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栄通記

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2010年 03月 04日

1217) ICC 「アートな事情ワークショップ Vol.0 (八戸香太郎)」 終了・2月19日(金) 開演19:30~

○ アートな事情ワークショップ Vol.0
   ゲスト・スピーカー 八戸香太郎(from NYC)


 会場:インタークロス・クリエイティブ・センター(ICC) 1階・カフェ
      豊平区豊平1条12丁目1-12
      (地下鉄東西線「東札幌」2番出口より徒歩10分。
       東北通りに面して、向かいが「むつみ公園」。)
    
    http://www.icc-jp.com/ja/access.html

 会期:2010年2月19日(金)
 時間: 開場 19:00 開演 19:30~ 
 料金:無料 

 主催 企画:(株)HandMade ICC
 制作 協力:MAGICALCAMP NPO S-AIR theMAGIKAL AAプロジェクト

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(2・19)

○ 八戸香太郎プロフィール
   1977年 札幌生まれ
   1996年(19歳時) 書の修学の為に京都に移住
                 京都造形大学大学院
                 多くの国で個展・パフォーマンス・ワークショップを開催
    ・・・
     近年までロンドンと京都にアトリエを構えていたが、2009年よりニューヨークと札幌にベースを移す。


 2部構成のワーショップ。
 Ⅰ部は、70分程の海外アート事情の講演。
 Ⅱ部は、15分程の書のパフォ-マンス。

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 33歳と、若くて精悍な体つきのアーティスト(書家)だ。
 話の内容はイギリス、アメリカのアーティストから見たアート事情だ。知識としてはそれなりに面白いのだが、話の内容よりも、話しぶりの明快さには感心した。欧米で武者終業しているだけあって、「何を語るか」という姿勢がしっかりしている。話にブレが無く理知的にグイグイ進んだ。あっというまの70分だった。
 自分はどういう表現者か、何を目的に何をする人か、セールスポイントは何かを自己分析し、明快に語ることができる人だ。海外に出たい人、外人と何かを共同でしたい人は、八戸氏に学ぶところだいである。他者との関係を深め、構築する能力を身につけないといけないだろう。それは言語力以前の問題で、身振り手振りで積極的に相手に関わる姿勢だ。
 海外事情という知識よりも、自己PR能力という姿勢を八戸香太郎氏から学ぶべきだろう。彼は札幌生まれで高校まではここで育った人だ。生い立ちは道内だ。僕の廻りに、道内人で彼ほど明快な人を知らない。

 ということで、話の内容は省略します。


 そして、何よりも彼は表現者だから、本領発揮が一番興味があるわけです。どういう視覚表現とパフォーマンスをするのか、どういう「書」を書くのかです。

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 大きな筆で大胆な字を書くものと思いこんでいたので、小筆と映像&BGMによる舞台装置に一瞬戸惑ってしまった。精悍な体つき、明快な言葉の運びとは裏腹に、神経質な筆の運びはペインティング的で神経質でもあった。「書」というよりも、描きぶりのスタイルを見せる舞台になっていた。

 道具立てはこうだ。筆に映写機を取り付けて、その映像がバックに流れるという手法だ。手や紙は激しく動くが、カメラ目線は動かない。常に筆先に焦点があわせられて、その周囲が目くるめくようにして、鑑賞者の目に飛び込んでくる。実際の筆の運びはそれ程の早さではないのだが、書かれる紙を激しく動かすので、線の世界が我々の目を襲う。
 圧巻は白い小鉢の中の墨を筆で揺する時だ。激しい筆の動きは、そのままカメラの運動に転化される。カメラの写す小鉢は、流動体としての黒墨をモノトーンの荒れ狂う闇夜として画面一杯に映し出される。必要以上の墨の撹拌(かくはん)は、ガチャガチャと歯ぎしりのような音を会場にとどろかせ、うねる映像と重ねられて、まさしく八戸香太郎ショーとしての独壇場であった。

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 パフォーマンス、あるいは劇としては見事としか言いようがない。後に残るのは作品としての「絵」あるいは「書」の問題だ。
 八戸氏は自分の書を筆の運びとして語っていた。上手くいく時は筆が自然に流れるという。王義之的な神聖の境地だろうか?王義之に憧れて生まれたかもしれれない「かな」の世界だろうか?
 この日、遅れて書家・樋口雅山房がやって来た。氏は己の書を「腕の運び」と言い、八戸氏との違いを語っていた。書の持つ武器としての側面が雅山房の一面でもあるのだ。八戸氏は優雅・典雅さを併せ持ちたいのだろうか?

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 無事ワーショップも終わり、パーティーへと移行した。沢山の参加者であった。当館の性格上、若手の人だかりといってもいいだろう。
 樋口雅山房と八戸香太郎氏も、共に書に情熱を傾ける者同士での一時である。大先輩と新進気鋭の若手の組み合わせだ。

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 誰もいないパフォーマンス会場を覗くと、片づけられた舞台に作品が綺麗に並べられてある。
 静かに見れた。基本的には「線」の人なのだろう。線が自動増幅するのを見守りたいのかもしれない。書の持つ胆力は、氏の場合には舞台の勢いに置き換えられているようだ。

by sakaidoori | 2010-03-04 19:43 | S-AIR


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