2010年 08月 24日
○ 石倉美萌菜・個展 『石倉美萌菜・初・個展!!!!』 会場:ギャラリー・門馬 中央区旭ヶ丘2丁目3-38 (バス停旭ヶ丘高校前近く) 電話(011)562ー1055 会期:2010年8月21日(土)~8月30日(月) (会期中無休) 時間:10:00~19:00 ※ オープニング・パーティー的なおもてなし会 ⇒ 初日 17:00頃~ ーーーーーーーーーーーーーー(8.21) 初個展だ。喜ばしきことだ。それも、きらびやかな門馬邸だ。だが、どこかミスマッチを感じる会場選択でもある。 (以下、敬称は省略させて頂きます。) まるでオープン直前の玄関先だ。この日の夕方に、オープニング・パーティーがあるから、会期の始まりはその時からかもしれない。早過ぎたかもしれないが、これも石倉美萌菜らしくて良いだろう。 石倉美萌菜は青春まっただ中の桃色悶々をテーマにしている。 選ばれたテーマというよりも、自分自身をさらけ出す、「そのまんまヒガシクン・スタイル」だ。当然、最大の関心は異性だ、男だ、性欲だ、メロドラマだ。喜びも苦しみ楽しみも男男男・・・。 だから「品(ひん)」を問題にはしない。この品の無さが、美萌菜スタイルには欠かせないのだが、門馬邸はあまりに品がありすぎる。美術・芸術を言祝ぐ時に「雅・画品(がひん)」という言葉がある。実に門馬邸にピッタリの言葉だ。この邸宅の居間から、庭を眺めるといい。一幅の日本画であり、清々しくリッチな気分を味わえる。 一方で美術には「情念の爆発」というものがある。「品(ひん)何するものぞ!」という挑発的な態度でもある。そこに性欲がからむと「雅品」などという言葉は吹っ飛ばされて哀れな存在になる。表現者は「品」と「品の無さ」という相反する両天秤の吊り橋を行きつ戻りつ彷徨うことになる。 石倉美萌菜は素晴らしき勘違いで、自己の表現スタイルとは不向きな場を選んだ。どう挑んだか? 残念ながら、予想に反してと言うべきか、予想通りと言うべきか、静かな個展になってしまった。「過去をさらけだし、今の私がある」というよりも、「苦しくも楽しい青春の一頁」という思い出展になってしまった。じゃじゃ馬娘・美萌菜が門馬邸令嬢に変身してしまった。全てがあまりに温和しく控えめで綺麗すぎた。「アッパレ玉砕スタイルの大失敗」にはほど遠かった。 彼女の中の「常識人」が克った個展だ。 確かに個展不慣れということもあった。全ての管理・責任は自分だけなのだ。邸宅での展示を続けていくと、だんだんと温和しく控えめで綺麗になりたいという心に占領されたのだろう。 展覧会初日、石倉美萌菜は「これではイカン」と思ったようだ。その混乱が玄関先の乱雑さだ。急遽作品を作り出した。僕はその完成形を見ていない。だが、この慌て振りを見れたのだ。すべての失敗の原因は「完成形」へのこだわりかもしれない。 あわてふためく石倉美萌菜・初個展の初日であった。 ←:10円お菓子の「うまか棒」を突き刺しているところ。これに本物の小さなキノコが載っかるそうだ。要するに一物大量生産だ。 会場構成はよく考えられているのだが、山谷の変化が乏しかった。 個人的には2階の奥のスケッチ作品が気になるところだ。ここは会場でも奥まった所だし、唯一の閉所空間=「美萌菜の部屋」でもある。いっそのこと、フライヤーのようなにぎにぎしい場所にしたらとは思ったが、どうなんだろう。 日記双六だ。 コマはお立ち台で写真を撮り、その場でパソコン入力してその人のポートレート駒ができあがる。 日記だから升目には小さな字がびっしり書かれてある。図太い絵に反して、細かい精神だ。この双六がもっとあったら壮大で見栄えも良かったことだろう。 以下、適当にスケッチ作品を載せます。
by sakaidoori
| 2010-08-24 11:11
| 門馬・ANNEX
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丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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