2010年 01月 27日
○ 第7回 石狩支部美術部顧問・展 会場:札幌時計台ギャラリー 3階全室 中央区北1条西3丁目 札幌時計台文化会館 (東西の中通りの北側にあるビル) 電話(011)241ー1831 会期:2010年1月25日(月)~1月30日(土) 時間:10:00~18:00 (最終日は、~17:00まで) 【参加作家】 目録を掲載します。確認して下さい。 ーーーーーーーーーーーー(1・25) (関係者が会場に不在でしたので、問題ないと思われる作家のみ写真を載せます。) 日本画家・北口さつきさんの「NUDE」・F50号、横向きで座った若い女性の全身裸婦像だ。少し肩を丸めてはいるが、ふっくらとした肌と膨らんだ肉体、何より、緊張感ある雰囲気が良かった。 (以下、敬称は省略させて頂きます。) 同じ部屋の壁の一面に、齋藤周の組み連作の作品が、壁を支持体のようにして展示されている。壁はキャンバスの支持体以上だ。壁という場の空間に自分の美学を写している。 5,6年前の氏の作品は「中学生日記」を読む思いだった。少年の密やかな思慕と、満たされぬ激しさがあった。 それから時は経った。今作、文学青年の「うたかの記」が並んでいる。画面から人のシルエットが消えて、移り香だけが激しく白地に映えている。 齋藤周は「白壁」に恋している。そこに、何とかして見果てぬ夢を実現したい。セクシャルな美を、淡い男女の契りを、壁を契約書に見立てて奮戦している。壁が虚構か、美が虚構か、男女が虚構か?狂おしくも楽しい壁との逢瀬が続くのだろう。 この部屋は立体作品ばかりの展示。写真には写っていないが、手前に富原加奈子・「雪の景」という白い作品がある。それぞれが少しでも作品から膨らもうとしている。充分な間隔はスキッパーなのか、美的余白なのか?特に、伴翼・「tube# 1」、谷口明志・「無題」、佐藤一明・「灼熱ストーブ」が、全く異なる主張なのにガタガタとその場で震えて、互いに近づきたがっている。 伴翼は、具体物に新たな美的存在利用を発掘している。「存在と造形」の語り合い、あるいは反省と言っていいかもしれない。その果敢な挑戦を見続けよう。 ↑:札幌拓北高校・谷口明志、「無題」・フリーサイズ。 僕は氏の一連の作品を「こんぶ」と勝手に命名している。今回も「こんぶ」の変形版として見た。 氏はグループ展参加を好んでいる。その時の特徴は、与えられたテリトリーを犯さないで、それでいてどれだけ廻りと呼応できるかを確認しているようだ。 僕は、この「テリトリーを常に犯さない」という姿勢に大いに不満だ。「犯さない」という意志は谷口明志の人格的健全さだろう。だが、彼が「こんぶ」という形態、伸縮自由に空間を遊ぶという方法論を採ってしまった。なのに、育ての親の健全な人格が、こんぶ(作品)に「領域を守れ」と支持する。その屈折した姿が今展の作品に見える。 これらは一種の線描の世界だろう。一所で、伸び縮みした姿だろう。いつもは曲線的だから、たまには直線的に三角四角と抽象だ!と威張ったのかもしれない。だが、入り口まで伸びて行きたかったかもしれない。「もっとコンブに自由を」と叫んでいる。 ↑:平岸高校・佐藤一明、「灼熱ストーブ 『鎮火』 1・2」・35×50×50㎝ 40×40×70㎝。 サトー(佐藤)ストーブです。 あまりゴチャゴチャ言っても仕方がありません。とにかく存在が可笑しい。おじゃま虫のように、そこに居るだけなのに妙に僕の心を惹きつける。「ストーブ」という言葉に負うのか?「ストーブ」という存在に負うのか?芸術家による「ストーブ」というマジックなのか? 飽きることなく佐藤一明はストーブを作るだろう。僕の疑問の解は急ぐことはない。
by sakaidoori
| 2010-01-27 18:33
| 時計台
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丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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