2010年 02月 11日
○ 水戸麻記子・絵画展 MITORAMAFULL 会場:ギャラリーたぴお 中央区北2条西2丁目・道特会館1F (中通りの西側の郵便局のあるビル。) 電話・林(090)7050-3753 会期:2009年2月8日(月)~2月13日(土) 休み: 時間:11:00~19:00 ※ オープニング・パーティー ⇒ 初日、18:00~ ーーーーーーーーーーーーー(2・10) ![]() ![]() 1972年 北海道滝川市生まれ 1995年 ハルピン師範学校留学、アジア遊学等 1996年 9月 北海道教育大学札幌校中学美術過程卒業 2008年 主体美術協会会員 「ミトラマ・ワールド」と語って、我々を楽しませてくれる。果たして今展はどうであろう? おもしろ可笑しくカボチャや生き物達が愛想よく振る舞う、彼等はちょっと皮肉な人間の友達のようだ、アジアン・シティーの貧民街の猥雑さも元気印の再現だ・・・。 その画風は演劇的な物語作家と言うことができよう。 画面中央付近に、画きたいテーマを大きく大胆に画く。それを取り囲むように、主題とはつかず離れずの小物語りが画面狭しと活躍する。ドーンとした大きなテーマと、小さなテーマの構成的な配置は作家の技の見せ所で、結局は画面がどれだけ生き生きと不思議な世界として、自動運動を展開したかがミトラマ・ワールドの正否の分かれ目なのだろう。 (始めに小品を載せます。) ![]() ![]() ↑:左から、「砂」、「土」。 ![]() ![]() ![]() 今展の画家は夢を自由に闊歩するという姿勢からは遠い。非常に生真面目に丹念に丁寧に、画題に取り組んでいる。それは今展の小・中品を見れば明瞭だ。今までの小品は、大作に登場する以前の不思議ワールドのスケッチのようだった。イメージの記録でもあった。だから、ぞんざいな絵になりがちだったが、画きたいことがストレートだから、つい一緒になって泣き笑い、見果てぬ夢を見たりもした。 今展の小品はとても完成度が高い。持って帰りたい絵が沢山あった。絵として勝負している。作家の一所懸命さが伝わる。 そういう真摯な作家の姿勢が、大作からトゲを消した。 トゲといっても、もともと「肉を切らずに骨に突き刺すトゲ」ではなかった。人間の裏面をえぐり出すトゲではなかった。日常と非日常を往来し、ずっこけては立ち上がり、起きてはひっくり返るという、哀しくとも生きている証としてのトゲであり、そういう生き物たちだった。ピエロ的トゲだった。ピエロ、作家は自分のことをそう思っているのかもしれない。 今展、抵抗する生き物たちの視点から、地に足をつけたい生き物たちへと変貌しつつある。貧乏でもしっかり生きている、ささやかな身近な生の営みを絵として顧みる。アジアン・シティーに住む貧民街の猥雑さが薄くなった。それは猥雑さよりも、身近な生活をミトラマ風にチャンと画きたいという現在の心境だろう。 そういう意味では、過度に過去のミトラマ・ワールドの発展形を期待した人には面白くないかもしれない。 だが、もともとは若き頃のアジア遊学体験が絵を強く後押しをしていた。やんちゃで意気盛んな精神、それでいて物怖じがちな画家だっかもしれない。貧しきアジアの活力に画きたい事が見えたのだろう。 あれから、月日は経った。いつまでも同じ所には居られない。等身大の眼差しでミトラマ・ワールドを見つめているのかもしれない。 ![]() ![]() 今展一の大作であり、最近作。 おどけた画題は何もない。せいぜいマンドリンを弾く人の顔が馬骨?なだけだ。それとて、仮面という意味合いは少ない。ミトラマ・ワールドはどこに言ったと思うはずだ。 「メシ」を食らうのは出面(でめん)取りの親父か、空飛ぶクラゲか?人も物もまっすぐ画かれている、バシッとしている。手前の黒い犬で画面がようやく引き締まった。水前寺清子風の一本勝負の絵だ。 ![]() ![]() ![]() (タイトルのメモ忘れ。) 食事風景と家族の団らんにこだわる水戸麻記子。 ![]() ![]() 展示作品と差し替えました。手前の暗さと、奥の明るさのバランスが、写真では良く伝わりません。この辺は画家の画面構成の工夫だと思うのに残念なところです。肉眼による光の識別と、カメラによる機械的明度の識別の差でもあるのでしょう。) 以下、部分図。 ![]() オッ、酒を勧めているのは旧・たぴおオーナーの故・竹田博さんです。 「ネッチャン、呑まねいかい!」 勧められいる娘さんは銅像のように固まっている。作家の自画像?でも自画像は大砲娘みたい。 「ありがとう。でも、私はポーズで忙しいのよ。構わないで」 「そう言わんと、呑もうぜ」 「ありがとう。でも、私はポーズで忙しいのよ。構わないで」 「・・・」 「・・・」 そういう二人の永久問答が続きそうです。それは黄泉の一コマかもしれない。 それにしても、竹田さんがしっかりした姿で画かれている。この辺が作家らしくて、硬い。生活を重視しだした三戸麻記子。今後は生活の「ズボラサ」が出てくるかもしれない。構成・構図としての生真面目さ、ひたむきに対象を画く生真面目さ、そこんところを意図的にズラしたら・・・、 一切合切を詰め込んでいけば、もっと不自然な動きになると思うのだが、どこか律儀なミトラマ・ワールドだ。 ![]()
by sakaidoori
| 2010-02-11 16:51
| たぴお
|
アバウト
![]() 丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
検索
最新の記事
ファン
カテゴリ
全体 ★ 挨拶・リンク ★ 栄通の案内板 ★アバウトの写真について ★ 目次 (たぴお) (時計台) 市民ギャラリー (写真ライブラリー) さいとう 大丸藤井スカイホール (ユリイカ) ミヤシタ テンポラリー af 北専・アイボリー CAI(円山) CAI02(昭和ビル) (大同) アートマン アートスペース201 大通美術館 STVエントランスホール コンチネンタル 資料館 門馬・ANNEX 百貨店 (カコイ・ミクロ) 4プラ・華アグラ 石の蔵・はやし (シカク) ☆道外公共美術館ギャラリー (アッタ) 奥井理g. ★ 案内&情報 ★ 訪問客数 ◎ 樹 ◎ 花 ◎ 山 ◎ 本 ◎ 旅・飛行機・船 ◎ 温泉 ◎ 個人記 ◎ 風景 ◎ 短歌・詩・文芸 ☆★ ギャラリー巡り 写真)光映堂ウエスト・フォー (いろへや Dr.ツクール) JRタワーARTBOX ポルト 写真)富士フォト・サロン 道新プラザ 紀伊國屋書店 S-AIR ◎ 自宅 (ニュー・スター) 札信ギャラリー (マカシブ) (自由空間) 真駒内滝野霊園 サード・イアー (どらーる) 区民センター ★★ 管理人用 山の手 富樫アトリエ (プラハ2+ディープ) ★ギャラリー情報 ★ パンフより 創(そう) (オリジナル) ATTIC 美容院「EX]内 ADP 粋ふよう エッセ ◎ 雑記 ★「案内版」アバウトの写真 ☆北海道埋蔵文化センター ☆三岸好太郎美術館 ☆本郷新彫刻美術館 ☆芸術の森美術館 ☆函館美術館 ☆札幌・近代美術館 ☆モエレ沼公園 ☆旭川美術館 ☆北海道開拓記念館 ☆帯広美術館 ☆関口雄揮記念美術館 (☆夕張美術館) ☆(倶知安)小川原美術館 ☆(岩見沢)松島正幸記念館 ☆(室蘭)室蘭市民美術館 ☆北武記念絵画館 ★その他 【道外・関西】 ー [石狩] [ニセコ]有島記念館 [岩見沢]キューマル 他 [音威子府] [深川] [苫小牧]博物館 [洞爺] ☆小樽美術館 市民ギャラリー [美唄] [江別] [室蘭] [小樽] [帯広] [恵庭] 夢創館 【北広島・由仁】 [函館] [夕張] [三笠] [赤平・芦別] 【幌加内(政和)】 (くらふと)品品法邑 (茶廊)法邑 (カフェ)れんが (ブックカフェ)開化 (カフェ)アンジュ (カフェ)北都館 (カフェ)エスキス (画廊喫茶)チャオ (カフェ・soso) (カフェ)ト・オン (カフェ)アトリエムラ (カフェ)サーハビー 槌本紘子ストックホルムキ記 (画廊喫茶)仔馬 (ギャラリー&コーヒー)犬養 Plantation CAFE BLANC(ブラン) - コレクション ■ 複数会場 公共空間 ー ◎ 風景 新さっぽろg. ー ○ 栄通日記 学校構内 ー ◎ライブ路上パフォーマンス 道銀・らいらっく (コジカ) ▲個人特集 (風景)サイクリング・ロード (風景)札幌・都心 A.S.T(定山渓) 趣味の郷 公共空間・地下コンコース 六花亭 ◎今日・昨日・最近の風景 500m美術館 Room11 アルテポルト・ART SPACE サテライト 【2010年旅行記】 【2010年 ロシア旅行】 【海外旅行】 【2012年上海旅行】 【震災跡地2回目の旅】 【2013旅行記】 ◎ 川・橋 OYOYO コケティッシュ ・我が家 レタラ カモカモ 北のモンパルナス チチ クロスホテル札幌 黒い森美術館 Caballer ▲原田ミドーモザイク画 SYMBIOSIS (ハルカヤマ藝術要塞) 群青(2016) チカホ space1-105 100枚のスナップを見る会 北海道市民活動センター 群青(2018) HUG(教育大文化施設) 札幌グランピスタ 大洋(大洋ビル) - 未分類 タグ
個展(242)
グループ展(183) 油彩画(183) 企画展(153) インスタレーション(115) その他(98) 学生展(93) 現代美術(74) 写真(71) 公募展(70) 写真展(59) 総合・複合展(43) 温泉・山・旅行・雑記(42) 彫刻・金属・ガラス・陶(40) 日本画(38) 北海道教育大学(37) 版画・イラスト(31) シルクスクリーン(26) 藤谷康晴(25) 卒業展(24) リンク
○ 美術関係以外
古い日記 (サカイ・ヒロシさんのブログ) ○ 美術愛好家のブログ Ryoさんのイートアート (サカモト・キミオさんのH.P.) 散歩日記V3 (SHさんのブログ) ○ 表現者のブロブ(相互リンク?) Photo Foto Blue (コバヤシ・ユカさんのブログ) 水彩の旅 (タケツ・ノボルさんのH.P.) アートダイアリー (マエカワ・ヨシエさんのブログ) 画像一覧
最新のトラックバック
以前の記事
2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2017年 08月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 02月 more... ブログパーツ
その他のジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
|
ファン申請 |
||