2009年 12月 26日
○ 川上直樹・展 2009 会場:プラザかけはし(札信ギャラリー) 中央区南2条西3丁目 札幌信用金庫本店西口 営業プラザ「かけはし店」地下1F (駅前通り東側) 電話(011)241-2141 会期:2009年9月24日(木)~9月26日(土) 時間:10:00~17:00 (最終日は、~16:00まで。) ーーーーーーーーーーーーーーーーー(9・26) (3ヶ月前の個展です。以下、敬称は省略。) ![]() ![]() 上は展示風景で、今展の全出品作でもある。 当館の黒い横縞壁面は、川上・風景画の横拡がりの構図とのマッチング、画家の好む世界だろう。 川上直樹は、大作では風景画オンリーだったと思う。それらを、公募展に出品することによって、画量を高めていた。公募展出品とはいっても、つい最近のことではるが。 さて、今展では道展出品予定の2点の大作が静物画・構図画になっていた。氏の過去の流れから見たら、新たな出発のような感じで見てきた。 ![]() ![]() 氏は風景画を画いていたが、それをリアルに画くとか、対象の存在に迫るという感じではなかった。いささか几帳面過ぎるくらいに構図にこだわり、画面全体からある種のムード・思想を主張する感じだ。つまり、画家にとっての「風景」は仮の姿で、そこが「富良野の草原」であろうと、「手稲の山並」であろうと、その場の固有性を主張してはいなかった。「何を画くか」よりも、「いかに画くか」にウエイトがあった。 その「いかに画くか」に的を絞った時に、「風景画」の制約が邪魔になったのだろう。 氏にとっての「いかに画くか」の大きな入り口は「構図をつくる」にあるわけで、「構図絵」で、今の自分を試す。それに専念して、画力を高める。そのことによって、「何を画くのか、何を画きたいのか?」という絵のテーマもきっちりと自己確認していきたいのだろう。 それでは「何のための構図か?」ということになるが、それは出来上がった絵を見て判断するほかはない。 今展の2作に関しては、絵そのものよりも「川上直樹は自分自身を画家として見つめ始めたな」という印象が全てであった。 こういう「構図画」は抽象画を目指すのでなければ、どうしても「何か」を画かねばならない。「構図そのものの力を引き出したい」とするならば、画題に引っ張られすぎは画家にとっては失敗作であろう。そして、「犬の絵」は画家にとっては失敗作だと思う。やさしい表情で、どこか「挽歌」の匂いがする。それを引き出すのを目的に画かれた絵ではなかったのに。 だが絵とは不思議なもので、僕などは時に画家の主張などを無視して絵を見る。だから、「どういう意味で犬を画いたか?」よりも、「犬をやさしく画いた」事の方が好ましい。 「構図画に専念して自己主張を全面に出す」が今個展の命題であったと思う。僕にはその自己主張よりも、「門立ち展に、大事な事柄(犬)」を画いた、その川上直樹という人間性が垣間見えたのが嬉しかった。それはあまりにも正直すぎるが。 僕には川上絵画を語る基準がある。氏の課題である構図力、その構図からのっぴきならない緊張感が生まれる。氏の持つ人間を見つめるヒューマンな眼差し。、構図の緊張感と物・人・時・記憶を見つめる眼差しが絡み合い始める。その時が本当の川上・絵画の出発だと勝手に思っている。 そういう意味では今展はまだまだだ。だが、「いかに画くか?」と「何を画くか?」がようやく絡み合い始めた。 ![]() ![]() ![]() ↑:左、「木枯らし」・SM。右、「サクロと枯れたハス」・8F。
by sakaidoori
| 2009-12-26 10:58
| 札信ギャラリー
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アバウト
![]() 丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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