2010年 08月 02日
○ 伊藤光悦 「地平の光景」 会場:STVエントランス・アート 中央区北2条西2丁目 STV北2条ビル 1階ホール (南進一方通行の西側のビル。) 電話(011)207-5062 会期:2010年7月26日(月)~8月15日(日) 時間:月~金 9:00~18:00 土・日 9:00~16:00 ーーーーーーーーーーーー(7・30) ![]() (以下、敬称は省略させて頂きます。) 完璧に収まりの良い作品だ。作品は黒光りする壁の窓であり、その風景だ。砂塵の中の飛行機、砂から姿を出そうとしているのか?砂深く埋もれようとしているのか?黒枠に包まれた飛行機、葬送の儀式でもある。 今展の画家は多くの文章を作品に添えている。全作品を貫く画家の姿勢、何を表現したいかを明快に語っている。 確かに語りすぎかもしれない。「当事者の語り」は見る側に言語的命令を発するからだ。絵はいかに当事者が「説明」しようとも、見る方はそのことを求めて見ているのではない。絵という「視覚的言語」と対話しているのだ。画家の与えた素材を前にして、勝手な自己の美意識と自己解釈に溺れているだけだ。 だが時には作家の言葉も良いものだ。 ![]() 上の3点だけでも、伊藤光悦・絵画思想は多くを語っている。 文明の象徴である人工物と遺跡的背景。 地平線(水平線)の位置へのこだわり。基本は横ラインであり、そこをクロスさせる縦への配慮。要するに大地に「何か」が存在し屹立するという思想だ。 その何かに視点を合わせる時、それを「中央」に大きく存在させる。大きく描く。 そして、完璧な具象画家だ。その画かれた物は優しい。風化された物は角をそり研がれて丸みがつく。色は廻りと一体化される。「死ぬ時」のおぞましさや、破壊された表情は姿を消している。遺物は優しくあり、人は優しく見る。伊藤光悦は素直に優しく描く。 さて、光悦・語録を引用しよう。 昔見た映画のとそのタイトルを引用して、「(子供の頃、『空と海との間に』という映画を見た)・・・空と海との間に、あるいは空と大地との間に何があるのか、何を見たのか、・・・。 『空と海との間に』という言葉は・・・我が心に時間をおいて刻み込まれ、自分の視点の出発点になっているのに気付いた・・・」 「・・・人為的に分けられた境界線が緊張を生み・・・、境界線上で現実を露呈させている。・・・時代とらえようとするならば『境界線』は外せない。また、造形的にも境界線の解釈と表現は絵画の根本的な課題の一つだ。・・・」 絵をいつもいつも説明する必要は無いだろう。だがある時、画家が何にこだわっているのかを宣言するものだ。語りたい時がある。その時期を記憶に留めておこう。 ![]() ![]() 優しさとユーモア精神が生んだ傑作。 氏はお腹の大きな軍事飛行機を描いている。「あれは結局クジラだったのかー」と、変に納得してしまった。 全てを飲み込み悠々と大海を闊歩する姿、その姿は海の中なのかもしれない。だが氏にとっては、遥か水平線上に見えるのだろう。だったら浜辺に打ち上げられた「クジラ」を描こう、「何が見えるか、何が見えるか・・・」。画家の子供帰りの産物でもあろう。優しい目をしている。 ![]() ![]() ![]() ![]() (追って、タイトルを明記します。)
by sakaidoori
| 2010-08-02 10:56
| STVエントランスホール
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![]() 丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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