2010年 01月 29日
○ 多摩美術大学版画OB展 2010 会場:さいとうギャラリー 中央区南1条西3丁目1 ラ・ガレリア5階 (北東角地。 1階が日産のショールーム。) 電話(011)222-3698 会期:20010年1月26日(火)~1月31日(日) 時間:10:30~18:30 (最終日は、~16:30まで) ※ オープニング・パーティー ⇒ 初日 16:30~ 【参加作家】 (DMを拡大して確認してください。) ーーーーーーーーーーーーーーー(1・28) 今年で13回目。多数の道外作品からなる版画中心の展覧会。道外の若手版画家の作風をまとまって見れる良い機会だ。 今年は関係者の展覧会が重なったということで、少ない作品数になっていた。確かに以前は、販売用の作品を壁一面に並べたり、大作出品作家も複数名いたりして賑やかだった。そういう意味ではオーソドックスな展覧会ではあった。 それぞれが日頃の制作を、小品で淡々と発表するというムードだ。全体を覆うような強い作品傾向は感じなかった。小口版画のような強い線描作品が無いのは、近年の一般的傾向だ。物語風が多めなのかもしれない。例年より規模縮小気味だが、長く展覧会を続ければそういう年もあるだろう。個人的には大いに楽しんだ。 さて、版画OB展ということでほとんどが版画なのだが、大判絵画出品というユニークな作家も居た。 埼玉県在住の20代のネモトサトコ。会場におられて、嬉しくて本人の顔ばかり見ていて個別作品を撮るのを忘れてしまいました。ゴメン!後日、タイトルを添えて紹介できればと思っています。 ![]() 昨年、モノトーンの大判版画を出品していた。鮮明に覚えている。胸から上の人物像、ちょっと傾き加減の憂愁を誘うポーズ、影にも動きにもなっているダブり画像、どこかゆったりまったりした時間感覚など、版画の傾向をそのままにしての絵画だ。船越桂風の顔や首表現を思うが、漂っているムードは小林孝亘風で、南アジア的な仏教観を思ったりする。強い宗教性を主張したい年齢とも思えないが、画家の気質と仏教との親和性があるのだろう。 静かな絵だが、絵全体が前に押し出よう押し出ようとする情熱がある。それは若さと言えばそれまでだが、太っ腹なところがあって、華やかさと重なり凄く眩しい。こういう大作を北海道まで持参したことも、今の画家の旺盛なやる気の証だろう。 ![]() 「こたつの人・川田竜輔」だ。名前の通り、江戸町人好みのサイケ調だ、葛飾北斎バリだ。 彼はユニークな画風の持ち主なのだが、自分の中の大きくなりたいという気質を押し止めているところがある。選び取った「こたつ」趣味が悪いのかもしれない。内にこもって引っ込み思案になりがちだ。だが、こたつの中で妄想に耽ることもあろう。今作は、そんな竜輔・夢枕絵巻の序章と第一幕なのかもしれない。登場人物は夜叉に餓鬼・畜生にバテレン・ロクロ。殴られ損の首つりカワタと鬼・オバケの仲間達・・・。 来年、この先が広く大きく見れることを期待したい。 ![]() ![]() ↑:保坂洋平。左、「4th march」・リトグラフ 57×90㎝ 2009年。右、「hana」・凹版 60×40㎝。 画きたい物を大きく画く。そのことを効果的にするために背景を普通に装飾的に画いて、画きたい物を更に目に飛び込ますように表現する、そんな感じの版画だ。木版風の強くて濃い黒が、画題を飛び出させるのには好都合なのだろう。線のたゆたゆしさと重なり、漫画的青春群像だ。何より強さが良い。 木版風と言ったが、リトグラフと凹版とあります。技法や素材と作風のことは全然分からない。 ![]() ![]() ↑:波磨悠子。「青い夢(2点組)」・エッチング 33×48㎝ 2009年。 ![]() 物語作家です。名前のような作風です。ちょっぴり魔性を秘めながら、夢の旅は続くのでしょう。 こういう作風は非常に今風だから、道内にも沢山居ると思う。なのに、そんなに多くは見ない。学生の段階では、それなりにいるようだが、つっこんで描き続けているのだろうか? 例えば日本画家の富樫さんなどは、こういう傾向を強めている。もっと増えてもいいし、そうなれば、単なるロマンス・ストーリー作家だけでなくて、幅が拡がると思う。 理想追求型の絵画も好きだが、身近のトゲある夢物語もいいものだ。等身大の若者の心模様をもっと見たい。 (会期は日曜日までです。②に続く。)
by sakaidoori
| 2010-01-29 12:10
| さいとう
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![]() 丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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