栄通記

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2010年 02月 19日

1204) たぴお 「MOVE 3(写真展)  パート1」 2月15日(月)~2月20日(土)

○ MOVE 3 (写真展)

 会場:ギャラリーたぴお
    中央区北2条西2丁目・道特会館1F
    (中通りの西側の郵便局のあるビル。)
    電話・林(090)7050-3753

 会期:◎パート1 → 2010年2月15日(月)~2月20日(土)
     ◎パート2 → 2010年2月22日(月)~2月27日(土)
 休み:日曜日
 時間:11:00~19:00

※ オープニング・パーティー ⇒ それぞれの初日、18:00~

 【参加作家】
 ウリュウユウキ 神成邦夫 北川陽念 小林孝人 高井綾 為岡進 野呂田晋 濱田トモミ 藤川弘毅 細野祐太 山岸せいじ 山下敦子

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 12人の撮影者。ギャラリーたぴおでの初参加者もいます。初耳の方もいます。普段見慣れない組み合わせの写真展でした。ちょっとした新鮮さがあります。

 気になった作品から何人かを載せます。

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     ↑:細野祐太、「そんなにいやがるなら。 いっそのこと、きってしまおうか」

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 ありそうで、なかなか見れない大胆で怖くて不気味な作品です。
 おそらく、顔も撮ってはいるのでしょうが、顔の部分を切っての作品でしょう。もし、こういうアングルで撮っているのであれば、相当にキツイ撮影者です。

 二つの問題がくっきりと浮かび上がってくる。
 一つは、「この人達は誰なのか?明日も本当に生きてどこかにいるのか?そして、首を切り顔を見せない撮影者とは誰なのか?」、という「被写体ー撮影者ー鑑賞者」の人間臭い問題です。
 一つは、「作品を切ることでも自立する写真表現」という問題です。「芸術と様式」あるいは、「様式という枠と、表現者の意志」とでも言ったらいいかもしれない。
 被写体がもう少し気楽なものならば、後者の問題を深く考えてみたいところです。ところが、被写体の凄みと、様式へのチャレンジが重なりあって、異様なリアル感がある。
 撮影者は20代前半の若者とのこと。「細野祐太」、覚えて損のない名前だ。


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     ↑:山岸せいじ、「hitobito」。

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 細野祐太が「首の切り取り魔」だとしたら、山岸せいじは普通にファージーに全身像を切り取る。デザインのようにして、人の生理を脱ぎ捨てたような切り取りだ。ところが、それでも引っ付いて離れていかない「人々」の生理、これが山岸風なのだろう。ユーモアという仮面をかぶって画面を覆っている。
 都会人のあわただしき雑踏を、一人山岸せいじは愉しんでいる。


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     ↑:中央の小品・4点がウリュウユウキ、「focus」。

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 被写体は都会風景だが、オシャレな展示では負けてはいないのがウリュウユウキだ。ちょっとヒップ・アップの三角型の展示だ。上から目に優しく見てもらおう、あるいは腰をかがめて心地よい動きを強制しているのだろう。

 たったの4点だが、いろいろと趣向を変えての作品群。
 雨に濡れる傘のウリュウ・ロマンティシズム。交差点内の模様をユーモラスに。
 何と言っても今回は横断歩道が良い。ビシッと画面中央にラインが伸びている。図太い。「旅の足跡」ではない、「俺の歩む道」だ。
 キャプションの自己説明も、いつものさすらい人的弱さが無い。


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     ↑:野呂田晋、「a look」。

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 写真歴はこの数年と浅い。浅いがデザイン感性が良いから、早くも一つの美学を提示できる。
 細かく細かくコンパクトに押し込めて、「人」を楽しんでいる。男は自画像?ナルシズム的に「顔」を楽しんでいる。「野呂田晋」、この名前も覚えておかないと。


 (続けて、あと2、3人載せます。少し休みます。)


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     ↑:藤川弘毅

 こちらは、美女を切り取り、取り込む藤川弘毅。美女には気取ったスタイルがよく似合う。

 君がワインなら、僕は日本酒
 赤と白、グラスとおちょこがもたれ合う
 セピアの枠は更けて、妄想が過ぎていく
 鋭き眼(まなこ)、
 唇がワイン色に染まる・・・男の血 
 飲み込まれる、飲み込まれたい・・・


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     ↑:為岡進、「モヨロの夜祭り。毎年10月1日~11月8日 網走湖呼人浦キャンプ場白羽川河口」(5点組)

 網走のモヨロ貝塚はオホーツク文化遺跡として有名だ。
 流氷に乗って、はるか北方から来たというオホーツク文化人、忽然と消えた文化としても知られる。彼等は海洋民族と呼ばれるように、海の恵みを謳歌していたという。もちろん、アイヌ同様に川のサケも山の熊も大事な恵みであったろう。
 その姿は誰も知る由はない。現在のサハリンに住む少数民族の知見も取り入れて、観光のために空想の「夜祭り」を開いているのだろう。そこには多くの「虚構」もあるだろうが、それはそれ。古代に夢飛ぶ儀式にもなるだろう。一度、見てみたいものだ。


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     ↑:山下敦子。

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 「エビフライ」でご存じの方もいるかもしれない山下敦子。ポップ絵画に本格抽象画に写真にと、分野を問わずに発表している。
 他の撮影者が枠装などをバッチリ決めている。彼女はあり合わせの物で、力勝負での展示スタイル。
 中身も、心象風、普通のスナップ、友にモデルを頼んでの作り写真と、小さいながらもいろいろチャレンジ。無手勝流のアッケラカンさ、良い子振らないのが特徴だ。

by sakaidoori | 2010-02-19 17:49 | たぴお


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