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栄通記

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2010年 04月 05日

1253) 大通美術館 「第7回 カルチュレ 2010展(女性4人展)」 終了・3月30日(火)~4月4日(日)

○ 第7回  カルチュレ 2010展

 会場:大通美術館 
    大通西5丁目11・大五ビル 
    (南進一方通行の西側。)
    電話(011)231-1071

 会期:2010年3月30日(火)~4月4日(日)
 休み:月曜日(定休日)
 時間:10:00~19:00
     (最終日は、~17:00まで)

 【出品者】 
 八木野蓉子 能登智子 栗城陽子 加賀谷智子 

ーーーーーーーーーーーーーーーー(4・4)

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 昨年までは、能登智子さん以外の3人展でした。栗城陽子さんが転居されたので、交代のような形で能登さんが参加されたのですが、やっぱり栗城さんも参加することになっての4人展です。


 その栗城陽子さんは意外なことに普通の静物画とおとなしい風景画の出品。昨年はシャープな心象風景画を出していたので、その後の変化を楽しみにしていたので、少し残念な感じ。

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     ↑:栗城陽子

 昨年は絵が画けれなかったとのことです。理由は分かりませんが、こうしてグループ展があるから、「画きたい、画かねばならぬ」と自分を叱咤激励しての参加でしょう。そして、来年はしっかりしたのを描くと仰っていた。遠隔地からの参加です。綺麗な額装にこだわらない、額無し作品でも良いではないですか。楽しみにしています。

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     ↑:栗城陽子

 ところで、上掲の風景画です。落ち着いた楽しさの伝わる作品です。栗城さんは器用というか、描けばそこそこ仕上げることのできるタイプです。僕は、この「そこそこ」というところを「もっともっと」という意識になればと思う。もっともっと樹が騒ぐ、曲がった地平線が可笑しさがこみ上げてくるようなラインに変貌する、空は静かな中にもさえずりが聞こえてきそうな色が散りばめられる、人にも見える小さい縦線ラインがピョコンピョコンと踊り出しそう・・・。今の言葉は僕の単なる夢ですが、栗城ドリームを広げて欲しい。


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     ↑:八木野蓉子、「かたち・シリーズ」。

 八木野蓉子さんには驚いてしまった。迷うことなく、自分がここにいるという強い自己宣言にもなっている。
 画家は年配女性です。人形画を見たことがあるので、具象が出発だと思う。近年は画かれる物にこだわらずに、更にコラージュにもチャレンジして画家心を広げることにトライしていた。新しいことを楽しんではいたが、絵全体の気分は線が細いというか、少しおっかなびっくりな処を感じていた。
 それがどうしたことか、ひつこく強く絵を描いている。その典型が下の絵だ。

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     ↑:八木野蓉子、「かたち Ⅳ」。

 とにかく手抜きの無い絵だ。グレーの背景も、洋画らしいスタンスで、緩むことなく描き重ねている。画題は三角や四角という抽象画スタイルだが、基本的にはこれらは三角という「物」、四角という「物」だと思っている。中央の青色の四角は自画像だろう。実景にはこだわらないが、静物画的な物・者ある世界だ。その物一つ一つに軽重なく目配せしている。この揺るぎない強さはどこからきたのだろう?
 もっとも、絵としては画家の強いスタイルに疲れるところもあるのは事実だ。はみ出たラインもなくて、きちっとし過ぎてもいる。抜けたところが無いので、余韻も生まれてはいない。だが、この絵の魅力は「オレがオレが」と、自己主張しているところにあると思う。それを好ましく見るかどうかは作品の問題ではなくて、見る方の好みだろう。

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     ↑:加賀谷智子、「マドベのハナ・シリーズ」。

 良さは大胆さだと思う。欠点はコンパクトにまとめすぎなのだろう。と言うよりも、画家の遊び心を花開かせるには、このサイズでは小さすぎると思う。だから、いろんなリズムを挿入して、しかも過不足無く見せようとすると、「遊びすぎ」、あるいは「作りすぎ」「まとめすぎ」に見えるのだと思う。
 30号ぐらいの大きさで、線や面を遊ばせたら。きっと初めはぎこちないでしょうが、もっと伸び伸びと可能性が拡がると思う。

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     ↑:加賀谷智子、「マドベのハナ 10-D」。

 刺激的な作品だ。赤が眩しい。白が大胆かつ鋭い。白という刃が、浮き出て目に突き刺すようだ。


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     ↑:能登智子、「深音」。

 新道展の会友。額装の仕方や、絵の勢いが図太いというか、他の方とは明らかに違う。公募展で大きな絵を手がけているからだろう。
 絵は感情表現の要素が強いと思う。他の3名が、「感情をどこまで出したらいいのだろう」というブレの中で今日の姿があると思う。その点、能登智子さんの場合は、「絵を描いちゃった。どこまで感情が表現されただろうか?」という逆のスタンスを感じる。そこが、他の方との異質感の原因だろう。

 ちゃんと自己表白していると思う。
 公募展では「目立つ」ということが基準の一つだと思う。個性であれ型であれ目立つことが大事だ。今展の能登さんは充分目立っている。それは公募展的目立ちでもある。こういう非公募展作家の目立たない静かな輝きが、この絵に微妙な影として挿入されればもっと面白いと思えた。

by sakaidoori | 2010-04-05 12:58 | 大通美術館


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