2009年 09月 09日
○ 第54回 新道展 2009 会場:札幌市民ギャラリー・全階 中央区南2条東6丁目 (北西角地) 電話(011)271-5471 会期:2009年8月26(水)~9月6日(日) 料金:有料 時間:10:00~17:30 (最終日は、~14:30まで。) 主催:新北海道美術協会 ーーーーーーーーーーーーーー(9・1) (①・②の続き。) 右側、会員・西田靖朗、「再会」・100.5×161cm アクリル。 左側が今年の最高賞です。しっかりした具象画だ。函館の方で69歳とのことである。正直にいって、その年齢に驚く。 実は2年前の新道展に初出品していて、その時の作品を「栄通記」に載せている。「花火」という題で、あどけない子供の体形のアンバランスさが面白かった。 当然、その子供のアンバランスさは拙さからくるものかもしれないが、そういうことに関係なく楽しめれた。 だが、作家の本意は違っていたたようだ。よりリアリズムに徹する、黒色・青色を基調にした闇を画き、思いを託すという主旨のようだ。図録を見れば、昨年も具象力を高めて佳作賞を授賞していた。 具象力が高まった、技術が上手くなったことにはそれ程の驚きはない。だが、この年齢で短期間に絵の密度を高めたことには感心する。 今後も具象力という方向で勝負する画家だろう。どういう形で更に表現力を高めるのだろう?より緊張度を高めるのか?愛情表現が高まっていくのか?関心をもって見ていこう。 上の写真は2階の一番奥の空間。 一般を中心にした作品主体で、最後の陳列であり見せ場である。 中、一般・山下敦子、「祈り」・F80 アクリル。 右、会友・荻野不二男(紋別市)、「メランコリー」・F100 油彩。 面白い作品が並んだ。 左の宮本市子・作品。彼女の作品には華がある。しかも小さくまとめようとしないところが良い。確かに荒削りな面がある。だから作品に粗が見えて、何やら批判がましい言葉が聞こえそうだ。それは小さな欠点だし特徴だと思う。表現しきれない大きな可能性として見ている。 今作、写真で見ると中央が顔に見えるが原作はそうではない。むしろ左上の方が顔らしく見えて、真ん中のラインがボディー・ラインで右下の黒い部分がお尻に見えた。お尻の部分にセクシャルさが薄いのは女性画家の特徴でもある。なかなかライン一般に男好みのセクシャルさが滲み出ない。表現したいことが男とは微妙に違うからだろう。 冒頭に荒削りと言ったが、今作も真ん中の黒や白い部分と輪郭線は表現力に欠けていて、その為にやけに大きく間延びして見える。絵の中央でのアピール度が少なかったから賞にもれたのかもしれない。 それはそれとして魅力的な作品だ。木屑で画かれた面、細々した材料の配置に愛情とか優しさとか女性らしい細やかな気配りを思う。 山下敦子作品。 激しく狂おしい祈りだ。ストレートさが好ましい。燃える抽象画、これからどう進んでいくのだろう? 荻野不二男。 明るい模様の生地で顔を覆っている。暗いイメージの「メランコリー」という言葉、深刻ぶらないデザイン模様の明るさ、その対比が画家の工夫だろう。少し作為的ではあるが。 ウエーブラインが片目隠しと口塞ぎ状況を醸し出している。苦しくないはずはない。生地の向こうにいる顔は、それでも片目を開けて抵抗している。 しかし、生地はピンク色もあり美しい。 会場中央で上向きにひっくり返っている女(作品)。立体造形のボリューム感はシマリ無く亡羊感が漂ってはいるが、ユーモラスであり親しみがもてる。 作家はかなり思い悩んで作品化していると思う。最後は投げやりと言ったら失礼だが、「え~い、どうにでもなれ~!」という心境で完成?させた感じだ。中途半端さと潔さ。もし、僕の想像通りに無念な思いがあるならば、その辺を暖めた次作を期待しよう。 敢闘賞を上げたい。
by sakaidoori
| 2009-09-09 00:18
| 市民ギャラリー
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アバウト
丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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