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栄通記

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2009年 03月 18日

939) たぴお 「朴湧一・金侑龍・朴朱福  『FRONTIER』」 3月16日(月)~3月21日(土)

○ 朴湧一・金侑龍・朴朱福
    「FRONTIER」

 会場:ギャラリーたぴお
    中央区北2条西2丁目・道特会館1F
    (中通り、西側のビル)
    連絡先・林(090)7050-3753
 会期:2009年3月16日(月)~3月21日(土)
 時間:11:00~20:00

※ レセプション・パーティー: 3月21日(土)・最終日 18:00~

ーーーーーーーーーーーーーー(3・17)

 (始めに朝鮮人と云う呼称について。
 大韓民国籍の方を韓国人、朝鮮民主主義人民共和国・いわゆる北朝鮮籍の方を北朝鮮人あるいは朝鮮人と呼ぶべきなのでしょう。最近では両国の英語表記の中に共にコーリア・Koreaと綴られていることから、分別せずにコーリアンと呼ぶようです。ですから、日本に居る彼等のことを在日コーリアンと呼ぶわけです。
 僕はカタカナ呼称をとりません。今展に参加されている方々を朝鮮人として呼ぶことにします。国籍が分かった段階で、韓国人や北朝鮮籍の朝鮮人と書かせていただきます。)

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     ↑:①

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     ↑:②

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     ↑:③


 展示は3部構成。

 一つは、メインの朴湧一・金侑龍・朴朱福の作品部分で写真①&②。
 一つは、賛助出品の様な形で北海道朝鮮初中高級学校の初級部1・2年生の作品。③の写真の左部分。
 一つは、在日朝鮮人美術作家に関する論考のテキスト。③の写真の左側。

 「FRONTIER」とは国境・辺境の意味。アメリカ文化に親しんでいる北アメリカ大陸西部開拓地を具体的に想像したり、その未開の地に臨む開拓精神までもフロンティアと思ったりします。
 いずれにせよ、ボーダレス時代の今日において、在日朝鮮人として国境を美術テーマにしたわけです。

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     ↑:金侑龍・作。

 シンプルで綺麗でストレートな表現だ。シニカルな面は感じられない。もっとも、棚の上の紙カップの「ヒーロー」をどう見かによって理解に違いがおこるかもしれない。(追記⇒「ヒーロー」ではなく、「ハロー」でした。僕の誤読です。)

 白い紙コップには「JAPAM」と刻印され、中には園芸用の土が入っている。ドロではない。養分豊かな土だ。新芽のようにピンが一つ一つに植えられて、双葉のような形で小さなネーム・プレートが開いている。そこには万国の国家名が書かれている。数えるのを忘れた。現在、国家は幾つ在るのだろう?200ヶ国前後と記憶する。もしかしたら、一国一カップかもしれない。そこまでは無いだろうが、気分は世界中だ。
 「日本」という大地に多くの外国人が花開いている、日本における万国の融和を謳ったのだろうか?皮肉さがあるほうが日本人の僕としては救われるが、その清々しさに頭が下がる。彼がそれを信じているかどうかはこの際関係ない。美しくその理念を真正面から提示したのだ。

 棚の上の紙カップは擬人化したものだろう。「ヒーロー」だ。金君は人が好きなのだ。

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     ↑:朴湧一・作。

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          ↑:「Home」

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     ↑:左から「View」、「Focus」。


 朴湧一・君の画題は「家」だ。可愛いい小さな家、彼の明るい隠れ家か?綺麗な家並み、どこか壊れそうな家々々。一つ一つの家は人として擬人化して見ることができる。家に託した夢、願望、恐れ、不安・・・、作家の辺境心理は日々の生活真理と重なっているのだろう。
 在日朝鮮人家族の場合、その国籍は多義に渡っている。帰化しての日本籍、変更しての韓国籍、北朝鮮籍と各々が決めることになる。両親や子供は強制的に一つに成ることは少ないようだ。
 僕の友人の場合は海外旅行をするのに不便だからと韓国籍に代えた。果たして彼は本当に旅行したのだろうか?


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     ↑:朴朱福・作。

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     ↑:「Resonance ~共鳴」

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     ↑:「The rose is red」

 朴朱福・君、おそらく若い女性でしょう。表現にたゆたゆしさはあるが「辺境」への思いは伝わってくる。特に男性群が一人理念や情念で迫る表現だから、彼等の心の融和を図っているようだ。やさしく思いやりの心で。


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     ↑:北海道朝鮮初中高級学校の初級部1・2年生の作品。

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     ↑:鄭梨愛・作。(学校の先生かもしれません。追記⇒高級部の学生とのことです。)

 この展覧会の目的の一つに美術を通して北海道の日本人と在日朝鮮人との交流を計るということがあります。
 児童の作品が特に目新しいということではありません。あたりまえなのですが、異国籍の子供達も学校で絵を描いているのです。忘れていた事実の提供です。


 会場には在日朝鮮人美術家の歴史、及び個別作家の詳論が壁にはってあります。いずれ僕なりにまとめてその意義を書きたいと思います。それらは②に続くということで

 

by sakaidoori | 2009-03-18 23:19 | たぴお


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