栄通記

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2010年 07月 05日

1284) CAI02 「安藤文絵・個展  The Water clock」 6月26日(土)~7月10日(土)

○ 安藤文絵・個展
    The Water clock


 会場:CAI02・raum1
    中央区大通西5丁目 昭和ビル・B2 
    (地下鉄大通駅1番出口。
    注意⇒駅の階段を下りてはいけません。
        昭和ビルの地下2階です。)
    電話(011)802-6438

 会期:2010年6月26日(土)~7月10日(土)
 休み:日曜日・祝日(定休日)
 時間:13:00~23:00 

ーーーーーーーーーーーーーーー(7・3)

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 意欲的作品である事は間違いない。非常に表現が直截だ。「生と死」を見つめた誰かの「オマージュ」ではないかと察せられる。実際、会場に貼られた自己解説文には「ことしの4月30日に亡くなった一人の女性のオマージュ」と記されている。

 「血」の入った点滴器具、容器群は大輪の花束の姿をして天井を飾っている。献花にも見立てている。その「血」は患者に注がれることなく、ベッドにしたたり落ちてシーツに模様を刻んでいっている。鮮血というよりも鮮ピンクに染まっていている。
 壁には映像作品が流れていて誰かの「顔」が大きく写されている。片方の長い壁には、子供達などの古い家族の写真群が並んでいる。亡き人を偲ぶ思いでの一枚一枚なのだろう。


 余りにも古風なくらいに直接的表現で単純な強さを持っている。ファージーな時代に解説不要の作品を構築した点が好ましい。好ましいが、作家の私的なオマージュ(思いで・祈り)が平均値を超えて僕の胸に覆い被さったかと言えば、「そうでもない」というのが実感でもある。

 何故か?

 一つに、「点滴器具」と「落下して生まれたベッドの上の鮮血」という小道具に余りに強い作為性を感じてよそよそしい。

 「ベッド」とその空間の有り様に今一つ親和感を持てない。
 「死」という事実の前に会場全体の持つ距離感が余りに安定していて、圧倒されて舞台が迫る以前に、説明的に一つ一つを見てしまったからだろう。そう、余りに説明過ぎるのだ。作家は多くの象徴や暗喩を忍ばせてもいるのかもしれないが、「言葉」として説明可能のようである。「言葉」にならない「何か」が生まれる要素が少なく感じた。

 それと、個人的体験なのだが、4ヶ月前に交通事故を目撃した事も大きい。事故そのものは人をはねる「音」が始まりであった。近くにいた関係上、交通整理を5分ほどしたのだが、背後には小柄な「人」がうつぶせになり、頭の部分には「血」が流れていた。暗闇であったので「どす黒い血」に見えたが、2度とは見なかった。
 
 最近、「死」にまつわる幾つかのことがあって、やはり「他者の死」には心が塞がれる。解決不能の糸のもつれを編む感じになり、あまり「死」を考えないようにしている。


 表現者にとって「生と死」は永久のテーマであろう。私的な感覚・思い・主張が作品を通して見ず知らずの人と「生と死」のランデブーを起こす。
 今展のような表現はまずは作家の強い直裁性に拍手を送ろう。「生・性と死を見つめよ」と言っているのだろう。

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by sakaidoori | 2010-07-05 18:37 | CAI02(昭和ビル)


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