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栄通記

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2009年 06月 10日

999) さいとう 「ミカミイズミ スギモトマイ・テキスタイル作品展」 終了・4月28日(火)~5月3日(日)

○ ミカミイズミ スギモトマイ・テキスタイル作品展
     「いずまい」
     ~おとなりのなんたら君~

 会場:さいとうギャラリー
    中央区南1条西3丁目1 ラ・ガレリア5階
     (北東角地)
     電話(011)222-3698
 会期:2009年4月28日(火)~5月3日(日)
 時間:10:30~18:30
     (最終日は、~17:00まで)

ーーーーーーーーーーーーーーー(5・3・日)

 一月前の展覧会です。
 最終日に行ったので、なかなかの人ごみです。
 


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  型と染めを見せるテキスタイル展。道都大の関係者の若い女性2人。

 会場はL字形で、部屋の入り口にスギモトマイ(上の写真)、色中心で「明るくて、良いな」、と思いながら部屋を奥に進む、今度はドーンと渋くくっきりとミカミイズミ作品だ。
 色と濃紺のコントラストにクラクラして思わず嬉しくなってしまった。

 デザインされた布地作品を垂らして見せるだけの展覧会だから、見せ方が大変だ。
 このぎゅうぎゅうに詰められた作品同士の距離感に作家の若さが溢れている。会場のメリハリということを重視した展示と思うが、こういう極端なアプローチは好きだ。今展の作品の細かいことは忘れてしまうだろうが、この強いメリハリは忘れがたい。実際、展覧会も一月以上過ぎてしまった。文章にするには細かい事は書けなくなったが、印象忘れ難く、記録に留めておきたい。


○ ミカミ イズミの場合

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 作品はデザインされた型を作り、それを利用して染めたもの。
 作業工程は型の繰り返しだから簡単と思ったが、染を一気に出来ないだけ相当に面倒だったとのことだ。

 それはともかくとして、型と作品の関係は微妙だ。
 作品は型の部分の反復・位置替え・反転などを巧みに利用している。そして、作品を見れば分かるが、怪物とまではいわなくても「生き物」だ。明快な目・手足・体を持っている。
 ところで、初めに全体のイメージをそれなりにデッサンして、それに基づいて型を作ったのだろうか?それとも、こういう型を作れば「異形の生き物」が出来ると経験的に分かるから、型作りから取り組んだのだろうか?
 前者の場合は全体から創作(構想)して、作業行程として細かい部分に入っていく。最初の構想が前提で、修正を伴いながら完成形をめざすものだ。
 後者の場合は、形の定まらない細かいところから入って行って、全体が増殖組み立てられるのを楽しむという姿勢だ。「何が出来るかお楽しみに」というものだ。
 
 ミカミイズミはメリハリを利かせた物語作家だと思う。
 一枚の布地の縦長、横長に応じて絵巻物のように話しを展開するのはお手の物だろう。
 今展は、与えられた自分の空間全体の物語を作った。おそらく、深海とも闇夜ともいえる暗がりの世界での楽しい妖怪達だ。妖怪展と顕わにしては余韻に欠けるので、あくまでも「静けさ」に拘ったようだ。型としての部分が増殖して生まれる単体の生き物を可笑しく、可愛らしく、力強く演出したミカミ絵巻物展だ。

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○ スギモト マイの場合

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 上の作品は全部シルクスクリーンによる草木染め。
 化染は色むらも少なく、明快な明るさだ。もちろん、原料の草木の採取などの行程を必要としないからより楽だと思われる。その化染作品は正面に何点かあって、それらはデザインも色使いも上の草木染めとは大分違っている。こちらの方がいかにも若者が作ったという感じだ。(一番上の写真参照。イスも化染作品。)

 強い色と云うのが僕の草木染めのイメージだった。どす黒いとまでは言わないが、そういう色だと思っていた。これは僕の認識不足だった。材料にもよるが、染め時間の調整や作家の工夫で色の風味は変わるのだ。

 だが、草木染めの場合、この淡い色感覚は彼女の特徴だろう。柄は植物を取り込んでいるのが多い、現時点での作家の自然観を正直に反映した色の世界だと思う。

 昼すら薄暗く木の葉生い茂る初夏の林、根元は濃い緑草に土色も赤黒く、異様な色を帯びた毒キノコが足元に陣取っている、落ち葉を触ればジワッと湿り気がする・・・。
 スギモト林はこういう世界ではない。生き物は密集しているがカラッと爽やかだ。生娘が原っぱで野いちごを取っているような世界だ。

 草木染め、予期せぬ淡い染め方に驚いてしまった。

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 軽く透き通る紫。
 紫の気品はより濃いと思う。それは女王の色だろう。これはお姫様の色だ。
 色に見とれてタイトルを記録しなかった。全てに作者の若いタイトルがついている。
 それと、草木染めは鉱物を混ぜて色を出すとのことだ。初めて知った。その鉱物との親和性で、色も微妙に変化するのだろう。

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 色は淡く軽く、花柄模様に包まれて唄いたがっている。もうすぐ浴衣の時期だ。花火を見るアベックが思い浮かぶ。


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by sakaidoori | 2009-06-10 12:18 | さいとう


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