2009年 06月 11日
○ BOX ART 「3」・展 会場:ギャラリーたぴお 中央区北2条西2丁目・道特会館1F (中通りの西側の郵便局のあるビル。) 電話・林(090)7050-3753 会期:2009年6月8日(月)~6月13日(土) 時間:11:00~19:00 (最終日は、~18:00まで) ・オープニング・パーティー ⇒初日、18:00~ 【参加作家】 柿崎秀樹 名畑美由紀 能登健一 林教司 藤川弘毅 ーーーーーーーーーーーーー(6・10・水) 箱を風呂敷で包んでいる。大、小、中と・・・ただそれだけの作品。 「 会場は小中品の展示で数も少ないから、静かに作品間を通路のように歩く。 柿崎秀樹のユーモア交じりの自虐的かつ攻撃的作品もあれば、能登健一のデザインによるボックス・アートの裏攻めもある。藤川弘毅は軽くリサクルを楽しんで沈溺している。林教司はいつものように過去と死を見つめている。名畑美由紀は重箱を包んでいるともいえる作品を並べている。 だが、全体に沈鬱というか、物を自己そのものを見つめようという視点が強い、ボックスという閉ざされた空間への吸引力が強い。だから、この風呂敷包み作品も「骨箱」として見てしまう。 「骨箱」として観るし、あれやこれやの想念が浮かぶ。だが、この作品の価値はこういう物を提出した行為と意志にあるだろう。強く作られた作品と構える必要はない。この作品自体は誰でもできる。縛り方や生地や大きさのあれこれを言っても意味はない。 ことさらマチエールや技術などを問わなければ、誰でもが「視覚芸術(美術)」の表現者になれる。万感の思いを込めて、路傍の石を石として、その人の感覚で他人に見せる内発力と勇気があれば、それで表現者だ。今風にいえばアーチストだ。 他人の目を気にした奇を衒う作品もあるだろう。それも可だ。だが、他人の目ばかりを気にしていては長くは続かない。 おそらくこれは「骨箱」だろう。作家には何か物語があるのかも知れない。 それよりも、僕でも出来る物を何食わぬ顔で作品として展示した行為が心憎い。 「禁欲者」はお金を額に入れて作品化されている。だからお金は使用不能。だが愛でて触って持っているという一人だけの喜びはあるだろう。 「人間は・・・」、便も作っている。もっとリアルだと困るのだが、程よい味付けだ。 藤川・美学の一つに綺麗な並べ方がある。自然体とは違うのだが、極端な誇張や破綻を排する。 今展の全部にそのことが言えるが、左の作品が良い例だ。 「綺麗に並んだ。手で優しく触ってあげよう」。作家の呟きが聞こえそうだ。 ↑:左側、「HAYO PIRA」。 ↑:右側、「伊藤玲児に捧げる。 -絵の具箱と筆とー 伊藤玲児」。 「ハヨピラ」。 救急箱の中に砂を入れ、兄妹の写真とピラミット。 UFOに詳しい人は「ハヨピラ」と聞いただけでもピーンとくるかもしれない。平取町沙流川右岸の地域で、近くに義経神社があるところだ。今もそこのハヨピラ公園内に、このピラミッドが建っている。昭和42年に宇宙友好教会という団体がUFOと交信のために建てたそうだ。かなりの大きさがあって、一時は寄付された町が、公園内施設として管理していた。維持が難しくて、今では立ち入り禁止の危険な物件になっているとのことだ。 (ちなみに、「ピラ」は豊平・トヨピラと同じで崖の意。かつてのサル川が浸食してできた崖かもしれない。そのサル川、今はかなり東を南下している。) 写真の男子は林教司本人。氏は1947年室蘭生まれだから、このピラミッドの建設時期は二十歳だ。写真の実年齢とは合いそうもないので、写真の子供の頃にこの施設と関わってはいないようだ。ピラミッドは何かの暗喩・象徴かもしれない。 「ハヨピラ」、兄妹・家族にこの辺りでの思い出があるのだろう。どこかもの悲しい作品だ。重厚さはいつもと同じだが、普段にも増して具体的メッセージがある。当然、美術というレトリックに覆われたメッセージだが。 (参加人数が少ないので変に頑張りすぎてしまった。)
by sakaidoori
| 2009-06-11 12:10
| たぴお
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アバウト
丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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