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栄通記

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2010年 07月 26日

1314) 茶房法邑 「向中野るみ子・展」 7月24日(土)~8月1日(日)


○ 向中野るみ子・展
        
 ・会場:茶廊法邑
    東区本町1条1丁目8-27
    電話(011)785-3607

 期間:2010年7月24日(土)~8月1日(日)
 休み:火曜日(定休日)
 時間:10:00~18:00
     (最終日は、~15:00まで) 

※ 作家在廊日 ⇒ 土日のみ。

ーーーーーーーーーーーーーーーー(7・24)

1314) 茶房法邑 「向中野るみ子・展」 7月24日(土)~8月1日(日)  _f0126829_1530557.jpg



 実に明快な展示方法だ。
 細長い会場に入って、真っ先に上の写真の左側の大作を見せる。
 次ぎに目を転じて奥の大作群を見せる。下の写真へと目を行かせる。

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 この二つの大作群をやや近めと、かなり遠目に一気に同時に鑑賞者の視界に訴える。その間の小品は、明快に部屋全体の為の、そして大作の為の飾りだ。リズムをつくり、抽象花柄世界の演出だ。

 抽象作品で、会場を一幅の絵巻のように構成している。作家のもくろみは成功しているだろう。
 さて、それでは個々の作品と、作品そのものの流れはどうなのだろう?

 以下、大作を近間から順に載せます。

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          ↑:「ハジマリ」。

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          ↑:①「ココカラ」。


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          ↑:②「firast imprssion」。 

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          ↑:③「illusion」。


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          ↑:④「記憶のカケラ」。



 2年前(あるいは3年前)、時計台ギャラリーでの個展を見た。濃紺の海老茶ムード一色の大作群だった。今展と同じような画題と画風なのだが、とにかく画面一杯に抽象模様が施され、「押し出し、張り出し、突っ張りの向中野るみ子の一本勝ち!!!」、そんな個展だった。今時の若い女性には珍しいアプローチだと思った。
 8年ぐらい前の学生時代の画風を覚えている。青水色一色の世界で、長方形という形だけが自画像のように在り、全体で心模様を表現していた。ムンムンする抽象画だった。交流するが、他者を意に介さず、ゴーイング・マイ・ウェイの人のようだった。

 さて今展、見栄えの強い発色を無くし、色自体の深みを追求しているようだ。だからだろう、「間」の果たす役割が増した。
 いろんな色へのチャレンジ精神も見られる。早い話が絵が華やいだ。以前の、いかにも修行中という画家特有の一本気が薄らいだ。
 「重なる模様」が主な人だったが、「流れ」を意図的に組み入れている。しかも、大胆なフリーハンド・ラインで幾何学的直線と会話しようとしている。

 どれもこれも面白い変化だ。面白いが、どれもこれも「ただ今悪戦苦闘中」という画家の冷や汗を見る思いだ。例えば
 ①の作品、暗い部分を遠慮気味に取り込んだ。その美学的意味の追求が弱いから、腰砕けになってしまった。
 ②・③の作品、遠くから見れば見るほど、直線で区切られた分量・領域・世界、いわゆる構図がしっくりこない。更に、背景処理という画かない部分の力と、画いている部分の執着心とがアンバランスな感じ。
 ④の作品、濃い色を囲む2本のラインが何とも不自然だ。その部分のボリューム感がこの絵の命と思うが、気配りが弱いみたい。

 それらの多くはこれからの画業で解決されるだろう。継続は技術の習得を生む。失敗や下手さをごまかす術を覚えるだろう。「ごまかし」や「手抜き」、僕はとても大事なことだと思っている。
 全てはきっと上手くいくだろう。

 だが、最後まで残る問題がある。いや、常に付きまとう問題がある。それを今展で言えば、「何の為の『空間処理』か、『間』か?『構図』とは?『フリーハンド』とは?」。
 見る人間も問い返す時がある。「何の為の絵画か?何の為に見るのか?」

by sakaidoori | 2010-07-26 17:58 | (茶廊)法邑


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