2009年 06月 26日
○ コレクション展より 門馬よ宇子・作、「薬莢の入った容器、」あるいは「容器の中に入った薬莢」(筆者の仮題)。 会場:ギャラリー・門馬 自宅玄関 中央区旭ヶ丘2丁目3-38 (バス停旭ヶ丘高校前近く) 電話(011)562ー1055 会期:2009年 時間: (玄関が空いていれば、恐れること無く入りましょう。いつでも何かがみれます。いつ展示替えになるかは不明。) ーーーーーーーーーーーーーー(6・25・木) 余りにも美しく恐ろしい作品だ。 故・門馬よ宇子女史がご主人との沖縄旅行中に採集した薬莢(やっきょう)、それらが標本のようにプラスチックの容器に入れられているだけだ。 女史はキャプションにこう語っているー 「・・・。作品につけてある薬莢は実際に第二次世界大戦で使われていたもので、30年前に夫と二人で沖縄に旅行した時に持ち帰ったものです。 過去の歴史にこだわれば大変な悲劇そのものなのですが、純粋にそのものだけを見ていると表面的には美しく見え、美術と事実の関係が私の中で宙ずりになってしまうのです。・・・」 戦争を刻印した美しき薬莢だから恐ろしいのではない。表現者・門馬よ宇子の行為が恐ろしい。単純明快に作品を言い切った姿勢が恐ろしい。 確かに沖縄のある地点を捜し求めれば、今でも戦争遺品は見つかるだろう。薬莢も入手可能だろう。だからといって当地をただ歩いていては薬莢を拾う事はありえない。 女史は何らかの目的で夫と二人で戦争跡地に行き、意図的にそれらを拾い集めたのだ。美術の為かどうか?ー美術表現者という自覚の持ち主ならば、その人に関わる事すべてが美術行為だろう。「美術」とは「生きる」ことでもあろう。「物」はその行為の証であり、その人の分身へと昇華されるかもしれない。 更に言えば、門馬よ宇子は家族に拘った表現者でもあった。「戦争」ということに鑑賞者の意識がいきがちだ。もしかしたら、「美術と事実」ということは後から大きくなった問題かもしれない。夫との旅行そのものが、かけがえの無い「何か」であったのかもしれない。門馬よ宇子夫妻の愛の記録かもしれない。 大いなる私的秘め事を抱えて、「美術行為」を問うている。「宙ずり」という文学的言葉を自身に我々に投げかけている。そこには解などはない。美術はクイズ問答ではない。禅問答の修行でもない。 僕は門馬よ宇子の投げた薬莢を見ている。受け取る事は出来るかもしれない。投げ返す力があるのか?その事が恐ろしい。彼女のようにあっさりと空に投げ返せばいいのに。
by sakaidoori
| 2009-06-26 13:07
| 門馬・ANNEX
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丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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