1223) ＣＡＩ02 「『ふたり木版展』 三上理恵・佐藤郁」 終了・2月27日（土）～3月6日（土）

○　『ふたり木版展』
　　　　三上理恵・佐藤郁

　会場：ＣＡＩ02・ｒａｕｍ2 3
　　　　中央区大通西５丁目　昭和ビル・Ｂ２　
　　　　（地下鉄大通駅1番出口。
　　　　注意⇒駅の階段を下りてはいけません。
　　　　　　　　昭和ビルの地下２階です。）
　　　　電話（０１１）８０２－６４３８

　会期：2010年2月27日（土）～3月6日（土）
　休み：日曜日・祝日（定休日）
　時間：１３：００～２３：００　

ーーーーーーーーーーーーーーー（３・２）

　CAI02の貸しギャラリー空間も青年達を中心にいろんな展示が開催されている。縦長の狭い場だが、それぞれが一所懸命に空間にチャレンジしていて気持ちが良い。

　今回は版画に取り組む学生だ。右と左に分かれての展示。
　（以下、敬称は省略させて頂きます。）



　　　　　↑：佐藤郁、「増殖」・木版画。








　佐藤郁は「増殖」がテーマ。
　同じ版を並び替えて何枚も展示されている。原板が使え無くなくなるまでこの増殖は可能だ。そして画題は「キノコ」、キノコは薄気味悪くジメジメしたところでたくましく増殖している。版によるマクロ的増殖と、キノコによるミクロ的増殖で会場を埋め尽くそうとしている。

　これらは木版画だから、普通は白い部分が彫った跡と理解する。彼女の工夫は刷られる紙を黒く塗りつぶしていて、原板を白で印刷することだ。だから、黒い部分が彫った跡になるわけだ。

　埋め尽くす勢いはやはり女性的というか若さからか、とても優しい。キノコも健康的で賑やかな学園祭という雰囲気だ。
　「原板はたったの５、６点ではないか。それをただただ繰り返して貼り合わせただけではないか！」と、誰かが言うかもしれない。その通りだ。その通りなのだが、結果が面白い。会場を埋める情熱が素適だ。ジャズの繰り返しとアドリブを見ているようだ。



　　　　　↑：三上理恵、「藍」。










　「藍」をテーマにする三上理恵。
　木版の原板が右側に雲のようにして並べてある。左側に反転した姿で藍色のバリエーション作品が重なりながら並んでいる。柄模様といい和風ムード一杯だ。藍色のバリエーション、重ね刷られた色の落ち着き、形を決める線描の洗練さ、柄の装飾性など課題が多い作品でもある。この若さで取り組むにはとても荒削りで、勉学、研鑽の一里塚だ。
　壁面という空間をどう作るか？余白をどうするか？重なりに無理はないか？などなど、作品と一緒になって勉強してしまった。美を追究する真摯な学生だ。