1231) ト・オン・カフエ 「犬養康太・展」 終了・3月2日（火）～3月14日（日）

○　犬養康太・展

　会場：TO OV ｃａｆｅ（ト・オン・カフエ）
　　　 　中央区南９西３-１-１
　　　　　　　マジソンハイツ１Ｆ
　　　　　（地下鉄中島公園駅下車。
　　　　　北東に徒歩２分。北東角地。）
　　　　　　電話（０１１）２９９ー６３８０

　会期：2010年3月2日（火）～3月14日（日）
　休み：会期中は無休
　時間：１０：３０～２２：００
　　　　　　（日曜日 ⇒ １０：３０～２０：００）

ーーーーーーーーーーーーーーー（３・１３）

　　　　　↑：（屋外から店舗とギャラリーの様子。）



　　　　　↑：（外から写した会場風景。）


　当館では昨年に続いての２回目の個展。「コウタの落書き部屋展」だ。
　（以下、敬称は省略させて頂きます。）

　昨年の方が絵画は大きさや数で勝っていた。犬養康太一流の無手勝流さがあった。今展は色では見劣りするが、しっかりと絵を描いていた、線も強かった。「表現する」、「オレは表現者（アーティスト）だ」という自覚が端々に感じられて気持ちが良かった。

　犬養康太のベースは漫画だ。セックスを露骨に扱うことはしないが、それなりに性をユーモラスにもてあそぶ。貧乏・貧相で汚く、刃物遊びで血を求めるシニカルな漫画だ。漫画だから、彼の作品面積は小さい。仮に大きな絵画があっても、雄大な構図でワイルドに迫るとか、一枚の絵画に沢山の物語を詰め込むというふうにはなかなかならない。４畳半に座り机だけ、筆記具に数枚の紙があれば事足りるという箱庭的と作風だ。
　そして、失敗などはどうでもいいという態度だ。こだわりが無いと言えば聞こえが良さそうだが、自分や作品に対して無責任というか締まりがない。それも犬養康太の魅力ではある。しかし、より高いレベルを彼に求めているので、越えなければならない大きな心理的な壁だと思っていた。

　今回、顔を破った作品があった。







　作家に伺うと、気に入らないから破ったとの返事だ。その気に入らない作品を改めて展示したわけだ。一見、奇をてらった行為にも見えるが、そうは思わない。いつになく真面目な態度だ。満足する作品を作りたいのだ。会話をしてても腰が据わった感じで、背筋もシャンとしている。

　絵にしろ漫画にしろ、彼の作品は最後が締まらなかった。線で言えばフワッと終わってしまう。物語の場合は軽いオチで肩すかしの感じだ。インスピレーションを持続させる強い意志を放棄しているみたいだ。そこには自作に対する「不満」という言葉が入る余地は少ない。「これはこれでよろしい」という流れだ。
　確かに犬養康太の魅力は「だらしなさ」にあるのは事実だ。だが、満足すべきだらしなさを作家は求め始めたみたい。その態度が今展を好ましく思う理由だろう。


　　　　　↑：犬養康太。


　「栄通さんがつまらないことをゴチャゴチャ言ってますが、そんなことはどうでもいいですネ。
　どうぞ僕の作品を見てあげて下さい。気に入ってくれると嬉しいな～」