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栄通記

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2009年 07月 27日

1046) 画家のアトリエ 「第7回 富樫正雄・アトリエ展」 終了・7月18日(土)~7月25日(土)

○ 2009年 第7回  富樫正雄・アトリエ展
    正雄の軌跡“北海道生活派”時代(1952~1971年)の作品から

 会場:富樫正雄アトリエ・ギャラリー
     手稲区富丘2条7丁目2-13  
     (JR手稲駅より徒歩約10分。
     国道5号線沿いのバス停より徒歩約3分。)
     電話(694)4218 (富樫耕)

 会期:2009年7月18日(土)~7月25日(土)
 時間:11:00~17:30

※ アトリエ・コンサート ⇒ 25日 19:00~
             チェロ・藤田淳子 ピアノ・西條暁
             定員10席、会場先着順にて予約受付。

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 富樫正雄氏が同人として所属していた「北海道生活派美術集団」の展覧会時代の作品紹介です。
 1952(昭和27)年~1971(昭和46)年、33歳から52歳の頃です。

 おそらくこの団体は故・大月源二氏(1904年~1971年3月18日・享年68歳)が中心になって旗揚げされたと思いますが、はっきりしません。
 実際、氏の逝去の年が最終展覧会にあたります。もっとも、「生活派美術集団」と名乗って展覧会を開く必然性が希薄な時代になっていたのでしょう。「戦後」という時代の中から生まれた団体が、「戦後」が希薄になることによって解消されていったのではないでしょうか。
 会場には小さな字ですが、団体の小史と綱領が書かれてあり、この団体が日本共産党の文化運動から派生しただろうことがうかがわれます。だからといって、団体が政治運動の一翼を担っていたとか、絵が政治のプロパガンダなどとは無縁です。風土性・土着性に根ざして絵を描こうということを宣言しているのでしょう。

 作品全体は少し暗い感じで、時代にタイム・スリップしたみたいです。氏は風景画が真骨頂だと思いますが、初めて見る労働風景画などもあり、「画家の足跡」を実感します。
 以下、順不同で個別作品を載せていきます。


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     ↑:「北晴合板工場にて」・1966年(第12回生活派展出品) 市立小樽美術館蔵。
     ↓:上の絵の部分図。

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 戦前の労働画を見たことはありますが、こういう風なワイドな全体風景でなかった。新鮮な思いで見ました。こういう画題へのアプローチにしろ、風景画やミズバショウなど、大月源二氏の影響を感じる。若い頃は彼を慕っていたのではないでしょうか。

 絵の中央、奥の方の白い屋外風景が目に止まる。雪でしょう。季節は冬です。当時は吹きさらしの工場で合板を制作していたのでしょうか?
 画家は働く人と白い風景とのコントラストを強調している。白い部分の面積を押さえて、屋外の自然や人の動きを想像で見させようとしている。暖かい雪色です。
 人声まばらに、機械の音だけが響いているのでしょう。それが近代の活気というものです。


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     ↑:左、「塩かつぎ」・1952年(第1回出品) 市立小樽美術館蔵。
     ↑:右、「石炭ローダー」・1957年 市立小樽美術館蔵。


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     ↑:左から、「小林多喜二像」・1955年 市立小樽美術館蔵。
     :「小林セキ像」・1966年(第11回出品) 市立小樽美術館。


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     ↑:「みのり」・1958年。

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     ↑:「疎林のみずばしょう」・1968年 市立小樽美術館蔵。

 枝の重なり具合や、花の配置のリズム感などは氏の美学・自然観が最もよく発揮される場でしょう。絵から喜びが伝わってきます。見る人をきつく細かいところに誘わないで、画布から出てきた明るさだとか喜びだとかエッセンスだけを引き立たせようとしているみたい。
 この頃はまだまだ暗めです。そして几帳面です。だんだんと画布からの発色が自然のそれに近づいていくのでしょう。


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     ↑:「逆光のニレ」・1968年 市立小樽美術館蔵。

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     ↑:「よっちゃん」・1969年。


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     ↑:左から、「自画像」・1945年頃(32歳頃)。「大月源二デスマスク:・1971年。

by sakaidoori | 2009-07-27 11:34 | 富樫アトリエ


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