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栄通記

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2010年 07月 15日

1298) 門馬 「日常にアートを Living with Art」 終了・7月7日(水)~7月14日(水)



○ 日常にアートを
   Living with Art


 会場:ギャラリー・門馬
     中央区旭ヶ丘2丁目3-38
     (バス停旭ヶ丘高校前近く) 
     電話(011)562ー1055

 会期:2010年7月7日(水)~7月14日(水)
     (会期中無休)
 時間:11:00~18:00

※ ギャラリー・トーク ⇒ 7月10日(土) 16:30~18:00 トーク
                          18:00~19:30 交流会

 【参加作家】
 国松希根太(彫刻) 久野志乃(絵画) 船山奈月(木工) 堀内亜理子(漆) 松川明日香(金工) 森つくし(陶芸) 吉本亜矢(家具デザイナー)

 企画:当館・本間真理

ーーーーーーーーーーーーーー(7・14)

 さわやかな作品会場です。お洒落で豪華な空間に、それぞれが目配せ気配りで優しく存在していて、ふんわりとした良い気分になります。

 会場風景を載せたいところですが、確認の取れた方だけの紹介と感想を述べていきます。
 (以下、敬称は省略させて頂きます。)


○ 久野志乃の場合


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     ↑:「均一にまぜる」・油彩 28×115㎝ 2010年。


 訪問の大きな目的の一つに、久野志乃・作品の近況に触れる事だ。

 一昨年のテンポラリー個展では、あの会場の闘う姿勢というのか、古き民家のムードにチャレンジするような、気合いの入った作品だった。意欲満点で好ましい個展だったが、二つの事が気になっていた。
 一つは余りに過度な攻撃心、その言葉が言い過ぎならば「将来に対するチャレンジ精神」の強さだ。
 悪いわけではないのだが、今までの久野・ワールドとは異質な感じだった。一過性のものか、これからの通奏低音になるのかが気になった。
 一つは、願望というか理想化が強すぎると思った。

 要するに、どこか思弁的というか観念的で、「感じる感じる久野・アンテナ」とは違う感じがした。
 例えば、今展のフライヤーにも使われているが、少女が背を向けて、向こうに手を振っている絵だ。僕はこの絵を作家の願望表現とみている。さわやかで好ましい作品だが、作家自身がこの願望表出に耐えれるのかと思っている。だって、「身近な空間に感じる感じる久野アンテナ・絵画化」という彼女の絵の魅力が全然無い。一つ間違えば、感じる事を放棄した絵ともみれる。

 さて、そんなことをこの1年ほど思いめぐらしていたのだ。
 今回、色がさわやかに発色している。上の作品、ちょっと素直すぎて物足りないと思う向きがあるかもしれないが、これが彼女の魅力だ。
 「均一にまぜる」、何とも武骨なタイトルだ。彼女が求めて止まない不可視な世界、それに迫る画家自身の肉声だろう。混ぜたらどうなるのか?いったい、何を混ぜるのか?混ぜてみよう。色は混ぜたら濁るのだが、張り紙状におかれた色はぽこんぽこんと浮いている、光っている。

 「最近、朝描いているのです」と作家はいう。
 「それは健康的だ」
 「健康的って、こういうのかなって思ったりして・・・」
 朝陽をもらって、素直な気分で描いているのだろう。今の気分は色を楽しむ事、なのかもしれない。

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          ↑:「山のまぼろし」・油彩 100×53㎝ 2010年。

 とにかく黄色が光っていた。黄色の空と山と青い水と白い何か。床の間仕様だ。
 水の好きな画家だ。水だけを描いたらどうなるのだろう?昔は直向きに水にチャレンジしていた。


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     ↑:「透き通った耳」・油彩 98×108 2010年。

 今展一の大作。
 チョット説明的で、彼女は力を入れて描くと、その説明が物足りなく思う。「木」は「水・川」から生まれた「生命樹」なのだろう。そこに何かの実体を託しているようで、そんな実体は無いのに・・・。夢想・無想するだけなのに。

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     ↑:「あたらしき島」・油彩 83×53㎝ 2010年。

 先に書いた、手を振っている少女の絵の続編なのだろう。チャント島を水を見ているではないか。


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          ↑:「水の名前」・油彩 28×28㎝ 2010年。



○ 船山奈月の場合。


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     ↑:「うつわ船」・胡桃 柿渋染め ミツロウ オイル仕上げ 17×165×5.5㎝ 2010年。
      「うつわ船」・浅田 ミツロウ オイル仕上げ 13×160×5㎝ 2010年。


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 今回の船山奈月は細長い器にこだわっている。それと、吊りランプ(照明器具)の傘も作っていた。作品それ自体というよりも、灯りを包んだり、器材の中に何かを置いて楽しむと言った具合に、他とのマッチングに気配りしているようだ。
 「うつわ舟」、彫りはより薄くなっていた。彫り目をより隠すようになっていくのかな?


○ 吉本亜矢の場合

 「家具デザイン」と紹介されている。日常生活に「モダンなデザインを」、そんな意匠だった。どの作品も伝統工芸的落ち着いた世界を廃して、「チョット変、かなり変、それだから楽しい」という作品ばかり。
 ほとんどの作品が他の作家の置き場も兼ねているので、ピンポイントの紹介ができないのが残念なところです。
 一点だけ、掲載にはフライイング気味ですが、紹介しましょう。

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     ↑:「Oval」・95×75×75㎝ 天版は木鏡面塗装 足はウォールナット 2009年。

 シャープなんだけど、天版の円い形と厚みの不定形がきつさを押さえている感じ。高級な保育園テーブルみたい。



 森つくしさんの陶作品が面白かった。赤土による壺で、形のふっくら感と変形の具合が色合いと重なって、古代絵巻の人間模様を思ってしまった。また会えるのを楽しみにしよう。

by sakaidoori | 2010-07-15 12:54 | 門馬・ANNEX


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