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栄通記

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2009年 03月 07日

933)  CAI02 「シャンヒ・ソン個展」・映像 終了・2月27日(金)~3月7日(土)

○ シャンヒ・ソン個展
   "The sixteenth book of Metamorphoses"

 会場:CAI02・raum1
    中央区大通西5丁目 昭和ビル・B2 
    (地下鉄大通駅1番出口。注意⇒駅の階段を下りてはいけません。昭和ビルの地下2階です。)
    電話(011)802-6438
 会期:2009年2月27日(金)~3月7日(土)
    ※オープニング 27日19:30~
 休み:日曜・祝日(定休日)
 時間:13:00~23:00 

 協力:npoS-AIR

ーーーーーーーーーーーーーーー(3・7)

 会場に備え付けの個展図録には1971年生まれとあります。その図録ではソウルとニューヨークを生活と表現活動の拠点と記してありました。

 展覧会の表題は"The sixteenth book of Metamorphoses"とあります。「メタモルフォセス(変身物語ー韻文の神話伝説集)第16巻」だと思います。ローマの詩人・オブディウス(前43~後17?)作。会場には二本の映像が流れていて、この作品は壁をそのままにスクリーンにして、展覧会のサブ的な位置付け放映です。常に通奏低音のように、模様のようにして右壁に小さく流れています。

 メインは“The love story of Khora Plesiosaurus & leviathan”(コーラ、プレシオサウルスとレビヤタンの愛の物語)です。
 若い韓国女性の映像作品です。一切の日本語説明はありません。それは作家の意図なのか、単に準備不足なのかはわかりません。それを幸いに勝手に映像の粗筋を書いてみます。

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 物語は前編、後編、終章という明快な筋立て。

 人類、それをアメーバー人と語っている。彼らは完璧に幸せだった。だが「友達」がいなかった。理解しあえる友が必要だった。そして、彼等の「血」を土に混ぜて生き物を創造した。
 コーラと首長竜は愛しあった。レビヤタン(水中に住む巨大怪獣ー聖書より)も親しかったが、遠くから彼等を見守った。
 ある日、アメーバー人は決意した、支配者になろうと。支配の証か膨張する人口のための食料資源としてか、多くの生き物を殺戮していった。コーラは悲しみ首長竜を守りたかったが、それはかなわない望みだった。コーラ自身が首長竜の首を切り食し、断崖から飛び降りて自殺した。お腹には食した首長竜の御霊を宿していた。
 レビヤタンは海中に沈むコーラを腹の中に入れた。それは2人の霊魂の隠れ家でもあった。

 3個の生き物の霊魂は油田の地層に埋もれた。現代社会を支える油となって蘇った。パイプラインは極東から日本の遠く東の海中を渡り、アジアからオランダのシェル本社へと繋がっている。海中ではレビヤタンの末裔である巨大クジラがパイプラインのあたりをうろつきまわる。
 
 そして、パイプは決壊し油が黒い色をなして海を埋めていく。世紀末だ。コーラ達の怨念が、人類(アメーバー人)の暴力が地球を破壊していく。

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 ストーリは聖書をかなりモチーフにしているようだ。楽園ー失楽園ーバベルの塔のような自爆自棄的行為、残虐な殺戮、ノアの洪水、終末世界、名称の利用や寓意などいろいろと利用されているようだ。
 「ラブストーリー」と「文明批判」、どちらに重きがあるのかはわからない。
 文明批判としては粗筋の唐突さにハッとさせれる。漫画的手法なのだが視野の広さは良とすべきだろう。
 ラブストーリー。昨今「韓流」として日本社会へ純愛物が親しまれている。それらとの気分的な関連性があるのだろうか。
 映像作品としてはナレーションの韓国語の美しさ、最後のシーンの海がだんだんと暗くなっていくシーンなどは圧巻だった。
 シンプルな話の展開、簡単な手書き手法での文明批判といい札幌ではあまり見ない。そういう新鮮さはあった。インパクトやアッピールの度合いはどうなのだろう?おそらく作者は壮大なドラマを構築しているのではないか?その始まりのような気がした。
 機会があれば彼女の次作も見たいものだ。

 粗筋等の説明の責任は一切合切僕にあります。おそらく誤謬だらけでしょう。それが現時点での今作の理解です。

by sakaidoori | 2009-03-07 22:46 | CAI02(昭和ビル)


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