人気ブログランキング | 話題のタグを見る

栄通記

sakaidoori.exblog.jp
ブログトップ
2009年 03月 22日

942) 美唄 「ピパの湯・ゆ~りん館  北浦晃・作品」 

 ピパの湯・~りん館
 場所:美唄市東明町3区

ーーーーーーーーーーーーーー(3・22)

 アルテピアッツァ美唄に「田村陸・展」を見に行った。帰りにゆーりん館で温泉入浴。以前にも行ったことがあるのだが、暗闇の遅い時間で、ただ入るだけで終わった。
 時間もあるので館内を散策する。建物は吹き抜けの二階建て。二階が温泉施設だ。左右に二つある階段と壁に挟まれた通行の少ない回廊をすすむと、4点の北浦晃・静物画があるではないか。その先の突き当たりの壁にも大作の風景画がある。左側は光が燦々と入る吹き抜けの休憩コーナーだ。
 施設に失礼の無い範囲内で写真を載せさせていただきます。

942) 美唄 「ピパの湯・ゆ~りん館  北浦晃・作品」 _f0126829_21553066.jpg


942) 美唄 「ピパの湯・ゆ~りん館  北浦晃・作品」 _f0126829_21593942.jpg
     ↑:北浦晃、「美唄・楓ヶ丘」・1992年 130.3×162cm(F100号)。

 風景画を描き始めた頃の作品ではないでしょうか。木々の周りを枠で囲い、装飾模様が風景を覆っている。この手法はそれ以前の大きな静物画の手法の残滓で、風景画への移行期の作品に多く見られる。絵そのものは明るく、新たな展開への画家の喜びが伝わる。
 この絵に表現された日本画的様式美が氏を袋小路に追いやった。それを乗り越えて本格的風景画家になられたのだ。長き画業で何度危機に会い、画風を変えられたことか。今では以前には拘りで描かれなかった画題にも積極的に取り組まれている。旺盛な作画生活の日々を過ごされている。
 頻繁に発表されている画家です。次回の個展も報告したいと思っています。


942) 美唄 「ピパの湯・ゆ~りん館  北浦晃・作品」 _f0126829_2218831.jpg


942) 美唄 「ピパの湯・ゆ~りん館  北浦晃・作品」 _f0126829_2219348.jpg
          ↑:「祝花」・1991年。

942) 美唄 「ピパの湯・ゆ~りん館  北浦晃・作品」 _f0126829_22243114.jpg
          ↑:「卓上の林檎」・1984年。

942) 美唄 「ピパの湯・ゆ~りん館  北浦晃・作品」 _f0126829_22272547.jpg
          ↑:「林檎五つ」・同上年。

942) 美唄 「ピパの湯・ゆ~りん館  北浦晃・作品」 _f0126829_22285222.jpg
          ↑:「冬の窓辺」・同上年。

 特に1984年の静物画は緊張を強いる。林檎の形、その影、林檎そのものの存在感、全体の構成美と骨格の力強さ、風景画を描く以前に氏が追求していた一端が想像される。一言でいえば絵に高い精神性を求めていたのだ。それは日本画の伝統であり、日本人の美意識の大きな柱の一つだ。狭い狭い箱庭における禅の修業を感じる。
 それにしても素晴らしい。僕はもっと小さな絵でこういう作品を知っていたから、再会を喜ぶばかりだ。
 妻は北浦・作品にこういうのがあるのを知らなかった。驚きで顔の崩れること、風呂に入る前にオーラの湯気が上がっていた。

 (近々、「田村陸・展」を載せます。)

by sakaidoori | 2009-03-22 22:40 | [美唄]


<< 943) シカク 「中里麻沙子...      941) ① 時計台 「第8回... >>