2009年 03月 30日
○ 第13期 CAIアートスクール卒業制作展 会場:CAI現代研究所 中央区北1条西28丁目2-5 (環状線から北海道神宮方面に曲がり、直ぐの左側の中小路に入る。50mほど先の右側、コンクリートの一階建て。) 電話(011)643-2404 (13時以降) 会期:2009年3月22日(日)~3月28日(土) 休み: 時間:13:00~19:00 ※ オープニング・パーティー:3月22日(日) 19:00~ 【出品学生】 井口工真 植田美知代 大西亜美 柿澤万里沙 笠井睦代 黒岩絵里子 鈴木悠哉 高木利沙子 蓼内由香里 田中裕子 星野将毅 松久恵理・・・以上、12名。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー(3・2) 不思議な展覧会でした。 卒業制作展ですから、作家の主張が全面にでた作品群になるはずなのです。何故だか、妙に一つにまとまった展覧会でした。栄通流に名付ければ「やさしい展覧会」です。まるで自分の個性を集団の中で際立たせるのを避けようとしている、そんな勘違いをしてしまいます。 「やさしい展覧会」ですから、個性的な作品が少ないということです。 何故、やさしく見えるかというとーー ① 舞台装置のように石がそこかしこに置かれています。インスタレーション作品の石ころです。結果として会場全体が均一なムードやリズムを帯びることになった。 ② 授業で習ったと思えるような画材としての風船が、適当に散りばめられています。①と同じ効果。作品と言うより、飾りになっています。作家を特定しにくい。 ③ 一人の作品の展示領域を限定していなくて、2、3ヵ所に分散されています。「鑑賞者ー作品ー作家」という会話を妨げている。作品に際立った質の高さや違いがないのは仕方がないのです。差異をを生んでいなくて、「誰が描いたのだろう?」という意識が薄かった。 ③ 以上の理由で、メインの会場が匿名性で覆われている。キャプションはしっかりあるのですが、いろんな理由で誰の作品かは分かりにくい。 別室の作品は、メインの部屋の廻りを浮遊している感じ。全体とのからみで個が成り立っている。それは全体あっての遊び空間になっている。 卒業制作展を何かのテーマだけで統一することは無理だろう。だが、今回の学生達は無意識に他人の事(作品)を優しく配慮している。相手の領域に静かに入り込んで、居心地良く振舞っている。普段の授業で、学生達の強い親和性が生まれたのだろう。良いことなのか悪いことなのか? 今回の彼等の表現力は、まだまだ拙い。それは構わない。作品に実力が備わった時でも、何食わぬ顔で融合展ができるのだろうか? 会場風景と個別作品を数点載せます。 ↑:柿澤万里沙。上の階段のタイトルは「あなたがその手を汚してまで手にしたものは何でしたか」、あるいは「さよならの音は聞こえましたか。」 丹念な線描画です。マジシャンが袖を通して掌からハトを出すように、繰り返された模様の線描の中からロマンが生まれるみたい。小室でも構わないから、個展の中での物語を見たいですね。 ↑:左側、井口工真。右側、カサイ ムツヨ。 個別作品としては広いメイン会場よりも、隣接した部屋の作品の方が印象に残りました。おそらく、オーソドックスに独立しての展示だったからでしょう。 以下、それらの作品です。 メイン会場の置くにある階段上の部屋。 屋根裏部屋のようなゴチャゴチャとして狭い空間が好きな人のようです。その部屋で一人何かの作業をして、その痕跡を楽しんでいるようです。作品は絵ですが、絵そのものよりも、写真のように記憶として関わっているみたい。 ↑:左側、星野将毅・「唯」。右側、蓼内由香里・「Soul」。 喫茶ルームでの展示。 「Soul」、小さい作品ですけど一つだけですから妙に目に入ります。鎖の位置を変えて楽しむのでしょう。 「唯」、下がり壁の展示。目が仲間達を見ている。 今展で最も興味深かったのが、この白い建物です。当然、中に入って気分を味わってきました。女の子の秘密のカプセルです。 中には製本された写真本があって、その制作者がカプセルを作った人だと勘違いしそうです。一人だけの部屋ですが、やっぱり今展の「やさしい展覧会」を象徴しています。誰が作ったのかは二の次みたいです。皆が喜んでもらえればそれでいい、と。 天井はお月さまみたいに光り輝いていた。白い部屋を温かくしていました。
by sakaidoori
| 2009-03-30 18:57
| CAI(円山)
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アバウト
丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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