2009年 05月 27日
○ Wave 11人展 会場:市立小樽美術館・3F市民ギャラリー 小樽市色内1丁目9番5号 (小樽駅から5分ほど運河方面に) 電話(0134)34-0035 会期:2009年5月12日(火)~5月17日(日) 時間:10:00~18:00 (最終日は、~17:00まで) 料金:無料 【参加作家】 青木美樹 江川光博 深山秀子 水谷のぼる 福原幸喜 徳吉和男 高野理栄子 羽山雅愉 工藤英雄 末永正子 三宅悟 ーーーーーーーーーーーーーー(5・16・土) (980番の①の続き。) ◎ ③三宅悟の場合 ↑:左から、「冬の北手宮風景」、「台所」。 ↑:左から、「冬の余市川」、「吹雪の後」。 自然の風景と、古い時代を思わせる街の佇まいとその中の人景を画題にする作家。季節は雪に完全に覆われた頃と、全然雪の白さのない春や夏。 いずれにせよ作家の理想の世界であり、自然や人間を愛して止まない優しさに満ちている。 3度ほど個展を見たが三宅悟の魅力はなかなかグループ展では伝わりにくいかもしれない。作風が地味ということもあるが、どこか涅槃図のようなところがあるので、のんびりと時間を過ごしながら眺めるような感じで、時と共に対座した方が良いかもしれない。 三宅絵画の特徴は絵から発散する光と、絵に引き込ませる色の重なりせめぎ合いにあると思う。 光の発散と言っても子供がボールを上に投げても直ぐに落ちる程度の高みだ。 色の重なりと言ってもすぐに戻ってこれそうな深みで、非常に等身大なのだ。 極端を排して、どこか茫洋としていて気持ちを和ませてくれる。そんな和む気持ちで見ていると、絵という窓から向こうの世界に行きそうな錯覚を起こす、それを三宅トリックと言ったらいいかもしれない。 冬景の絵は白と光を、春夏景の絵は緑や色の重なりに注意しよう。川の絵、時間と光が交差しながら川は流れている。光と色の重なり、止まった時間と人間に注意しよう。 ◎ ④・羽山雅愉の場合。 小振りの作品ばかりだが意欲的な出品だ。内容も今までの画風から軽く距離を置こうととしているみたい。 氏の画題は街の風景が多い。ビルが立ち並ぶ、道路が水面のようにピカピカ鋭く輝く、スパッと伸びた横線が入り近代的流動感、そんな絵が多い。絵は素敵なのだが、実景のムードからはかなりかけ離れている感じだ。かけ離れてもいいのだが、少し綺麗過ぎて誇張華美だと思っていた。 ↑:左側。②「冬の小樽工芸館」。右側、③「黄昏・小樽ノマド」。 上段の①の絵は今までのパターン。 中下段の絵は①とは少し趣を異にしている。違いを一言で言えば、児童画風の遊び心で描いていることだ。氏の大作は横長が多いと思う。 風景は横広がりか基本だから仕方がないが、それに飽き足らない思いが強くなってきたのではないか。②のゴシック風の天に伸びる姿や③の取り組み。 ⑤のタイトルはいかにも遊んでいる。「小樽ルタオ」、画題をなぞるようなタイトルではつまらないと思ったのだろう。 遊び画的なムードはどこかキリコの若い時代に通じる。最大の違いはキリコは「人」や「影」が大事な要素だが、氏の絵にはほとんどそれらが無い。人など画く必要がないのだ。建物が人の痕跡であり、「人物」でもあるかもしれない。もちろん「不安」という要素からは遠い。 自由さを絵に意識的に取り込もうとしている。この傾向は大作にどう反映されるのだろう?楽しみなことだ。
by sakaidoori
| 2009-05-27 22:38
| ☆小樽美術館 市民ギャラリー
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アバウト
丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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