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栄通記

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2010年 08月 11日

1329) NHKギャラリー 「《四季・薬草園》油彩画展 2010・横山文代」 終了・7月30日(金)~8月5日(木)


○ 《四季・薬草園》油彩画展
    2010 横山文代



 会場:NHKギャラリー
     札幌市中央区大通西1丁目
     (大通公園の北側、NHKビル内)
     電話(011)232-4001 

 会期:2010年7月30日(金)~8月5日(木)
 時間:10:00~18:00
    (最終日は、~15:00まで)

 協力:北海道薬科大学

ーーーーーーーーーーーーーーー(8.3)

 会場は二部屋構造。以下、その二部屋の風景。
 (以下、敬称は省略させて頂きます。)

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1329) NHKギャラリー 「《四季・薬草園》油彩画展 2010・横山文代」 終了・7月30日(金)~8月5日(木)_f0126829_1983697.jpg



 緑の風景作家です。

 横山文代は好きな対象をビシッと真ん中に納めて力強く描く、これが基本姿勢だ。対象は風景であり、見たとおりに描くから完璧な具象画だ。直視する真摯さは好ましいのだが、「嘘」が無さ過ぎるのが最大の欠点だろう。いや、「絵」というものは根本的に嘘なのだから、画家自身の自覚の有無に関係なく間違いなくそこには「嘘」がある。その「嘘」さが見る人に魅力として、主張として伝わるかどうかだろう。
 そして、風景画の場合、写真という魅力的な対抗馬がいる。単なる写実的な絵では「絵」として一顧だにされない場合がある。横山文代は急速に絵が上手くなった。上手くなったが故に、その可能性が高くなったとも言える。
 だが、それは仕方が無い事だろう。皆なが写真を撮り、多くの人が絵を描くのだから「似た作品」は多くなる運命だ。それでも、「自分らしさ」という味の素を絵に加えて、描き続けるしかない。


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          ↑:「白い貴婦人」。

 本展の中では少し古い作品。
 この絵はもっとも良く彼女らしさがでているだろう。
 中央に描きたい木を直立させる。好きな緑色の木の葉という顔。そこに白いお化粧がチャームポイントとして華を添える。幹は写真では黒いが実際はそうでもない。細身の体で繊細で、緑を際だたせる存在だ。
 ひまわりの花のように、緑が中央で咲いている。


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          ↑:「九月の風」

 欲張りな女性だ。
 「道なりの模様が素敵だわ!なまめかしく横筋模様を描いてみよう。上手くいった。
 あー、この緑!強く深く新緑にしよう。
 木漏れ日が輝いている。何とか白で引き立たせよう。う~ん、難しい。よし、一所懸命に白くしよう!
 道の先も輝かせよう。希望の道明かりにしよう。」
 あれもこれも描いて元気な絵だ。全てが並列的で対等な主張でもあり、砂糖沢山のコーヒーのようだ。
 上手で綺麗な飾りの絵に限りなく近くなった。もったいない。


1329) NHKギャラリー 「《四季・薬草園》油彩画展 2010・横山文代」 終了・7月30日(金)~8月5日(木)_f0126829_9234442.jpg
          ↑:「光の詩」

 上の写真では分かりにくいが、絵のテーマは「中央での木々の塊と、そこに添えられた白い木漏れ日」です。原画はまさにそういう絵です。
 僕が横山文代・風景画が好きなのは、こういうどうでもいい対象を強く描こうとしている意思だ。一心不乱に画いている姿が想像されるからだ。
 悪いのは、作品を絵として収め過ぎなところです。額縁という枠が心の枠になってしまって、そこからの発散度や緊張度が小さい。もっと大胆で、もっと失敗した絵を見たい。

 今展は樹の「緑」を中心に、光や花を「白」でアレンジしていた。その中に適度に視覚を変えた作品もあり、リズム感もあった。課題は「自分らしさ」の自覚なのだろう。それも、強い自覚だ。

 

by sakaidoori | 2010-08-11 10:02 | ★その他


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