927） アートスペース２０１ 「おてもなし」 2月26日（木）～3月3日（火）

○　おてもなし

　会場：アートスペース２０１　
　　　　南２条西１丁目７　山口中央ビル・６階Ｃ室
　　　　（東西に走る道路の南側。）
　　　　電話（０１１）２５１－１４１８
　会期：2009年2月26日（木）～3月3日（火）
　休み：水曜日（定休日）
　時間：１０：００～１９：００

　【参加作家】
　（アーティスト：サヤカ　／カズコ　シシハラ）

ーーーーーーーーーーーーーー（２・２８）






　色は渋いが絵本にチャレンジする片村早花、明るく派手な色ではあるが魅力的なボリューム感とエロティシズムの獅子原カズコの２人展だ。見た目の明るさ楽しさという共通項はあるが目指す所が違っているから、２人展としては見事に調和していた。互いが我が道を行くという姿勢が展覧会としての個性を生んでいたと思う。

　会場左壁面が片村早花、風船に挟まれた正面が二人の合作、右壁面が獅子原カズコ。

○　片村早花の場合。



　上段が絵本の原画になる。小さいながらもちゃんと絵本を作っている。文字が印刷され、物語が展開されている。やはり、ちゃんと「本」を作らないといけないものだ。問題点が具体的にわかる。そういう意味では本格的絵本作りのマスター・プランといっていい。展覧会会場が絵本編集会議室で、お客さんたちが編集者だ。小冊子の絵本を片手に作家・制作者にあれこれと批評をするのだ。だから、「可愛いね」とか「素敵だね」とか「良く作ったね」という褒め言葉は禁句だ。大人や子供達に手渡して、本当に最後まで見てくれる絵本になっているかをチェックし合うのだ。この場合、原画そのものの質は問わない。それは別の問題だ。

　子育て経験者でありでそれなりに絵本を見た大人として、絵本が好きなお喋りな人間として僕も語った。例えばー
　　・見開き２頁のワイドな部分をつくる。
　　・ページをめくっていく中で、アッと驚くシーンを。
　　・原画の部分だけを切り取ったり拡大したり重ねたりして、原画は絵本の素材として考え直す。
　　・文章が少し説明的なところがあるので推敲の余地あり。
　　これは難しい問題だ。「絵本にとっての文章とは何ぞや」、片村早花なりの文章観を練り上げることだろう。
　　・色の配色がページをめっくていくリズムと響きあっているか？

　お説教じみた言葉を並べてすいません。親しい人にドンドン意見を言って貰って、もっともっと沢山作って下さい。あと、良い絵本の研究も大事だと思う。絵本作りに高い意欲の持ち主だと思う。というか、頭の中が物語で一杯の人なのだろう。
　絵本の題名は「あかいいと」あるいは「あかいひも」でした。



























○　獅子原カズコの場合


　　　　　↑：「ピションプラットは幸せ」・０８’１２～０９’２。


　　　　　↑：「Ｄｅａｒ」・２００９・１～２。


　　　　　↑：「君、僕と海に生きる水滴となれ！」・０８’１０～０９’１。


　　　　　↑・「逃亡して」・０６’１０。

　輪郭線ははっきりすっきり、明度、彩度は高くて派手、とても印象的です。だが何よりも円く大きなとりとめの無い形が魅力的だ。その造形が妖艶な姿態にいろんな妄想や想像をはぐくんでくれる。画題となる人物は漫画的で、僕はわからないが有名な劇画作家の影響があるかもしれない。それはそれで構わない。色のメリハリの強さと雪の塊のようなボリューム感、充分に個展で見せるだけのものはあると思う。是非個展で獅子原・ワールドを披露してもらいたい。もっとサイケデリックな、もっとエロチックな、もっと豊満な色と形の世界が見れるだろう。



　　　　　↑：今展のための２人の合作。