○ 渡辺貞之
「存在と眼」
会場:STVエントランス・アート
中央区北2条西2丁目・STV北2条ビル・1階ホール
(東南角地、玄関は東向き)
電話(011)207-5062
会期:2009年4月6日(月)~4月26日(日)
時間:月~金 9:00~18:00
土・日 9:00~16:00
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渡辺絵画のエッセンス展だ。
油彩はいつもの「ゴッコ・シリーズ」から。
会場全体を教会風に見立てた展示だ。メインの大作は「渡辺流最後の晩餐」。板をつなぎ合わせた作品で、開き窓に描かれた宗教画をもじっている。いつになく人が沢山居て、円い顔が画面でにぎあっている。風刺芝居の一齣だ。絵の出来がどうのこうのというよりも、こういう画家の行為を楽しみたい。
他の油彩画は静かそのものだ。あまり画面をゴチャゴチャせずに静かだ。「その静けさ、色そのものを見ろ」、という作品だ。静寂の中の緊張。
「目の人・渡辺貞之」の真骨頂が階段を利用して並べられたデッサンだ。目を中心にした顔の表情は少年達の心の窓だ。光と影だ。対人関係におけるマイナスの顔、社会の一員としての希望と不安の顔だ。
階段の下、そこの暗さが顔を見るにはうってつけだ。暗闇の真実さがある。
そして階段を上がりながら一人一人の青年達を見ていく。教会の登り回廊に並べられた使徒のように。
渡辺・演劇空間が都心のビル内にひょっこりと現れた。
青年達の眼差しに想像が膨らむ。画家の「人を見る目」に愛情と怜悧さを思う。「目」とは美しく不可思議なものだ。

↑:「黒い羽根の天使 最後の晩餐ゴッコ」。


↑:左、「実験ゴッコ」。右、「童話の宅配便」。

↑:左から、「不安」、「絶交」。

↑:「19歳」。


↑:左から、「失望」、「背反」。