2009年 12月 05日
○ 竹津昇・水彩画展 -原風景を求めて- 会場:夢創館 恵庭市島松・JR島松駅右側徒歩1分 電話(0123)36-6050 期間:2009年11月20日(金)~11月24日(火) 休み: 時間:10:00~18:00 (最終日は、~17:00まで) ーーーーーーーーーーーーー(11・22) (タイトルのないのはこちらの未整理です。概ね制作年代順の配置。 未整理は文章も同じで長くなりました。写真だけでも見て下さい。) ![]() ![]() ![]() 旧レンガ倉庫を利用したギャラリー。とにかく広い。その広い空間の壁面に白いパネルを廻しての作品の展示。壁の好きな画家だから暗灰色の壁に直にかけたらとも、思うが、とりあえず普通にゆったりと見せている。 一つの回顧展だ。画歴20年ほどの流れが理解できる。美大などの学校出身ではないので、普通に素人として出発作品が初々しい。 まだ充分に若い方なのに、なぜ出発を含めた回顧展となったのか?御本人は、もしかしたら「たまたま良い機会と場所にめぐりあったから・・・」という返事が来るかもしれない。それはそうなのだが、画家として本格的再スタートという意気込みあってのものだろう。そして最近の代表作の2点は巡回展中なのでここにはない。いやが上でも「回顧展」の様相を深めている。それで今回はいいのだ。 ![]() もちろん上手い絵ではないが愛すべき小品だ。思わずゴッホの初期のくたびれた靴の絵を思い出した。 かばんと瓶だけを画けばいいのに、「絵はやっぱり構図だ。いろいろと混ぜ合わせて・・・配置はこんなものかな・・・、背景を描くのか、強く画いたらメインのかばんと瓶が生きない、それに正直にいって背景まで上手く画けない。ええ~い、面倒だ、ざっくばらんに赤く画いちゃえ」そんな強引な若き画家の強さが想像される。 以下の画歴の流れを見ると、ようやく最近になってここから卒業したと思う。もちろん技術は別の話。 一つは、構図という外骨(そとぼね)的な事と、テーマという内面的なものの関係で作られた美的な構図に拘る姿勢。 一つは、絵の、その中での色が発散し、どこか内向きな絵画感覚。それは表現主義的表現といえばいいのだろう。壁への溺愛として絵画化されたようだ。 ![]() 中、「夜(れんが工場)」・1993年 100F ワーグマン紙(道展・2回目入選)。 左、「白い壁」・1994年 60S 水彩(道展・3回目入選)。 ![]() ![]() ![]() まるで外国の場末のようだ。同時に人間味溢れるモチーフが好きなのだ。壁にしみ込んだそれらの匂いを嗅ぎ取りたいのだろう。 ![]() ![]() ソウルが初の海外旅行とのこと。その翌年にスペインに行った。氏のスペイン行きはかなり有名で、完璧なスケッチ旅行だ。 絵に外国の壁を見る喜びが伝わってくる。いささか抑え気味だった「色」の世界だ。構図意外は全て踊っている。そとから踊り手たちの様子を楽しんでいる風情だ。 ![]() ![]() 下の絵は今までとはかなり異質だ。構図と感情表現という2点だ。 つまり、外形を支える構図と、それに支えられた安定した絵画から、線的枠を追っ払って、対象そのものの構図を捉まえて、そのエネルギーを視覚化させている。確かに大仰な絵だ。だが、画家にとっての成果はその勢いにあるのではなくて、与えられた構図から自由になろう、より内面的な構図を模索しようということだと思う。 今年、その感覚・成果に基ずいて3点ほど大作を描き続けた。全て納屋の中の絵だ。残念ながら一番の大作を含めて2作は出品されていない。下の作が最新作の1点だ。 ![]() 内壁が描かれているが、この絵全体が壁のようなものだ。「内を見つめる目」というよりも、不必要な物は描かないという姿勢が貫かれている。外壁に注目して画けば、どうしても空が入る、道もある、隣家も気になる。それらは確かに大事な要素ではあるが、いつしか装飾的なものとして処理しがちだ。強い壁への思いが軽くなる感じだ。だが、それらを無視して壁だけ画くにはどこか不安だ。・・・、そんな流れの中から生まれたのが納屋シリーズだと思う。 画家の筆致はどこか内向きだ。だから、大きな絵を画いても収縮して小さく感じる。そのこともあり、画家は大きな絵を画きたいのでは。 人間臭さのみの絵を画きたいのでは。それをささえる内向的な構図を確保し、静かさの中に重さを確保したいのだろう。 さて、彼の絵はユーモラスなところがある。「人間」を画きたいのだから当然だ。そのユーモラスはどういう風に絵の中に位置づけられるのだろう?ようやく10年単位の画業が始まった。だから、今展は卒業展だ。
by sakaidoori
| 2009-12-05 18:55
| [恵庭] 夢創館
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![]() 丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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