2010年 08月 11日
○ リパブリック展 唐牛幸史 竹本英樹 藤倉翼 横谷恵二 会場:テンポラリー・スペース 北区北16条西5丁目1-8 (北大斜め通りの東側。 隣はテーラー岩澤。) 電話(011)737-5503 会期:2010年7月27日(火)~8月15日(日) 休み:月曜日(定休日) 時間:11:00~19:00 協賛:木工房樹喜舎 ーーーーーーーーーーーーーー(8.4) 「山下邸」が主役。1930年頃に養狐業の邸宅として建てられたもの。旭ヶ丘高校の近く。職種柄、広い敷地を有していたが、今も住宅になることなく「山下邸」と同時に現存している。 老巧化と、諸種の事情により近々解体されるとのことです。 ![]() 儀式である。「弔いの場」以外の何ものでも無いであろう。 依代(よりしろ)のような聖柱が部屋中央を天高く屹立している。その柱には稚児をかたどった像が強く添えられている。 1階には、まるで主のような姿で大きな写真が鏡に貼られている。鏡は作品の光背のようにして光を受け止め発散している。 大仰な額縁に納まって、遺影としての作品が壁をにぎわせている。それらは2階の壁をも覆いうるさく自己を誇っている。そう、此処は死者(PUBLICー人々)の再生(re)の場なのだ。光に満ち清らかで聖なる場ではあるが、静けさを装ってはいるが、見えない音・聞こえない人々が時空を超えて重なりうごめき生者に眼差しを贈っている。うるさく賑やかな場なのだ。 それら多くの人々を迎え送る場なのだ。もうすぐお盆だ。その時この展覧会は閉じられ、祭りは終わる。 ![]() ![]() ![]() 展示は唐牛幸史が綴る「山下邸」の物語だ。作家と邸宅の関係はあくまでも他者の目だ。自分一人と山下邸との関係に重きを置いていない。展示の大きな役割を果たす写真作品は竹本英樹、藤倉翼両氏のものだ。邸宅をそれぞれの気持ちで二次平面に切り取っている。ビデオ作品は横谷恵二氏、このビデオはまるで透明人間が邸宅を徘徊して見ている「目」の動きのようだ。ねじれた空間を表現している。 その展示構成と展示意思が唐牛幸史なのだ。彼の手のひらで山下邸という固有名詞を通して地域(PUBLIC)の再生を夢見ているのだ。 そこに貫かれているのは他者を思う気持ちだ。あくまでも「思う気持ち」であって耽溺はしていない。優しくはあるが冷たくもある。上下目線がある。水平目線は写真家にゆだねている。 「リ・パブリック(共同体)」と謳ったところで明日から日の目を見ることはない。叫んだ所で、元気印で一時的に人は群れるがそれだけのことだ。 だが、唐牛幸史は明快な意思表示をした。現在美術において美学を前提にしながらも、美術として他者に対して明確な「意思表示をすること」を選び開陳した。それが今展の意義だろう。 賛否は見る人それぞれの見識であって、美術の領域ではないであろう。作品を通して表現者の心根に迫るだけだ。 ちなみに、僕自身はエゴイストであり、「パブリック」という用語からは遠い存在です。聴きもし見もし語りもするが、行動の人では無い。 ![]() 藤倉翼にとっては珍しい写真だ。メイン被写体である「樹」、それを中央に配置した見事な日の丸写真だ。 優しく気配りの行き届いた撮影者だと思っている。こんな風に堂々と相手と対峙するタイプではないだろう。「山下邸」というオーラが彼をそうさせたのだろう。撮影者にとっても記念すべき1枚だ。 以下、2階からの写真。 ![]() 2階の黒い板は今展の為の渡り廊下。渡るには怖いところです。 ![]() ![]() ![]() 2階の通路には土が敷き詰められ草が生えている。産毛のような草は展示中に頭をもたげ、背の高い草は日に向かって顎を出している。 甕は骨壺か?誕生と蘇生をイメージしている。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]()
by sakaidoori
| 2010-08-11 15:25
| テンポラリー
|
アバウト
![]() 丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
検索
最新の記事
ファン
カテゴリ
全体 ★ 挨拶・リンク ★ 栄通の案内板 ★アバウトの写真について ★ 目次 (たぴお) (時計台) 市民ギャラリー (写真ライブラリー) さいとう 大丸藤井スカイホール (ユリイカ) ミヤシタ テンポラリー af 北専・アイボリー CAI(円山) CAI02(昭和ビル) (大同) アートマン アートスペース201 大通美術館 STVエントランスホール コンチネンタル 資料館 門馬・ANNEX 百貨店 (カコイ・ミクロ) 4プラ・華アグラ 石の蔵・はやし (シカク) ☆道外公共美術館ギャラリー (アッタ) 奥井理g. ★ 案内&情報 ★ 訪問客数 ◎ 樹 ◎ 花 ◎ 山 ◎ 本 ◎ 旅・飛行機・船 ◎ 温泉 ◎ 個人記 ◎ 風景 ◎ 短歌・詩・文芸 ☆★ ギャラリー巡り 写真)光映堂ウエスト・フォー (いろへや Dr.ツクール) JRタワーARTBOX ポルト 写真)富士フォト・サロン 道新プラザ 紀伊國屋書店 S-AIR ◎ 自宅 (ニュー・スター) 札信ギャラリー (マカシブ) (自由空間) 真駒内滝野霊園 サード・イアー (どらーる) 区民センター ★★ 管理人用 山の手 富樫アトリエ (プラハ2+ディープ) ★ギャラリー情報 ★ パンフより 創(そう) (オリジナル) ATTIC 美容院「EX]内 ADP 粋ふよう エッセ ◎ 雑記 ★「案内版」アバウトの写真 ☆北海道埋蔵文化センター ☆三岸好太郎美術館 ☆本郷新彫刻美術館 ☆芸術の森美術館 ☆函館美術館 ☆札幌・近代美術館 ☆モエレ沼公園 ☆旭川美術館 ☆北海道開拓記念館 ☆帯広美術館 ☆関口雄揮記念美術館 (☆夕張美術館) ☆(倶知安)小川原美術館 ☆(岩見沢)松島正幸記念館 ☆(室蘭)室蘭市民美術館 ☆北武記念絵画館 ★その他 【道外・関西】 ー [石狩] [ニセコ]有島記念館 [岩見沢]キューマル 他 [音威子府] [深川] [苫小牧]博物館 [洞爺] ☆小樽美術館 市民ギャラリー [美唄] [江別] [室蘭] [小樽] [帯広] [恵庭] 夢創館 【北広島・由仁】 [函館] [夕張] [三笠] [赤平・芦別] 【幌加内(政和)】 (くらふと)品品法邑 (茶廊)法邑 (カフェ)れんが (ブックカフェ)開化 (カフェ)アンジュ (カフェ)北都館 (カフェ)エスキス (画廊喫茶)チャオ (カフェ・soso) (カフェ)ト・オン (カフェ)アトリエムラ (カフェ)サーハビー 槌本紘子ストックホルムキ記 (画廊喫茶)仔馬 (ギャラリー&コーヒー)犬養 Plantation CAFE BLANC(ブラン) - コレクション ■ 複数会場 公共空間 ー ◎ 風景 新さっぽろg. ー ○ 栄通日記 学校構内 ー ◎ライブ路上パフォーマンス 道銀・らいらっく (コジカ) ▲個人特集 (風景)サイクリング・ロード (風景)札幌・都心 A.S.T(定山渓) 趣味の郷 公共空間・地下コンコース 六花亭 ◎今日・昨日・最近の風景 500m美術館 Room11 アルテポルト・ART SPACE サテライト 【2010年旅行記】 【2010年 ロシア旅行】 【海外旅行】 【2012年上海旅行】 【震災跡地2回目の旅】 【2013旅行記】 ◎ 川・橋 OYOYO コケティッシュ ・我が家 レタラ カモカモ 北のモンパルナス チチ クロスホテル札幌 黒い森美術館 Caballer ▲原田ミドーモザイク画 SYMBIOSIS (ハルカヤマ藝術要塞) 群青(2016) チカホ space1-105 100枚のスナップを見る会 北海道市民活動センター 群青(2018) HUG(教育大文化施設) 札幌グランピスタ 大洋(大洋ビル) - 未分類 タグ
個展(242)
グループ展(183) 油彩画(183) 企画展(153) インスタレーション(115) その他(98) 学生展(93) 現代美術(74) 写真(71) 公募展(70) 写真展(59) 総合・複合展(43) 温泉・山・旅行・雑記(42) 彫刻・金属・ガラス・陶(40) 日本画(38) 北海道教育大学(37) 版画・イラスト(31) シルクスクリーン(26) 藤谷康晴(25) 卒業展(24) リンク
○ 美術関係以外
古い日記 (サカイ・ヒロシさんのブログ) ○ 美術愛好家のブログ Ryoさんのイートアート (サカモト・キミオさんのH.P.) 散歩日記V3 (SHさんのブログ) ○ 表現者のブロブ(相互リンク?) Photo Foto Blue (コバヤシ・ユカさんのブログ) 水彩の旅 (タケツ・ノボルさんのH.P.) アートダイアリー (マエカワ・ヨシエさんのブログ) 画像一覧
最新のトラックバック
以前の記事
2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2017年 08月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 02月 more... ブログパーツ
その他のジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
|
ファン申請 |
||