栄通記

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2010年 02月 11日

1193) 時計台 「北海道教育大学大学院 修了制作展」 2月9日(月)~2月14日(土)

○ 2009(平成20)年度 
    北海道教育大学大学院・修了制作展

   
 会場:札幌時計台ギャラリー・3階全室。
    中央区北1西3・札幌時計台文化会館
    (東西の中通りの北側にあるビル)
    電話(011)241ー1831

 会期:2010年2月8日(月)~2月13日(土)
 時間:10:00~18:00 
     (最終日は、~17:00まで)

ーーーーーーーーーーーーーーーー(2・10)
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 3階全室を使った展示。若干の様変わりです。
 美術分野(絵画・彫刻・工芸・デザイン)の展示は例年と同じなのですが、書道分野も美術作品と同時に展示です。
 それと、図録が「卒業・修了制作展」として、4年卒業生達と同時に載せてあります。しかもA4版と大きい。当然、書も入っています。

 それはともかくとして、気に入った作品を中心に載せます。

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     ↑:佐藤あゆみ、「おやすみの日」・150×150×40㎝ 鉄 シナ。

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     ↑:お座り自由、寝てもいいよ!

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 佐藤あゆみは、比較的小さな作品で、他の作家作品と調和して、それらを引き立たせるという傾向だった。同時に、見てもらう人に触ってもらう作品を作っていた。要するに、皆なで楽しむことが佐藤あゆみの主眼だ。
 今作、まれに見る傑作だ。座って寝転がる「佐藤ベット」だ。足はパイプ・オルガン風だから、叩いたら微妙な音の変化があるかもしれない。音は確認できないが、リズミカルに目に飛び込んでとても優しい。
 市役所ロビーでも置きたいものだ。安田侃に対抗して、キタラ・ホールでもいい。武骨な風采ではあるが、何とも頼もしい存在だ。



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     ↑:齋藤由貴、「静寂に潜む」・1818×2273㎜(F150号)。

 こちらはまさしく卒業作品だ、学生時代の集大成だ。齋藤由貴にとって、とりたてて新しいものは無い。だが、自分自身のイメージをどう膨らすかに悩んでいて、原点としての自己のイメージをどこまで物理的に広げれるかにチャレンジした作品だ。雲で空間をごまかすのを止めた。体も意味ありげに隠すのも止めた。どこまで広いキャンバスに向き合えるか、耐えれるかに挑んだのだろう。
 卒業段階でこれ位の大作を画いて次に進むのが理想だと思う。そういう意味では2年遅い。そこが、本校の美術教育システムの弱いところだ。絵を描く根性、「何故画くか?」、その辺の自覚を鍛え上げる体勢の不備だと思う。
 さぁ、ここから齋藤由貴は始まる。「自覚」という大きな雪だるまを作った。後は、齋藤イメージにもっともっと踏み込んで、壊すなりなんなりするのだろう。


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     ↑:金吉恵里。左から、「無題」・2273×1818㎜ ×2点 油彩 キャンバス、「ベッドルーム」・2090×1610㎜。

 金吉恵里は齋藤由貴のように自己のイメージに悩んだりしない。「それっか無い」という姿勢だ。ざっくばらんなフォルム、粘土の塊のような人体、裸婦を取り巻く空気という存在を見つめている。セクシャルさを感じない裸体だが、何とも言えない人間臭さやけだるさがある。若い女性なのに、ちょっとした驚き。
 ベッドルーム、ピンクルーム、体がピンクになる。体の表面から、線という生き物が離れていく。


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     ↑:久山春美、「日々の彩り」・2020×1250㎜ 雲肌麻紙 岩絵具。
 (チラシ目録には西洋画とありますが、日本画だと思う。)

 こちらもイメージ画の範疇でしょう。左の作品、写真で見ると黄色が濃いが、実物はかなり淡い印象だった。もっとも、妻はこんなもんだと言っている。もう一度見に行きたいものです。
 無駄な色なり形を排除しようとする、作品だろうか?限りなく単色で空気に近づく色、そこんところを突き詰めていって、そこから還ってくる色燦々とした世界。今作は前半の無色無臭のそぎ落とす過程の作品群として見てしまった。
 それではあまりに実験的で色気が無い。メルヘン的に羊さんの木の柵を画いたのが右の絵なのだろう。余計と言えば余計だし、これも有りと言えば有りだろう。
 好みで言えばやはり左の絵だ。意欲的な作品だと思う。大きい画面をあっさり仕上げだが厭きない。メルヘン的な色仕上げで、若さが眩しい。


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     ↑:鵜沼範考、「人景 ~sei~」・1120×1620㎜ ×3点 キャンバス 油彩 ワニス。

 生と性の表現だろう。性交を嫌らしくなく、どこまで表現できるか。嫌らしくっても構わないのだが、要するに吐きでる情念と相手との対幻想を追求しているのだろう。今作はストレートな表現主義的な方法と、整理された構成とのバランスを考察しているようだ。考察する余裕のある「性」表現とも言える。
 「鵜沼範考」健在だ。まだまだ大人しくなるには早すぎる。より右に左に揺れる過剰な絵を見たいものだ。


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     ↑:山本晋平、「イペオチ」・ビデオ インターネットカメラ インスタレーション。

 とにかく綺麗な画面取り(映写風景)だ。4画面がセッティングされているのだが、中央の雪景色の民家の風景は固定されていて、その画面が絵画のようにふくよかで心温まるシーンだ。バックにアイヌの唄?語り?が流れている。まったりと・・・淡々と・・・静かな部屋に良く響いている。
 映像鑑賞者の姿も4画面の一つとして、同時進行で流れている。
 他の映像も何やらの工夫の一つなのだろう。
 4つの画面と唄と部屋の空気で、時間の流れを楽しむことが出来る。作家は異空間のつなぎ合わせを楽しんでいるのだろう。

 「イペオチ」とは北海道の先住民の言葉で魚の多くいる川である。北海道江部乙の由来の一つとされている。
 (作家の言葉より。「北海道の先住民」、これは変な表現だ。「アイヌ」と明言すべきだろう。こういう間接話法は良くない。)

 滝川市街からかなり離れた北方で、江部乙川が東から石狩川にそそいでいる。
 流れている映像は、その江部乙川地域のものかもしれない。
 「イペオチ」と呼んだアイヌとの語らい、今の自然との語らい、現代的文明の申し子である視覚手段との語らい、多層な語らいを「美しさ」というオブラートに包んでいる。
 知的さも加わり、しっかりした秀作だと思う。


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     ↑:上野莉奈。左から、「捨てられた遊び」・1620×1620㎝ キャンバス 油彩、「交錯」・1620×1303㎝。


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     ↑:清野佳彦、「静香の海」・150×120×40㎝ FRP

by sakaidoori | 2010-02-11 22:25 |    (時計台)


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