○
濱田トモミ
『夜を行く 2010』
会場:フォトギャラリー ウエスト・フォー
中央区大通西4丁目6番地(駅前通り)
カメラの光映堂(本店)2F
電話(011)261-0101
会期:2010年3月16日(火)~3月28日(日)
休み:21日(日)・定休日
時間:9:00~18:00
(最終日は、~16:00まで)
ーーーーーーーーーーーーーーーーー(4・8)



「夜を往く」というタイトルだから、繁華街なりの猥雑な雰囲気なのだろうという先入観で会場に入った。
確かに「街」ではあるが、「もう一つの街」とでも言うべきか、「猥雑」さは微塵もない。「街」とは「人」と同義語だが、「人」は点景にすぎない。だから直接的な音もない。人のいない街、そこに「もう一人の自分」の影を探す、あるいは影と共に歩くという雰囲気だ。ワンテンポ遅れてやってきた自分を、今という空間で垣間見る行為というべきか。音は後ろの方で、写真とは関係なく流れている。
「街」とは言ったが、撮影者のこだわりは「夜」だ。だが、僕には「街の夜」が基本にあると思う。人間行為の大いなる痕跡が「街」であり、その「街」と平行に歩めなかった心理の残映がこれらの写真群だ。
それにしても写真はまろやかでコンパクトだ。なにより綺麗だ。撮影者は影のようにして街の片隅にたむろしているのだろう。その時空の美意識の反映でもあろう。ロマンティシズムだ。美しく飾りたいという女性心の反映でもあろう。ロマンはあるが自分の影をしっかり見るんだというギュッと詰まった意志を感じる。ストレートな正直さだ。写真の美しさ以上に、濱田トモミのひたむきな眼差しが印象的だ。