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栄通記

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2010年 02月 16日

1199) ②たぴお 「LOOP(2会場でのグループ展) 坂本&手塚作品」 終了・2月1日(月)~2月6日(土)

 LOOP

◎ 会場:ギャラリーたぴお
    中央区北2条西2丁目・道特会館1F
    (中通りの西側の郵便局のあるビル。)
    電話・林(090)7050-3753

 【参加作家】
 道内作家: 石川潤(絵画) 鈴木悠高(絵画) 手塚昌広(絵画) 向中野るみ子(絵画) 渡辺和弘(塗装工芸・カシュー漆) 坂本正太郎(彫刻)
 道外作家: 村上知亜砂(大阪府・ファイバーワーク) 

◎ 会場:ほくせんギャラリー ivory(アイボリー)
    中央区南2条西2丁目 
      NC・HOKUSENブロックビル4階
    (北西角地、北&西に入り口あり)

 (両会場とも同じ)
 会期:2010年2月1日(月)~2月6日(土)
 時間:11:00~19:00
     (最終日は、~18:00まで)

 事務局: 鈴木悠高造形芸術研究所


ーーーーーーーーーーーー(2・2)

 (以下、敬称は省略させて頂きます。)

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 小さい会場なのに、実にエネルギッシュな展覧会であった。だから、今展の見所は「オレガ、オレガ!」という自己顕示欲にあるわけだ。その自己顕示欲と自己顕示欲がぶっつかって、見る人達に何がしかの満足感を与えることができたならば、公開グループ展としては成功だろう。少なくとも僕は満足した。
 それと、鑑賞者の僕らには憶測の域を出ないのだが、作家同士がいかなる刺激を得たかが、内部的にはもっとも大事なのだろう。そこでは、鑑賞者や作品を語る「文」などは意味をなさない。あくまでも、作家個人が他人の作品を横に置いて、「自分の作品に自信が持てたかどうか?」だろう。「他の作家からエネルギーをもらった」などという言葉は論外だ。そういう作家は鑑賞者になればいいのだ。グループの仲間はかりそめの友だ。激しい自己研鑽あるのみだろう。

 そういう激しい火花が交錯しながらも、やはりどこかに優しさがあるのも今展の特徴だ。この「優しさ」、一つの時代の姿だろう。

 さて、他者との「火花」と「優しさ」を体現したのが、欠けた球体作品の坂本正太郎・作品だ。非常にグループ展を意識した作品だが、何とも子憎たらしい程、優しく力のこもった作品だろう。

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     ↑:坂本正太郎(北海道出身・室蘭付近在住?)、「マキシマリズム」。

 栄通風に名付けるならば、「ループ・梵鐘」だ。球体の中の檻にはめ込まれた木の丸い物を、コロンと揺すった。驚いたねー、転がる音が「ボワ~ン」と狭い会場に響いてしまった。とてもびっくりしたので、音を消したくなってうろたえてしまった。驚きのあまり、音そのもを堪能できなかったが、瞬時にイメージは湧いた。雪多き樹の中で、置いては眺め、眺めては鐘を鳴らして、遊びたくなった。

 今作は単品としても秀作と思うが、他者の作品への働きかけは抜群であった。おそらく作家の意図を越えた結果があったと思う。つまり、作家のコメントにもあるが、この作品は「地球」をイメージした完結球体なのだが、何かを丸く作るというよりも、作家・坂本正太郎がどこまで地球になりきれるかを頑張っているのだ。だから、これは終わり無き姿だ。どこまでも、いつまでも叩いて、永久なる「地球」を作ろう。そんな、あけすけに正直な態度が作品の表面を覆っている。確かに余りに美しすぎる。だが、それが作家の理念なのだから素直に見つめよう。彼の真摯な態度が他の作品を優しくつないでいる。


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     ↑:手塚昌広(北海道出身・音威子府在住?)、「days」・キャンバス アクリル。

 「一心不乱、一所懸命に」、それでいて見せる作品だ。「深く何かを見つめている」、というよりも、見つめている作家自身のエネルギーをキャンバスにぶっつけて、しかも美しく見せようという意識が強い作品だ。装飾性華美な作品でもあろう。
 画家には、始めから「たぴおギャラリー」の正面壁面が与えられたのであろう。相当に贅沢な空間だ。その空間を手塚風装飾で埋めるにはどうしたらいいか?その応えがこの作品だ。
 「装飾性」、難しい絵画様式だ。言葉通りの「飾り」ならば、作家はこれほどまでに血眼にはならない。「心象性に包まれた装飾性」、と言えば言葉は綺麗だが、心象世界がいつもいつも「飾り」のように綺麗ではないだろう。いつも綺麗な「桃源郷」を作家は描きたいとも思えない。
 タイトルに「days」とある。「日々の思いを色彩で埋めた」と、見た。画歴の全てを知らないが、「day」を他者の作品との比較で、これほどダイレクトに体験したのは、そう多くは無いだろう。
 僕には装飾世界の向こう側の手塚・ワールドがよく見えない。「何を」見せたいのか、「何を」訴えたいのか、・・・僕にはその始点の作品展であった。


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 中央下段の「球体」が目に走る。おそらく、この「円」は画面に入れなければ、収まりのつかない形なのだろう。それを月とも太陽とも見ることができる。大事なのは、この「円」が有るのが良いのか悪いのか、という問題ではないだろう。画かざるを得ない画家がどうしても「円」を画く、その結果に縛られる作家の意識と、そこを突き抜けた画家自身の可能性なのだろう。


 (追記・2月17日: 関係者からご指摘がありました。
 手塚昌広さんの展示位置は、当日に決まったそうです。作品が伸び伸びできて、良い場所だったと思います。
 本編の展示位置に関する私の文章は、展覧会を見ての印象です。間違った推測ではありますが、許される推測の範囲でしょう。そのままにしておきます。)

by sakaidoori | 2010-02-16 21:57 | たぴお


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