2009年 04月 08日
○ 第6回 カルチュレ 2009展 会場:大通美術館 大通西5丁目11・大五ビル (南進一方通行の西側。) 電話(011)231-1071 会期:2009年3月31日(火)~4月5日(日) 休み:月曜日(定休日) 時間:10:00~19:00 (最終日は、~17:00まで) 【出品者】 八木野蓉子 栗城陽子 加賀谷智子 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(4・8) アマチュア画家による友達3人展。加賀谷智子さんは既に個展紹介時に載せたので省略します。 ○ 栗城陽子の場合 作品とは昨年からの関係。本人とも会話することができた。 彼女の特徴、一言でいってしまえば「上手」だ。更に言えば、「こう描けばカッコいいだろう、上手く見えるだろう」ということが分かっている描き手だ。絵をいつから描き始めたかは知らない。おそらく描き始めて短期間である程度のレベルに達したと思う。青一色で抽象的に纏め上げる、シャープな感覚はハッとさせられる。学んだだけではなかなか表現できない味がある。そうなのだ、彼女は何でも直ぐにある程度に達するのだ。問題はここからだ。 絵の場合、色彩感覚と構成感覚が豊ならば絵になる。 純粋な「日曜画家」とは、それらを絵を描くことによって修得するのだろう。日常の約束事から離れ、精神を自由にするために絵を描き続けるのだろう。 「画家」の場合、絵画修行とは自己の可能性の確認・気付きだと思う。初めから自分を信じている人と言ってもいい。逆に、絵が無ければ自由になれない人でもある。絵の技術も間違いなくいち早く身に付く人だ。写生力は絵の実力とは違った物で、修練で何とかなる。見たままを描くことに向いていない「画家」も当然いる。写実力を含めた絵の技術とは「画家」にとっての武器であり、武器以上のものではない。どういう武器(技術)を使うか?そこが画家の画家たるゆえんだ。 栗城陽子さんは手術をされたとのこと。いたって元気そうだったから大事には至らない模様で一安心だ。上の絵は最近作。 イメージ画、大事な大事な原風景だろう。寒色中心で寂しそうだが、原画はそうではない。絵全体が丸みを帯びて素直だ。画中の点景は飾り的要素が強いが、水墨画的な樹木や建物あるいは人物とも見れる。優しく寄り添っていて、リズムにもなっている。 画家は病気になり体が回復することによって、今までとは全然違う画風を出した。こういう心境を描きたくて描きたくて、抽象表現で暗中模索していたのだろう。背中の荷物をそーっと降ろして、気楽に描いたのだろう。描けれた満足度は高く、絵としての自覚度は低かったことだろう。 「絵の上手い」栗城陽子が病気という人生の節目で、軽く心を開いた。上手くなることが絵ではない。カッコ良く見せるだけが絵ではない。心と絵が付かず離れずのランデブー。 一つの引き出しが開いた。 ○ 八木野蓉子の場合 ↑:右側、「春陽」・F8。 人形などの静物画を得意としている画家だと思っていた。いつから抽象絵画に目覚めたのかは知らない。最近のことだろう。ある日思ったのだ、「絵って自由に描いてもいいのね!描いちゃおう」。年配の女性だが、女性特有のオテンバ心を思い出したのだ。コラージュが楽しいのだろう。自力をひとまず置いて、絵に他力を挿入して楽しんでいる。画歴の長さからくる品の良さは絵全体をまとめようとしている。上品に色が語り合っている。出品作の全体のまとまりなどお構いなし居に、ドンドンと前向きな姿勢がうかがえる。いろんなことにチャレンジして、楽しくて仕方がないのだろう。 楽しいばかりではない、大胆な絵もある。 「吹雪く朝」、荒れ狂った雪が窓に襲い掛かっている。決して上手い絵ではないが、画家の胆力がある。おそらく、昔の体験と今との対話だろう。タイトルは現在進行形だ。今、外は吹雪いている。部屋から建物の歪む音を聞きながら窓を見ている。 吹雪という存在は無くなってはいない。だが、現在の都市という街は自然の力を見ようとはしない。コンビニやスーパーの明かり輝く不夜城だ。 北海道に住むということ、雪の魅力雪の恐さを知っているということ、そして画家は絵にする。 静かな綺麗な絵を描くことが得意の画家だったと思う。そんな姿勢をかなぐり捨てて、自然の脅威・畏敬を朝の窓に見ている。その生命力をもらおうとしている。
by sakaidoori
| 2009-04-08 12:52
| 大通美術館
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丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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