2010年 01月 17日
○ 楢原武正・展 会場:大通美術館 大通西5丁目11・大五ビル (南進一方通行の西側。) 電話(011)231-1071 会期:2010年1月12日(火)~1月17日(日) 休み:月曜日(定休日) 時間:10:00~19:00 (最終日は、~17:00まで) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(1・16) ![]() (以下、敬称は省略させて頂きます。) 画家は1942(昭和17)年生まれ。今年、68歳になられる。1975年位から、概ね年代順にびっしり並べられている。まるでこの日を想定していたような姿だ。 展示はは時折制作年の年号表示があるだけで、一切の活字・文字がない。実に潔い展示で、自然に作品の時の流れを追体験していくように案配されている。 その流れを、「エネルギーの発露、その今日(こんにち)の姿」と見ることができる。実に素直な画家だと思う。これをしたい、これを画きたいということはあるのだろうが、そんなことよりも、この溢れるエネルギーを何に託そうか、そんな姿勢が会場全体を覆っている。 初期においてそのエネルギーは、色燦々さと極端な厚塗りという姿だ。画題は山をともなった自然風景と子供の人物画だ。 人を画くと言うことはエネルギーの発散する原点を画くと言うことだろう。自己確認・自画像であろう。子供=己=太陽だ、生命の源・核でもある。 自然は、画家の生命観が顕れ、命という塊が関係し合い明るく闘争・競争しあっているのだろう。 絵画作品の厚塗りには本当に驚かされる。画材はペンキだろう。職業柄親しんでいるペンキを、ケチルことなく全部使おうという姿勢だ。使い切ることが大事なのだ。目立ちたいという心理も働いていると思うが、こういう自己顕示欲は画家の特権でもある。こうでなくては面白くない。 絵画作品は一気に色を失っていく。ただただ色燦々の画き殴り、ただただ厚塗りという向かうところ敵無しの姿勢から、反省期に移行したのだろう。なぜ画くか?何を画くか?それでも休むことを知らないのが氏の良いところだ。心理的反省はあっても、内から溢れるエネルギーは常に出口が用意されている。 黒と錆色に収斂されていく。色の代わりに空き缶、鉄板、針金、釘などをコラージュ風に作品に埋め込まれていく。それは外向きのエネルギーが内に内にと降りていく姿でもあろう。現実に衰えていく自身の体力、それはエネルギーの落ち着きとも受け取れる。あるいは、エネルギーに再生を込めた魂(たま)振りかもしれない。自分自身を震い立たせようとする、隠れていた秘密のエネルギーの現れかもしれない。「精神性」という形での作品の現れだ。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 「エネルギー」とは哀しい存在かもしれない。子供の天真爛漫さが、その出発だ。その姿を見ているだけで、こちらは明るく幸せな気分になる。 だが、直線的一方通行を特徴とするエネルギーは時に方向を見失う。エネルギーそのものの塊も小さくなる。それが無くなりはしないかとも怯えたりもする。時々思い出したようにして、それが噴出する。ところが意に反した方向に向かって、誰のエネルギーなのかと自分を恥じたりもする。 楢原武正の場合はそのエネルギーに姿を与える闘いだったかもしれない。今は、それを奮い起こす闘いかもしれない。 (もう少し写真を載せたいのですが・・・。中期の年代を示す作品が少なく感じます。おそらく、インスタレーション作品に積極的に取り組まれていたからでしょう。)
by sakaidoori
| 2010-01-17 11:17
| 大通美術館
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![]() 丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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