2009年 12月 19日
○ 北岡文雄・展 会場:HOKUBU(ホクブ)記念絵画館 豊平区旭町1丁目1-36 (地下鉄東豊線「学園前」①番出口、徒歩7分) 電話(011)822-0306 会期:2009年9月3日(木)~12月20日(日) 開館日:毎週木・金・土・日曜日 時間:10:00~17:00 料金:一般300円、小中生200円 幼児無料 ーーーーーーーーーーーーーーーー(12・18) ・ 人物のいる風景版画を中心にして ↑:左、「渓流の森」・1984年。 ↑:右、「羅臼岳晩秋」・1989年。 北岡文雄といったら、頭にこびりついた二つのイメージがある。 一つは、終戦後直ぐに発表された、モノトーンによる民衆画。暗さを特徴としていて、「人とは何か、時代とは何か」を問うている。彼の画業から振り返れば、若かりし時代の捨てられし青臭さであった。 一つは近代美術館で度々見れる北海道の風景画。大判の掛け軸仕様で、実景の生命力を大胆に流動化し、見た目は抽象化された奔放なイメージ風景画だ。先ほど言った、若き時代の人への同情・慈しみの心が生命賛歌として昇華されたみたい。 ところが、今展を含めて普通に氏の作品に触れる時には、そういう大仰さは微塵もない。「二つのイメージ」とは、特化された公的・美術館的イメージなのだろう。色を自由に使い、国内・海外と激しく旅してその旅情・異国情緒を僕らに伝えている。季節は春から初夏・夏を一番の好みにしているようだ。画面に多い「緑」は、その証だろう。秋も得意だが、色付く紅葉がいいのであって、画家の色好みの反映だ。 今展、2階・3階と小品だが60点はあろうか。ほぼ一貫した美学・趣味の作品群だ。多様な色はハーモニーになっていて、心踊る。似た作品ばかりで深みがないと言えばそれまでだ。 僕は、彼の「自然観照」「生命の普通のありよう」「普通な物・者の輝き」を、彼の理想を素直に楽しんだ。 作品は風景ばかりです。 彼の風景画の特徴は、見たものを中心にすえてドーンと描く、そこに色や形が絡み合って、飛び出すような迫力をともない目に迫る、そう理解した。 作品に点景のように「人物」がいる作品もある。そういう作品は、純粋風景画とムードが違う。点景としての人物を生かす為に、画題が横に広がっている。画かれる中心は「物」としての存在ではなく、人を包み込んだ全体の情緒に主眼があるようだ。人無き風景画が、全てが中央に向かうのに反して、「人物」が居ることによって、横に横にと画面を素通りしている。「人物」は風景の小さな一部として、しかし絵全体の「作家の意志」を主張する道具として存在している。 以下、人のいる風景画ばかり載せます。 (中品の大きさ。)
by sakaidoori
| 2009-12-19 09:25
| ☆北武記念絵画館
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丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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