
 女性の占める比率は、会員では110名中58%、会友では53人中75%、一般では116名中63%となる。
 会を代表する人達(会員)では男性も多い。次代の会を支える人達(会友)では圧倒的に女性だ。実力的には劣るが、現在の市民絵画気分を反映している人達(一般)では女性は多いが圧倒するほどではない。その代わり、男子を含めた中高年齢者の比率はどうなんだろう?かなり高いと思う。
 そして、展覧会を実際に見て概観すれば、市民絵画の正直な反映の場になっていると思う。

 話をインスタレーションに戻そう。インスタレーションとは空間全体と美的にかつ知的に関わる表現だ。別次元空間を創出して、腹一杯笑い転げるとか、美術でない領域までをも視野に置いて突き進む。何より経験と明確な絵画思想が必要だ。
 おそらく、市民絵画制作者はそこに自分の美学を求めてはいないのだろう。


 さて、本日はいきなり玄関ホールで伊藤みゆきさんにお会いした。
 何はともあれ、彼女の作品のある3階奥の間に行くことにした。
 (以下、敬称は省略させて頂きます。)


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     ↑:一般・伊藤みゆき、「GRIMSON」・インスタレーション F10×8枚。

 黒い池から蓮ならぬバラが凝固して浮き上がり咲いている感じ。
 インスタレーションというよりも、組み合わせ自由で凹凸のある絵画作品と言ったほうが良い。インスタレーションの拡散性やビックリ性よりも、絵画的収縮性が強い。単純に言えば、床に置くにはメリハリが弱い。床から生まれると言うよりも、床に沈んでしまって消え入りそうだ。要するに空間に負けている。
 それではダメな作品かというと、絶対にそうではない。何が良いかというと、可能な範囲で沢山作品を持ってきたことだ。その根性が良い。公募展とは画家根性を研くことだと思っている。
 「クリムソン」、真っ赤になる、あるいは血なまぐさいという意味だ。まだまだ血なまぐささの表現に躊躇している。血(深紅)のオドロオドロした拡がりよりも、暖めあうこぢんまり感が強い。この作品を壁に横一列に並べたい。少女、熟女、老婆の女の七変化が見れるかもしれない。


 以下、ランダムに作品の紹介です。


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     ↑:会員・佐藤萬寿夫、「北の風」・油彩 P100。

 以前は春夏秋冬を明るく讃歌していた。笑い声が聞こえる楽しい詩であった。
 病気になり、手が不自由になられた。回復しての初めての個展の時は、慣れない手での制作ということで、その拙さが児童画的な遊びと深みを醸し出していた。建物などは人と人との交わりの慈しみでもあった。
 今作、もはや描法としての拙さの味わいなどは吹っ飛んでしまった。間違いなく詩である。暗めの色調だが、あどけない目と五感でしっかりと周囲の空気を画いている。今展一の詩である。


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 ↑:左から、会員・櫻井由紀子・「車窓から」・油彩 S60。
      会員・居島恵美子、「甦」・油彩 S100。
      会員・本間良子、「終焉」・アクリル F100。

 静かな楽しさのある組み合わせだ。特に居島恵美子が好きだ。軽さが良い。何を画くというのでもなく、ピンクに誘われて軽いそよ風が寄せてくる。以前は少し角張った感があって、「悩める居島恵美子」というムードがあった。きっと、吹っ切れたのだろう。



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     ↑:新会員・すとうえみ、「幻日」・油彩 F100。

 前回は目の下にひっかき傷があった。作品としての傷というより、輸送途中で生じた破損のようにしていた。今回は、それほど生々しくはないが、目の下の頬の部分をこだわりを持って画いている。
 単なる奇をてらっての行為か、止むに止まれぬ行為なのか?
 しなやかで綺麗な絵だ。さて、この写実力、何を目指しているのだろう?個展をして欲しい。その表現したい方向性をあれこれと楽しみたいものだ。



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     ↑:左側、会員・佐藤愛子、「探知犬」・鉛筆 F130。
     ↑:右側、会員・井手宏子、「ゆめ ~夢」・油彩 F100。

 佐藤愛子はもっとも好きな画家だから紹介は外せない。モノトーンとカラーの二本刀の表現者だ。
 鉛筆画だ。何を画いているのかは判らないところがあるが、気にしない。画家は犬に成り代わって、何かを嗅ぎ廻っている。


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     ↑:会員・佐井秀子、「奏」・油彩 P100。

 印象深い作品。なぜ印象に残ったのか?コンパクトな詩情とでもいうのか?肩肘張らない流れとでもいうのか?下部の丸みを帯びた描写が全てを飲み込むような、そして上部の縦縞の流れがかすかな不安を暗示しているような・・・。



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     ↑:新会員・甲斐野弘幸、「跫(アシオト)-’10」・アクリル水彩 ガッシュ M150。

 正直な絵だ。色調は以前と同じなのだが、かつては妙に重々しくてムード過多だった。アシオトがかすれていた。
 今回、アシオトがステップを踏んでいる。一気に児童画的雰囲気が強まったのには驚く。こういう時期の後の数年後、より自覚的な強さの誕生になるのだろう。



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     ↑:玄関ホール風景。


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     ↑:2階の通路的展示場。



 もう少し載せたいので、②に続く。かなり後になります

by sakaidoori | 2010-08-27 15:24 | 市民ギャラリー


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