栄通記

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2009年 08月 20日

1076) 品品法邑 「版画三人展  林由希菜 川口巧海 石井誠」 終了・8月5日(水)~8月16日(日)

○ 版画三人展
   林由希菜 川口巧海 石井誠

        
 会場:品品法邑(2階)
     東区本町1条2丁目1-10
      (北郷13条通の北側の南西角地。
      同じ北側の向いに法国寺有り。)
     電話(011)788-1147

 期間:2009年8月5日(水)~8月16日(日)
 休み:火曜日(定休日)
 時間:10:00~18:00 
     (最終日は、~17:00まで)

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 静かな3人の版画展でした。
 3人共通のテーマがあるというものではなく、それぞれが取り組んでいる普段の姿をゆっくりと見せるというものでした。
 3人は大学の卒業前後の若者達で、その淡々とした姿に今後の変化なり成長が楽しみです。

 男性の川口巧海君、石井誠君は道都大学の4年生。滞在していたので、彼等の作品を載せます。

 林由希菜さんは札幌大谷短期大学部専攻科(美術)を卒業したばかり。リトグラフです。この春に時計台ギャラリーで沢山の作品を見せてくれました。その時の出品数に比べたら、今回は大きさといい小規模な出品でした。どうしたのかなと思ったのですが、三人展を考慮してとのことです。現在進行形で旺盛に制作されているとのことでした。


石井誠

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     ↑:「つなわたり」。



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     ↑:「Respiration (Ⅰ)、Ⅲ」(呼吸)

 シルクスクリーンです。
 石井誠君は線描の醸し出す激しいタッチと、ロック張りのにぎにぎさを特徴としていました。その後、シルクスクリーンの可能性の習得もあり、色の深みなどいろいろなことを試みています。
 今作も写真を連想させる物をコラージュ風に張り合わせているように見えます。(技法のことは分からないので適当に読んで下さい。)情念爆発型であった学生が技法の習熟のために繊細さや知的さを表現しようとしている感じです。

 「つなわたり」が今展の代表作でしょう。変身した虫のような生き物が首吊りしているみたい。虫のユーモアさや、Vの字の線の肉筆さ緊張感が心地良い。
 残念なのは右下の四角の部分です。絵の中に無意味と思われる部分があるのを僕は好みますが、これは知的な過剰構成で、ミスマッチでしょう。虫とVの字と背景色、この三者で成り立たせるのがこの絵の魅力でしょう。緊張感と伸びやかさです。
 石井君は学んだことを絵にしなければならないという生真面目な青年かもしれません。封印気味な情熱的表現が、こうして余計なものを描かせたのでしょう。絵としては不満ですが、描きこまざるをえなかった事に「石井らしさ」を感じて、これはこれで楽しめる作品でした。

 石井誠君は大学入学以来、作品発表やグループ展の企画など、意欲的に美術活動をされた学生です。今後、彼がどういう方向に行くのか?それは分からない。わからないのですが、今までの一つの区切りとして、小なりとも個展をされてはどうだろう。今後の美術継続のための糧になると思うのだが。


○ 川口巧海

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 メゾチント技法による銅版画です。メゾチントは銅版を縦横斜めと線を刻み、刻んでできた銅版のめくれを利用して色を載せていく。何と言っても色のグラデーションがみせどころです。画題を表現する以前の作業、銅版をねちっこく丹念に隙間無く切り刻む行為、まるで絵を描くための過剰な儀式にみえますが、そこが大事なのです。その儀式に魅せられた人達の執念のような美意識、鑑賞はそれとの対話です。どこか、禅的世界です。

 おそらく川口巧海君もそういう気質の持ち主でしょう。
 だが彼は若い。修行のようなメゾチントの追求だけでは面白くないとみえて、日本画的画材を利用して、濃淡の中に星のような輝きを表現しています。それなりに面白い。
 ですが、基本は描かれた絵そのものにあるでしょう。グラデーションは作家の心の何か、対象の何かを表現するための技法です。今展の作品群は作家が対象を見つめ深める一里塚でしょう。これからの深化を期待しましょう。

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     ↑:「部屋」・メゾチント。

 技法としてでなく、表現としての今展の力作。
 まるでデッサンそのものが立ち上がったような作品です。卵?の形、その配列の模様とリズム、区切られた線と卵たちの響き会い、画面を覆う細く鋭い白線の圧迫感、タイトルの「部屋」が若者らしい!
 グラデーションに意識が行き過ぎて、明るさを取り入れる神経に欠けたようだ。メゾチントはグラデーションが特徴だ。だが、単に暗さのバリエーションだけでは物足りない。
 川口君の修行が始まる。欠点をどう克服するか、楽しみにしています。


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     ↑:「朝露」・メゾチント 一版多色刷り 雲母刷り。

 雲母の輝き、一版多色の妙をこの写真で伝えれないのが残念です。


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     ↑:「高貴 Ⅲ」・メゾチント 雁皮刷り。

 展示方法に提案です。
 ガラスの額装は無くてもよいのでは?
 折角のメゾチントです。ガラスの反射でその魅力が半減して見られがちです。作品も小さいし、短期間の展示ですから保護の必要は無いとおもうのですが?



 
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     ↑:林由希菜、「かえろう」・リトグラフ。

 作家不在。無断掲載になります。一枚だけお許しを。リトグラフ作品です。



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 シルクスクリーン、メゾチント、リトグラフが今回の作家達の版画技法です。それぞれに関係した資料を簡単に陳列していました。

 静かでさっぱりした暖かい展示でした。学生にはパワーを求める栄通ですが、なぜか心穏やかに退席してきました。

by sakaidoori | 2009-08-20 22:52 | (くらふと)品品法邑


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