2009年 03月 25日
ご無沙汰しておりました。なかなか春の来ないストックホルムからお伝えします。 ここ2ヶ月ほど、自分の制作の他に、他の科と合同の課題を平行してやっています。 2月は新しいレストランを作るという課題で、コンテナを利用した移動式レストランの計画をし、3月はストックホルム大学との合同課題で、Space, City, Cultureをテーマにグループワークをしています。 先週まで、ストックホルムの中から一つの場所を選び、そこから社会的、経済的、政治的、文化的な関係を導き出す、という課題をやっていたのですが、そこで調べた内容を、ここで少し紹介したいと思います。(カフェ特集は、また次の機会に、ということで。。。) ![]() ![]() ![]() 私たちのグループが選んだのは、ストックホルム中心部にある、Kulturhuset (カルチャーハウス)の4階にある、子供のための図書館、”Rum för Barn”。 3つの部屋があり、黄色の部屋は0~3歳児のために、茶色の部屋は4~7歳児のために、白の部屋は8~11歳児のための部屋です。 対象年齢にあった本や遊具が置かれています。図書館内にペインティングルームもあり、アーティストの指導のもと、絵の具や色々な素材を使って作品を作ることが出来ます。 毎週金曜日の4時からは、プロのダンスの先生の指導のもと、ダンス講習会が行われています。 ![]() ![]() 休憩所はプラネタリウム仕様になっていますし、トイレの前には大きな水槽も置かれていて、スペースを贅沢に使っています。 昨年には、子供の遊具の展覧会が同じ施設の中で行われていて、その時の展示作品も、実際遊具として使われています。因みに入場料は無料。アートのワークショップは、約300円ほど。 ![]() ![]() ![]() この環境から、私たちのグループは、少子化に焦点を当てたのですが、さすが社会保障の先進国!教育、女性の育児のサポートはしっかりしています。 スウェーデンなどの北欧の先進国は、他の先進国よりも早くに少子化を経験し、早くから対策に乗り出していました。高額の社会保障、その結果の経済悪化、改革、改革、改革の結果、2006年の合計特殊出生率が、1.85(人)と回復。(因みに日本は2007年で1.34。) 街中でもベビーカーを見る機会も多く、バスの中にもベビーカーを置く場所が広く設けられています。 日本と同じく、保育所はキャンセル待ちですが、子供を育てる環境はかなり充実しています。(そして、育児費用もかなりチープ。) 女性の社会進出のサポートが充実していることが、少子化を抑制している理由の一つとして挙げられます。 何とスウェーデンは2006年の世界経済会議で、男女平等の国として一位!(日本は75位。) この図書館の中でも、お父さんとお母さんの割合は5:5。街中でも男性がベビーカーを押している姿は珍しくありません。 私の学校でも、先生方が男女問わず、自分の子供を学校に連れてきます。有名なデザイナーの教授でさえ、保育園のお迎えがあるから、と4時きっかりに仕事を終えて帰ります。 勿論、この図書館はスウェーデンの中でも、”特別な場所”なのですが、この図書館から、スウェーデンの色々な姿を見ることが出来ました。 HPもご参考に! http://www.kulturhuset.stockholm.se/default.asp?id=5657&ptid=22540&Category=Barn ![]() 今回ご紹介するのは、この課題で同じグループだったEmma(エマ)。彼女はストックホルム大学の学生で、フィンランドからの留学生。専攻は、Urban Planning(都市計画)。 この間、ミーテングのためにEmmaのおうちにおじゃましたのですが(とっても素敵なアパートでした。)、その際に手作りのシナモンロールをごちそうになりました!そのシナモンロールをのせたお皿が素敵で、どこで買ったの?と聞くと、お皿の裏には彼女のサインが!趣味でやっている陶芸はプロ並みです。 フィンランドのテキスタイルブランド、marimekko(マリメッコ)がとても良く似合うEmma。この授業が終わったら、シナモンロールのお返しに日本食パーティーをする予定です! (注⇒スウェーデンは子供の写真を撮ってはいけない(子供の権利を尊重)というきまりがあるので、今回は図書館がお休みの日に特別に撮影させていただきました。通常は、入場制限するほど、子供でいっぱいです!) ~~~~~~~~~~~~~~~~ (編集者から。) 今回は「子供」という具体的な問題ですね。その切り口として、「少子化問題」ですね。 スウェーデンの取り組みは国家の基本制作との一体性が強いと思われます。日本の場合は建前はともかくとして、経済政策と文教政策、人口対策はバラバラですから、参考になる点が多いいでしょう。近代文明の光と影も共有していて、スウェーデンの生き方は日本に反省の機会を与えてくれます。 一方、人口規模や国家の成り立ち(歴史)、人間関係の考え方が全然違うので、あくまでも参考以上にはならないでしょう。 スェーデンはある時からヨーロッパの争いから身を退いて、「福祉国家」を国是とするようになりました。内向き志向による規模に合った国造りです。外交は中立という名目で、ユニークな立場を維持しようとしています。僕はそんな風に北欧国家を認識しています。 日本は明治以来「富国強兵」を近代国家建設の理念にし、大戦以後は「富国」だけを目標にしてきました。豊かになった現時点で、国家は次のビジョンを国民に提示できないでいます。今後はどうなるか? 女性である槌本さんにとっては育児は他人事ではないでしょう。女性、母性、女ー徹底した個人主義の国での生活は、自分を見つめる機会も多いことでしょう。 いつもながらの友達紹介、今回も目の眩むような完全な外人ですね。魅入ってしまいました。是非、日本食のお礼を!
by sakaidoori
| 2009-03-25 13:25
| 槌本紘子ストックホルムキ記
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![]() 丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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