2010年 04月 19日
○ 佐野妙子 富樫はるか・2人展 vol.5 会場:4丁目プラザ 7階4プラホール 中央区南1条西4丁目 電話(011)261-0221 期間:2010年4月10日(土)~4月18日(日) 時間:10:00~20:30 (最終日は~19:00まで) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(4・17) ![]() ![]() ![]() ![]() 余りにも女性的な展覧会。しかも、若い2人。若いとはいっても30才近いし、その年齢の割にはロマンとかメルヘンとかが多いのかもしれない。だからといってロマンチック街道まっしぐらというわけではない。何かしら、小さな心のわだかまりがあって、そのわだかまりみたいなものが、絵を描く事によって少しずつ溶ろけていっているような、そんな溶ろけぐあいを見てはあれやこれやと考えている。だから、「何を、どう描いた」という事よりも、腕の運びとか、気持ちのノリ具合とか、進んでいるようで淀んでいるような作家の心音(こころね)をいろいろと想像しては楽しんでいる。 ・佐野妙子の場合 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 佐野妙子には三つの流れがある。上の写真作品が参考になると思う。 一つは、教育大学以来の本格的油彩絵画。古典的ともいえる濃密な重ね塗りだ。自分の中の悶々する気分を吐き出す絵画だと思っている。描く事によって何かが生まれてくるのでは、あるいは生みたいという真摯な作風でもある。 一つは、心象模様を腕の流れで一気に画布に定着させる。波が寄せては消えて、またやってくる、そんなリズムとしての絵画。水平線のように横に伸びる自由さ。 一つは、おっかなびっくりながらも年々強めている少女気分的な世界。とても正直なのだが、小品中心でか細い。 濃密な真摯さ、拡がる自由、正直な気分という三つの特徴。僕自身は自由な腕の振り、そこからうまれる線や色の七変化を期待しているのだが、自分自身のトゲを気にしているのか遅き歩みだ。自分を守りすぎた生き様だったのだろうか?絵を描く事によって自由になろうとしているみたいだ。 ・ 富樫はるか の場合 富樫はるかは日本画。 日本画特有の「線」を愛し、その線を武器に粘着的に自分の夢物語に迫り、それでは余りに疲れるのでキャラクター絵画でも楽しんでいる。 最近は昔のようなストレートな悩める青春恋慕的世界からは限りなく遠ざかっている。メルヘンに身を潜めて、その時その時の気分を過激にならずに旅気分で遊んでいる。それでも「旅」というテーマは、軽く物語を紡ぐのには便利なのだが、心穏やかなるぬ物事を思い出しもする。ましてや絵は意図を持って取り組んでも、絵空事としての世界が絵空事でなくなって作家を攻めても来る。身を潜めていた向こうの世界を旅する夢気分が頭をもたげたりする。 だが、そんなに深刻に見る必要はないのだろう。楽しそうでいて、ちょっともの悲しげな富樫夢路に付き合っていこう。画家本人の風采に似た、飄々とした歩みを楽しもう。 ![]() 小品です。もの悲しい遊園地です。誰もいない遊園地に完璧な円形の観覧車、富樫好みの放物ラインが印象的です。「道」、でしょう。流れ誘われ吸い込まれて・・・三日月が見守っている。小川未明風の童話や、永島慎二の漫画を思い出してしまった。こういうのを見れるのが富樫・日本画の魅力です。 「サムサーラ」、意味を聞いたのだが忘れてしまった。サンスクリット語でしょう。流れるような優しい響きです。サムサーラ、サムサーラ・・・流れ流れて何処何処行くの・・・。 ![]() ![]() どうも、今回の富樫はるかは仏教じみている。人物はそれらしくないが修行をしているお坊さんでしょう。樹が全てを語っている。万物を覆う生命樹でもあり、釈迦の沙羅双樹と理解したくなる。遊園地の絵のように、人が居ない方がよかった。 彼女の支持体は模様の付いた生地です。その模様を絵として利用しているのです。手抜き画法です。おそらく、花の園としての涅槃を、画面に埋め込み浮き立たせて絵を描き進めたいのでしょう。初めからそこに花がある、そこから始まる。 ![]() 一番左側の「snow」が特に好きなのです。円いラインと円い部分のボリューム感に惹かれるのです。つい夢うつつの世界に引き込まれるのです。菩薩さんの手のひらで遊んでいる迷える富樫はるかのようです。 ![]() ![]() 富樫はるかの久しぶりに見る香しき異性です。伶俐な死人のような彼氏です。 次は同性愛的「富樫ベルサイユ」だ. ![]()
by sakaidoori
| 2010-04-19 20:40
| 4プラ・華アグラ
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アバウト
![]() 丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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