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栄通記

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2010年 08月 13日

1334) 画家のアトリエ・手稲富岡 「第8回 富樫正雄・アトリエ展」 終了・8月3日(火)~8月10日(火)


○ 2010年 第8回  富樫正雄・アトリエ展
    ー新しいリアリズムをめざして、「春近い泉のほとり」


 会場:富樫正雄アトリエ・ギャラリー
     手稲区富丘2条7丁目2-13  
     (JR手稲駅より徒歩約10分。
     国道5号線沿いのバス停より徒歩約3分。)
     電話(694)4218 (富樫耕)

 会期:2010年8月3日(火)~8月10日(火)
 時間:11:00~17:00
     (8日はコンサートの為、~13:00まで)

※ アトリエ・コンサート ⇒ 8月8日(日) 16:00~
                  演奏楽器 チェロ&ピアノ
                 要予約(011)694-4218

ーーーーーーーーーーーーーーー(8.7)

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 その日は今日のように快晴だった。ただ、夕方から激しい雨模様でもあった。お馴染みの富樫邸テントが大活躍したことだろう。


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 今回のテーマは「リアリズム」。

 富樫正雄氏の中心画題は自然風景だ。
 労働風景とか建造物の擬人化からは遠い描き手だ。人物も描いてはいるが、依頼された肖像画が中心のようで、人の内面を追求する作家ではない。
 そういう意味で「何を描いたか」という視点で氏のリアリズムを考えるのは躊躇したくなる。描くテーマにブレはない。自然であり、身近な見える風景に対する美であり、輝きであり、愛だ。

 「何を」描いたかはひとまずおいて、「如何に」描いたか。
 そういう意味で、今展の展示は実に明快に氏の造形手法と感覚を浮き彫りにしている。会場入り口左側の作品たちだ。明快に二群に分けられる。


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     ↑: ①群。左から、「白いボタン」・1981年、(「プラムとサクランボ」・1989年、)「春近い泉のほとり」・1974年。


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     ↑: ②群。左から、「栗の木の秋」・1988年、「昼下がりの栗の木」・1988年。




 ①群(真ん中の赤い静物画は考察外)。
 いかにも油彩的で、塗りが画面全体を覆っている。とことん見える対象にこだわり、近視眼的に近づき、見えない向こう側の世界に迫ろうとしている。
 大事なのはそのボリューム感だ。輪郭がはっきりとしていて、ふんわりと大きな丸い膨らみ、それは造形であると共に強い愛情表現だ。大らかな自己顕示であり求愛行為でもある。雪の消えた凹みの部分ですら、ふっっくらとした造形の裏側、内面を表現している。

 ②群
 どこか日本的な描かれない間(ま)が、至る所に顔を出している感じだ。目の前の風景を描くと言うよりも、心はあらぬ空想の世界を遊び、その気分を風景に留め置こうとしているみたい。
 色は軽いのり具合で、ぞんざいとも言える筆跡が無数に走っている。

 ②は、①のボリューム感に反して、線が中心だ。①が体型作品ならば、②は体の内部の神経系統作品とも言える。①には若さがある、エネルギーの蓄えがある。②には透き間を楽しむ風雅の趣がある。
 そうは言っても②には①では明快な丸いふっくら感が樹の葉の姿として、中心のテーマから外れながらも大きな存在として描かれている。おそらく、このボリューム感は氏の原型なのだろう。かなりの高齢になって、その意味を変えていったようだ。絶筆でもある最晩年の作品は、②を更に進めて飛ぶ鳥を挿入している。「力・充実絵画」から「スピードと軽み・一瞬の絵画」へと変質しつつある。
 僕はその絶筆が氏の代表作だと思っている。僕のもっとも愛する作品でもある。次が、①群の「春近い泉のほとり」である。



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          ↑:「新緑のサンタルベツ川(蛇と会ったサンタルベツ川)」・1986年。


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          ↑:「真昼のニレ」・1985年。


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          ↑:「庭の秋」・1988年。


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by sakaidoori | 2010-08-13 16:40 | 富樫アトリエ


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