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栄通記

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2010年 07月 22日

1306) 時計台 「第7回 櫂展」 7月19日(月)~7月24日(土)


 第7回 櫂展

 会場:時計台ギャラリー 2階A・B室
      中央区北1条西3丁目
       札幌時計台文化会館
      (東西の中通りの北側にあるビル)
     電話(011)241ー1831

 会期:2010年7月19日(月)~7月24日(土)
 時間:10:00~18:00 
     (最終日は、~17:00まで)

 【参加作家】
 梅津薫 田崎謙一 福島孝寿 川本ヤスヒロ 斉藤嗣火 藤井高志 渡辺貞之 

ーーーーーーーーーーーーー(7・19)

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 いつになく初日に拝見。
 全道展を中心に活動されている仲間達展です。一堂に会すると男気の強さが目立ち、見る人の好みの分かれる所でしょう。作風の偏りは仕方がないというよりも、グループを形成するからには当然でしょう。画家の気合いの入りようも楽しみたいものです。

 何人かの紹介だけにします。


○ 梅津薫の場合

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     ↑:「断層のある風景 Ⅰ」・100号S。

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     ↑:「断層のある風景 Ⅱ」・120号F。


 藪の中をテーマにしていると思っていた画家が、マクロに関心を移したみたいだ。
 確かに構図などの強い作為性を感じるが、絵全体がきらきら輝いていて、鮮やかだ。上の絵が一番のお気に入りだ。
 「藪」というミクロへの関心は、「断層」という見えない構図の中に閉じこめられた。この断層の描き方や十字を切った枠や、四角に画面を区切って色違えをしたりと、くどいくらいに線と面という「構図」にこだわっている。余りに知的こだわりなのだが、結果として絵がコンパクトになり、そのコンパクトさからの拡がりを生んだみたい。色の均一性と発色で強めている。
 とにかく作家は大きく描きたいと念じたようだ。その気持ちの中に「人」を描きたくて仕方がないみたいだ。当然「女性」だ。思いが強すぎて、しっかり人を描きすぎた絵もあった。おそらく批判されたことだろう。それは仕方がない。描きたいことをそのまま描いた仕返しのようなものだ。おそらく、ロマンティックな気分なのだろう。
 梅津絵画の「知的構図」と「ロマン」、チョッピリ臭さを交えながら進んでいくのだろう。


○ 渡辺貞之の場合。

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          ↑:「木枯らし」・20号F。

 上の絵はB室出入り口の狭い壁に独立して置かれていた。
 暗い絵だ。
 氏は少年の人物デッサンを得意としている。一気な筆さばきで、少年の顔に現れた心理をえぐり出す。特に「嫉妬」とか「不安」という負の心理描写には凄みがある。上の作品は、デッサンでは生かされる描かれない地の白さを「消去」して、「描くこと」にこだわった作品だ。一にも二にも「暗さ」と「闇の深さ」を表現している。作家自身が見ることを追跡している。まさしく「目の人・渡辺貞之」が、目のみを強く強く描くことを押さえて、絵全体を強くして、「そこに暗き目」を発見させるように描いている。画家の原点を確認したいかのようだ。

 他の絵もそうだが、氏一人が自己の古き画風を取り戻したい面持ちに見えた。
 氏の画題は演劇の一コマの絵画化でもある。緊張の中のユーモアを忘れない。小道具が氾濫して、飾りの要素を強める。
 だが、今展の「ごっこシリーズ」、遊び心が薄い。総じて沈鬱だ。作家が歳を重ねながら、曇天心模様になるとは・・・、頼もしい限りだ。

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     ↑:「黒い羽根の天使 『占いごっこ』」・120号F。


○ 田崎健一の場合。

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          ↑:「clone baby」・100号変形。

 氏は肉体を豊満に画く。人と人の「結ばれ」に異様な関心を持つ。僕はこの「肉体」と「結ばれ」が田崎健一ワールドの主要なテーマだと思っている。今のところ、唯一と断言したいくらいだ。

 作品は「人のおぞましさ」を追求するかのようなスタイルだ。それを現代文明批判とも見れる。確かにそれはある。だが僕には、画家自身の体質をこれほど正直に表に出す作家も珍しいと思っている。画家自身の意識・建前は「社会告発」かもしれないが、無意識を現した「仮面」ではなかろうか。「人と人とが結ばれる」ことへの永久の願望を絵が語っているようだ。
 この赤裸々に醜き稚児の姿は、「見果てぬ夢」なのだろう。「結ばれたい、結ばれたい。否、一つになりたい、一つそのもので有りたい・・・」・・・尽くせぬ永久の夢なのだろう。


○ 川本ヤスヒロの場合。

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     ↑:「桂恋 A B C」・60号S 60号S100号S。


 今回は「桂恋シリーズ」です。さて、その意味は?「桂」を月に住む佳人と見立てて、あの世の人を恋する男心、とでも解しましょう。
 ロクロの目に鳥が飛んでいる。「鳥」も黄泉への使者にしましょう。遊び心と、心が離れていく恋心です。

 大きな大きなロクロ!淡々とロクロのみを最近は描き進めていましたが、すこしばかりロマン漂うロクロ目こころでした。


○ 藤井高志の場合

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     ↑:(正面の青くて大きな絵から右側が藤井高志作品。)

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 極端な筆致や構図を廃した、堅実な具象画です。それだけ他の作家達とは異質な感じです。異質な作品群の中で自己の絵画を試そうとしているようです。
 今回は、父?へのオマージュ画、自分自身の居場所を求める旅絵、モンマルトルの挑戦的な風景画、他の仲間に触発された実験絵画と、いろんな趣向の作品群です。この出品姿勢に、何よりもこのグループ展を楽しみ刺激を受けている「藤井高志」がいるのでしょう。

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          ↑:「モンマルトルの家」・50号F。

 人を排除した緊張感溢れる作品です。「黒い木」や「壁」など、象徴的納め方です。「モンマルトル」、故人との語らいの場でしょう。僕には不明ですが、敬慕する画家に由来する作品かもしれません。


○ 福島孝寿の場合。


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     ↑:「時刻(とき) Ⅱ Ⅲ」・60号S 100号F。

 いままでよりも彫塑性を強めた作品群です。
 右側の裸婦像、明らかに「ピエタ」を意識している。宗教性を追求する画家ではないと思っている。あくまでもポーズなり構図の研究の一環でしょう。
 白黒基調を強めてもいる。だから絵がシンプルに見えた。面を重視した観念的構図に、白黒という単純な主張がいどんでいるよう。


○ 斉藤嗣火の場合

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 先週の個展時の作品群です。既に紹介済みですから省略します。

by sakaidoori | 2010-07-22 09:47 | 時計台


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