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栄通記

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2010年 02月 19日

1203) カフェ・エスキス 「中嶋幸治・展 0m/s -zero meter per seconds-」 2月18日(木)~3月9日(火)

○ 中嶋幸治・展 0m/s
   -zero meter per seconds-


 会場:カフェ エスキス
    中央区北1条西23丁目1-1
      メゾンドブーケ円山1F
    (南東角地)
    電話(011)615-2334

 期間:2010年2月18日(木)~3月9日(火)
 休み:水曜日(定休日)
 時間:12:00~24:00
    (日・祝日は、~21:00まで)

ーーーーーーーーーーーーーーーー(2・19)

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     ↑:「過剰封緘」・紙 蝋 青銅 アクリル材 ビス 木材 石膏 膠 2010年。

 オープン初日に拝見。驚いたことに、ほぼ満席の繁盛振りです。見知ったお顔も多く、そういう人達との話も弾むは、作品は気になるは、気になっても店ということで魅入ることはできないは・・・、そして飛蚊症が高じて、白く小さい物がよく見えないはと、楽しい時間を持てたのですが、鑑賞ということでは恥ずかしい結果です。もう一度見に行って、頭を整理して報告したいと思います。

 とは言っても何も書かないでは作家にも読者の方にも失礼です。簡単に印象をメモしておきます。

 今展の作家は饒舌です。展覧会に寄せる言葉、「手紙」にこだわっている理由も詳しい。それらの言葉には嘘はないでしょう。
 親しい人から、実のある手紙を頂いた。この喫茶店エス・キスで、その返事を書きはしたが、送ることなく文章だけが増えていった・・・、それらのことが大きなキッカケとなって「封緘(ふうかん)」を作るようになったと。
 この言葉は作品の説明ですが、今展を一つの劇場に化するプロローグのような役目を果たしています。この喫茶店で、早く返事を書かなくては、気はせくのですがなかなか言葉が出ない、書きはしたが送ることができない、そんな一人の男がテーブルに釘付けになる姿が連想される。それは、映画の一シーンのような光景でもあり、場所は違っても誰でもが身に覚えのあることかもしれない。

 展示はまれに見る美しさです。昨年のテンポラリー個展で見ることのできた「封緘」がプラスチックの容器の中に閉じこもっている。だが、同じ封緘だが、かなり様子が違う。焼かれたり、蝋を塗られたりと、「過剰な精神」が込められています。(残念なことに、全封緘を見られなかったし、見た作品も視力の都合上、妖しげな見方しかできなかった。)最大の違いは、これらの封緘は手に取ることも出来ないし、ましてや風に乗って運ばれるなどありはしない。まさしく、送ることを拒否した封筒達であり、そのなれの果てです。
 しかし、この展示レイアウトを見るだけでも作家の非凡さがうかがわれる。容器の影は透視画法のように青壁に映り、作品そのものが標本化石になってしまった。

 棚の上には、白い封筒が大仰に膨らんで何列にも積まれています。ご祝儀袋のような無垢な白さであり、ぞんざいな積み上げ振りです。
 そして天井には、赤い「封緘」がたった一つ吊されている。風が無くても、切り離せば落ちていく。作家は吊すことが好きな青年です。どんな浮遊感覚の持ち主でしょうか?


 喫茶店、ホテルのロビーのような劇場空間かもしれない。マスターはホテル・マンです。「喫茶」という利便性を方便にして、いろんな人が訪れる。一人一人が物語を抱えているのです。「中嶋・封緘」はその物語を代弁しようとしているのでしょうか?


 中嶋幸治展。今展に限らず多くの人に見てもらい、あれやこれやと話題になればと思っています。


 (簡単なメモのつもりが、作品を離れて長い雑感になってしまいました。間違いなくもう一度見に行きます。もう少し写真紹介をするかもしれません。ただ、アクリル版が照明をまともに受けて、写真には難しい。
 会場で作品・「風の鱗うろこ(封緘)」が販売されていました。買ったので、そのうちに写真紹介します。)


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by sakaidoori | 2010-02-19 14:54 | (カフェ)エスキス


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