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2010年 10月 10日

1385) 市民ギャラリー 「第52回 学生美術全道展」 終了・10月2日(土)~10月6日(水)


○ 第52回 学生美術全道展

 会場:札幌市民ギャラリー・1階全室
     中央区南2条東6丁目
     (北西角地)
     電話(011)271-5471

 会期:2010年10月2日(土)~10月6日(水)
 休み:月曜日(4日)
 時間:10:00~17:00
     (最終日は、~15:30まで)

 主催:全道美術協会 北海道新聞社

ーーーーーーーーーーーーーーー(10.6)



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 高校生の絵画を中心にして見た。元気で極端な絵画が好きだ。そういう僕好みを中心にして掲載していきたいと思います。


 その前に全体の印象です。イラスト的な作品やユーモラスな作品が少なかった。ヘタウマとかそんなことではなくて、構図などもろもせず、画質もイマイチなんだけど、描かずにはおれない自分の感性、青年の強い気持ちが伝わる作品がもっと見たかった。上手で温和しい作品群だった。

 おといねっぷ高校の作品が沢山あった。入賞者も29名中9名だ。高い目標を掲げて、学校全体で今展に取り組んでいるのだろう。美術専門高校だから当然といえば当然なのだが、素晴らしいことだ。ただ、絵画に関していえば、様式美が強すぎるようだ。光の取り込み方、色の配置、作品の目立たせ方、クロ-ズアップ手法、描き手の目線等々、見ていて関心もするし楽しい。高い技術ではあるが、単純に言えば公募展受けする絵が多い。知名度を上げるための実績づくりという、切実な問題もあるとは思う。この技術に、学生個々の「個性」を花開かせて欲しいものだ。

 さー、好きな作品から載せていこう。


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     ↑:北海高校3年・佐藤拓実、「酔生無私」。

 細かい点描だ、できあがりはタコのおっとりした姿だ。細部のエネルギー充満と、全体の存在感がなんとも心憎い。タイトルも良い。高校生なのに酔い心地の昇天気分がよく分かるものだ。
 夏目漱石は「則天去私」などと、まさにインテリ気分でこざかしい名セリフを吐いた。彼に佐藤拓実青年のような遊び心があったならば、日本文学の箱庭的神経質さも、もっと早くにおさらばしていただろう。
 何の賞もない。原因は、版画で似た作品が北海道新聞社賞をいただいていたからです。オメデトウ。


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     ↑:優秀賞 札幌南高校3年・藤木聡世、「浮遊する18歳」・・・(工芸)。

 切り絵です。人物は輪郭は太く、骨格は細く鋭くと使い分けている。研ぎ澄まされた体なのだろう。
 金魚は細かく曲線で表現している。まるで青年をあざ笑うようにして泳いでいる。切り絵の一所懸命さが良い。


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     ↑:札幌大谷高校2年・鈴木美夏、「過ぎ去ってしまったけど」。

 シンプルな絵だけど、白が強烈です。その白い丸いお顔が引っ付いている。愛おしくなる作品です。


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     ↑:北海道新聞捨社賞 札幌旭丘高校3年・片野莉野、「刻限 Ⅲ ~帰路~」。

 大作です。不思議な絵です。

 写真では分かりづらいのですが、完全に左右が別の世界を表現している。右側は普通の電車収納基地。
 問題は左側です。そこに間違いなく描いた人の位置があるのです。そこからの視点だからです。そして、画家自身の位置が右の電車風景と一線を画している。いわゆる別次元の空間を作っている。それは左の大きく描かれた電車の輪郭がどこまでなのかが分かりにくくて、そのことによって電車が幽霊電車のようになり、しかも赤系の燃える色によって空気感そのものも右側の実写風景と別物になっている。
 要するに、学校からの帰宅時に、「自分の存在が別次元にある」、そういうものを描きたかったのでは。意欲作だと思う。


 以上が特に好きな作品でした。
 以下、部屋に関係なくランダムに載せます。


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     ↑:札幌西高校2年・米内麻里依、「空」。

 建物も丁寧に描いていて、浮いている少女が不自然でないのが面白い。「ちょっとレトロな私の学校、空を歩いてみようかな」、そんな気分です。


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     ↑:札幌大谷高校2年・大野莉奈、「ばぁ!!!」。

 楽しい絵です。絵としては顔ばかり見がちです。手も強く見てしまう。でも、かなり「人物」は描き込んでいる。


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     ↑:札幌啓成高校2年・本多富美子、「空塔」。

 この視点は大好きだなー。橋を引っ張り支える太いワイヤーへを見ている。見上げればそこには空があり、塔の如く建造物がそびえている。残念なのは、その線の描き方です。難しいのはわかるのですが、もっと丁寧に描いて欲しかった。


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     ↑:左側。北海高校2年・山田かおり、「教室」。
     ↑:右側、小樽潮陵高校1年・渡辺真由、「光」。

 ドア作品を2枚並べてみました。
 ドアという「窓」を描くのは難しいのでしょう。
 左側の「教室」はドア以外を楽しく描いていて、全体でお店の棚のような楽しいリズムが生まれている。
 右側、わずかに空いたドアからの光を描いている。そして、それだけしか描いていない。この大胆さが良い。僕は画家の意図した光よりも、何かが向こう側にある「ドア」に注目して見た。


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 おといねっぷ高校生の作品を3点載せます。

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     ↑:全道美術協会賞・北海道美術館協力賞 おといねっぷ高校3年・高橋皓、「かたい床」。

 ブルー心と綺麗心を重ねたような作品。青い道路表示板がやけに主張している。シンプルなのだが少し懲りすぎと思う。タイトルも「かたい床」とはひねり過ぎでは。
 真上から自転車群を描く。何はさておいて、その見つめる強さが一番大事だと思う。この絵は視覚効果や道具立てを必要以上に取り込んでいる。上手い絵だが、それ以上ではない。


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     ↑:奨励賞 おといねっぷ高校2年・田村陸、「Human experimentation」。

 変わった絵だ。タイトルは「人間実験」か。
 画題のオドロオドロさもあるのだが、どこかユーモラスな作品だ。シーツの皺や色はおといねっぷ高校技法なのだろう。一方に技術の消化という問題があり、一方で自分の出したい世界があり、うまくかみ合っていないみたい。


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     ↑:おといねっぷ美術工芸高校1年・小西美歌・「夢想」。

 綺麗な絵です。優しい絵です。色燦々の世界。

by sakaidoori | 2010-10-10 16:17 | 市民ギャラリー | Comments(6)
2010年 07月 10日

1291) 市民ギャラリー 「七月展 (道教育大自主作品展)」 7月7日(水)~7月11日(日)

○ 七月展
   北海道教育大学岩見沢校
   芸術課程 美術コース学生自主作品展


 会場:札幌市民ギャラリー
     中央区南2条東6丁目
     (北西角地)
     電話(011)271-5471

 会期:2010年7月7日(水)~7月11日(日)
 時間:10:00~18:00
   (最終日は、~16:00まで。)

ーーーーーーーーーーーーーー(7・9)

 昨日は久しぶりに昼からのギャラリー巡り。健康と小遣い稼ぎのためにチャリンコ・ツアーだ。
 市民ギャラリーから始まって、アートマン→時計台→たぴお→STVエントランス・ホール→アート・スペース201→アイボリー→スカイ・ホール→CAI02。
 松屋で安い夕食を済ませてからの帰宅、日ハムの野球放送を聴きながら、豪華に純米酒をあおって無事一日を過ごせた。

 この日は市民ギャラリーが面白かった。大学生のあれやこれやの作品群、社会人の写真展、高校生の国際「書」展と。


 さて、まずは北海道教育大学・芸術過程在籍の自主作品展から。

 教育大生の「7月展」。教育システムが変更されて、昔とはだんだんと違う雰囲気に発展しているようだ。もちろん、良い感じ。「抜群のイチオシ」作品はなかったが、それなりに自分好みに出会えた。日本画も本格的にふえてきた。版画も登場だ。何より、ヒョンなことで話が弾んだ学生ができたり、見知った学生とも久しぶりに会えて、「人」との触れ合いに刺激を受けた。


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     ↑:(1階の第一室。)

 会場は1階の天井高き第1室と、2階とに分散されていた。
 上の写真が、油彩・日本画・立体などがいつものようにオーソドックスに展示された第1室。
 立体作品が面白かった。そのお気に入り2点から載せます。

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     ↑:3年立体造形研究室・岩井慧、「馬鹿げた道具」。

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 続けて、似たような作品。いや、似て非なる作品かも。

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     ↑:3年塑像研究室・高松望、「shanti」。

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 両者の共通点は中間色の鮮やかさを強調して、こまめにチマチマとした手作業を集積している事だろう。前者はその努力に反して、「馬鹿げた道具」と表現している。自分自身の楽しみに、ことさら意味付けをしないスタンス。色と組み合わせと素材(フェルトか?)に喜びを見いだし、無意味というポーズだ。

 対して後者はどこか人体が連想される。「明るく派手におぞましく」と、言いたくなる。そしてタイトルは「シャーンティ」。調べてみたらヒンズー教で「寂静(せいじゃく)、あるいは平和」という意味のようだ。作品は涅槃の姿ということか?いささか凝ったタイトルに学生の作品に対する生理的思い入れを見る。
 そのタイトルに関係なく、派手なデザイン性ときらびやかな生理を感じた。


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     ↑:4年油彩研究室・中村悠子、「タクシータクシープール」。

 学年は4年生。綺麗で上手な絵だ。
 僕はこういう作品を見ていつも思うのだ。本当にこの学生は描きたい「事・物」を見つけたのだろうかと。色が好きだ、絵は好きだ、そして修練を重ねたから上手く描ける。上手く描けることに意識が勝ちすぎて、「何故描くか?」という、内発的な事をとりあえずは不問にしているみたい。決してそんな心理状態ではないのだろうが・・・。多いに悩み喜び静かな歩みを続けているのだろう。そうかもしれないが、どこかもったいない感じがする。だが、好ましい絵でもある。


 それでは何点かの青春群像画を。リアル、ユーモラスと多くの学生が「人物」にチャレンジしていた。

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     ↑:3年油彩画研究室・岩崎加奈、「藤衣」。


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     ↑:2年油彩研究室・五十嵐あり沙、「高揚」。

 顔の拙き表現力が昔風の雰囲気を出していて、懐古的楽しさがある。それは学生の本意だろうか?今は2年だが、さらに技術を身につけた歳になると、もっと今風の祭りを描くのだろうか?


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     ↑:3年油彩画研究室・荻野宏和、「依存症」。

 ちょっと観念的だが若者らしい絵だ。学生は「青」に依存しているようだ。それは好みか、ブルーなムードを伝えるためか?


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     ↑:3年版画研究室・安田せひろ、「記録としての平面」。


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     ↑:3年油彩画研究室・佐藤暁音、「蝕」。

 きらびやかな茶黒一色の世界がなぜだかこの日のお気に入り。「裸婦のいる抽象画」、そんなことを思った。


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     ↑:4年日本画研究室・能村聡美、「リリィ」。

 会場入り口展示の作品。入るなりさわやかな女性に会えるわけです。
 モデルは共に学ぶ同校の学生です。実物と絵とどちらが美人かと、共に見ていた学生に伺うと、「本物!!」、と簡潔な返事だった。そして、その学生は映像作品を出品しているとのことだ。さっそく見に行った。
 8分にわたる8ミリテープの実験的作品だった。以下、意味不明でしょうが何枚か載せます。

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          ↑:2年アニメ研究室・進藤美保、「白の世界」・8ミリテープ。

 8分全部が上掲のように、光一杯の白色編集だ。
 花咲く野原、そこに少女(作家自身がモデル)が登場、次に風景映像から一変して「何やら」のフワフワ運動。「目」か「乳首のある乳房」の拡大映像に見える。それらを人体の体温表示のような色合いと動きで追いかけて、そこに「少女」が再登場する。怖い顔で青い玉をにらみつける!青玉は「目」だったのだ!目が目をにらむ!そして青玉の「目」をパクパクと「口」に入れる。自分の「目」を食べるのだ。

 何らかの「物語」が進行しているわけだが、作家の真意はともかくとして難しい展開ではない。「少女」も登場しているが、そこには「性的」なものはない。成長する過程の「女」の現段階としての「少女」だろう。学生自身はセクシャルなことには遠縁のようだ。本当に無縁なのだろうか?
 何と言っても、前編を「白」で貫いている姿勢が良い。「目」とか「食す」とか、生理的関心の強さが好ましい。変に美しくまとめようとしていないのも良い。


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          ↑:院2年金属工芸研究室・小林優衣、「音楽」。


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 ジュエリー作品。旧札幌高専の学内卒業展の時に彼女と初めてお会いした。以来、時々市内ギャラリーで会っている。会うたびに若々しい感じで、ちょっと眩しいものです。
 卒業後のことに話を進めると、もっと工芸の技術を磨きたいとのことだ。道外も視野に入れているみたい。
 北海道は工芸の伝統が少ないし、何より職人的な雰囲気が低調な感じもする。技術習得の為の故郷離脱かもしれない。「故郷は遠くにありて思うもの」、卒業後の健闘を!!すべてはそこから始まるのでしょう。


 第1室以外の作品を、記録の為だけでも数点載せたかったのですが、意外に長くなりました。ひとまず以上にて。
 

by sakaidoori | 2010-07-10 17:54 | 市民ギャラリー | Comments(4)
2010年 02月 11日

1193) 時計台 「北海道教育大学大学院 修了制作展」 2月9日(月)~2月14日(土)

○ 2009(平成20)年度 
    北海道教育大学大学院・修了制作展

   
 会場:札幌時計台ギャラリー・3階全室。
    中央区北1西3・札幌時計台文化会館
    (東西の中通りの北側にあるビル)
    電話(011)241ー1831

 会期:2010年2月8日(月)~2月13日(土)
 時間:10:00~18:00 
     (最終日は、~17:00まで)

ーーーーーーーーーーーーーーーー(2・10)
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 3階全室を使った展示。若干の様変わりです。
 美術分野(絵画・彫刻・工芸・デザイン)の展示は例年と同じなのですが、書道分野も美術作品と同時に展示です。
 それと、図録が「卒業・修了制作展」として、4年卒業生達と同時に載せてあります。しかもA4版と大きい。当然、書も入っています。

 それはともかくとして、気に入った作品を中心に載せます。

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     ↑:佐藤あゆみ、「おやすみの日」・150×150×40㎝ 鉄 シナ。

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     ↑:お座り自由、寝てもいいよ!

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 佐藤あゆみは、比較的小さな作品で、他の作家作品と調和して、それらを引き立たせるという傾向だった。同時に、見てもらう人に触ってもらう作品を作っていた。要するに、皆なで楽しむことが佐藤あゆみの主眼だ。
 今作、まれに見る傑作だ。座って寝転がる「佐藤ベット」だ。足はパイプ・オルガン風だから、叩いたら微妙な音の変化があるかもしれない。音は確認できないが、リズミカルに目に飛び込んでとても優しい。
 市役所ロビーでも置きたいものだ。安田侃に対抗して、キタラ・ホールでもいい。武骨な風采ではあるが、何とも頼もしい存在だ。



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     ↑:齋藤由貴、「静寂に潜む」・1818×2273㎜(F150号)。

 こちらはまさしく卒業作品だ、学生時代の集大成だ。齋藤由貴にとって、とりたてて新しいものは無い。だが、自分自身のイメージをどう膨らすかに悩んでいて、原点としての自己のイメージをどこまで物理的に広げれるかにチャレンジした作品だ。雲で空間をごまかすのを止めた。体も意味ありげに隠すのも止めた。どこまで広いキャンバスに向き合えるか、耐えれるかに挑んだのだろう。
 卒業段階でこれ位の大作を画いて次に進むのが理想だと思う。そういう意味では2年遅い。そこが、本校の美術教育システムの弱いところだ。絵を描く根性、「何故画くか?」、その辺の自覚を鍛え上げる体勢の不備だと思う。
 さぁ、ここから齋藤由貴は始まる。「自覚」という大きな雪だるまを作った。後は、齋藤イメージにもっともっと踏み込んで、壊すなりなんなりするのだろう。


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     ↑:金吉恵里。左から、「無題」・2273×1818㎜ ×2点 油彩 キャンバス、「ベッドルーム」・2090×1610㎜。

 金吉恵里は齋藤由貴のように自己のイメージに悩んだりしない。「それっか無い」という姿勢だ。ざっくばらんなフォルム、粘土の塊のような人体、裸婦を取り巻く空気という存在を見つめている。セクシャルさを感じない裸体だが、何とも言えない人間臭さやけだるさがある。若い女性なのに、ちょっとした驚き。
 ベッドルーム、ピンクルーム、体がピンクになる。体の表面から、線という生き物が離れていく。


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     ↑:久山春美、「日々の彩り」・2020×1250㎜ 雲肌麻紙 岩絵具。
 (チラシ目録には西洋画とありますが、日本画だと思う。)

 こちらもイメージ画の範疇でしょう。左の作品、写真で見ると黄色が濃いが、実物はかなり淡い印象だった。もっとも、妻はこんなもんだと言っている。もう一度見に行きたいものです。
 無駄な色なり形を排除しようとする、作品だろうか?限りなく単色で空気に近づく色、そこんところを突き詰めていって、そこから還ってくる色燦々とした世界。今作は前半の無色無臭のそぎ落とす過程の作品群として見てしまった。
 それではあまりに実験的で色気が無い。メルヘン的に羊さんの木の柵を画いたのが右の絵なのだろう。余計と言えば余計だし、これも有りと言えば有りだろう。
 好みで言えばやはり左の絵だ。意欲的な作品だと思う。大きい画面をあっさり仕上げだが厭きない。メルヘン的な色仕上げで、若さが眩しい。


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     ↑:鵜沼範考、「人景 ~sei~」・1120×1620㎜ ×3点 キャンバス 油彩 ワニス。

 生と性の表現だろう。性交を嫌らしくなく、どこまで表現できるか。嫌らしくっても構わないのだが、要するに吐きでる情念と相手との対幻想を追求しているのだろう。今作はストレートな表現主義的な方法と、整理された構成とのバランスを考察しているようだ。考察する余裕のある「性」表現とも言える。
 「鵜沼範考」健在だ。まだまだ大人しくなるには早すぎる。より右に左に揺れる過剰な絵を見たいものだ。


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     ↑:山本晋平、「イペオチ」・ビデオ インターネットカメラ インスタレーション。

 とにかく綺麗な画面取り(映写風景)だ。4画面がセッティングされているのだが、中央の雪景色の民家の風景は固定されていて、その画面が絵画のようにふくよかで心温まるシーンだ。バックにアイヌの唄?語り?が流れている。まったりと・・・淡々と・・・静かな部屋に良く響いている。
 映像鑑賞者の姿も4画面の一つとして、同時進行で流れている。
 他の映像も何やらの工夫の一つなのだろう。
 4つの画面と唄と部屋の空気で、時間の流れを楽しむことが出来る。作家は異空間のつなぎ合わせを楽しんでいるのだろう。

 「イペオチ」とは北海道の先住民の言葉で魚の多くいる川である。北海道江部乙の由来の一つとされている。
 (作家の言葉より。「北海道の先住民」、これは変な表現だ。「アイヌ」と明言すべきだろう。こういう間接話法は良くない。)

 滝川市街からかなり離れた北方で、江部乙川が東から石狩川にそそいでいる。
 流れている映像は、その江部乙川地域のものかもしれない。
 「イペオチ」と呼んだアイヌとの語らい、今の自然との語らい、現代的文明の申し子である視覚手段との語らい、多層な語らいを「美しさ」というオブラートに包んでいる。
 知的さも加わり、しっかりした秀作だと思う。


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     ↑:上野莉奈。左から、「捨てられた遊び」・1620×1620㎝ キャンバス 油彩、「交錯」・1620×1303㎝。


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     ↑:清野佳彦、「静香の海」・150×120×40㎝ FRP

by sakaidoori | 2010-02-11 22:25 |    (時計台) | Comments(0)
2010年 02月 11日

1191) ①市民ギャラリー 「2010 第3回 道展U21」 2月10日(水)~2月14日(日)

○ 2010 第3回 道展U21
      
 会場:札幌市民ギャラリー
     中央区南2条東6丁目
     (北西角地)
     電話(011)271-5471

 会期:2010年2月10日(水)~2月14日(日)
 休み:月曜日(定休日)
 時間:10:00~17:30
     (初日は 13:00~、最終日は ~16:00まで)

 主催:道展

ーーーーーーーーーーーーーー(2・10)

 昨年も沢山の作品の展示だったが、それを超す作品数のような気がする。天井高き第1室は4段掛けというアクロバットさ、大盛況のお祭り展だ。道展関係者の見事な展示振りに拍手喝采を送りたい。

 それでは、その展示風景を楽しんで下さい。


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     (↑:1階ホール。)

 これから先の部屋の展示には辟易だ、そういう鑑賞者はホールだけ見て帰られても良いかもしれない。個別個別の作品がしっかり見れるし、それなりに選ばれた秀作の展示空間です。
 完成度の高い木工作品は、ほとんど「おといねっぷ美術工芸高校」です。まろやかな表面仕上げと、夢のある造形です。

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     (↑:第1室。)

 アッパレと言うしかありません。
 作品が余りに高い場所にあるので、キャプションの位置に困ったようです。作品の横に添えたら、高すぎて読めなくなってしまう。そこで考え出てきた、道展的知恵袋。下段の真上に横並びの配置。目の高さで、読むには最高です。そして、「上段 ○○」、「中段の上 ○○」、「中段の下 ○○」、「下段 ○○」、若干不便だが、関係者の苦労を思うと、涙がでてきそうです。


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     (↑:第2室)

 二段組みの中で、中央で独立した展示作品が、今展の最高賞です。「U21大賞 大谷短期大学部・佐藤綾香、「INSIDES BLACK」。

 
 以下、そのリズミカルな展示の紹介です。

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 ②に続く予定ですが、1階ホールから自分好みを何枚か載せます。

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     ↑:北海道美術館協会賞 札幌稲雲高校・笹村美穂・「くうねるところにすむところ」。

 抜群の暗さだ。店の商品棚に、普通に寝そべって食べて「生活」している。身をかがめていない描き方が良い。身のこなしではなく、表情が全てを語っている。死んだ顔だ。全ては満たされている、不満など一つもない。食って、寝て、学校に行って、だべって、ただそれだけだ。


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     ↑:入選 稚内高校・相澤里咲・「凡庸」。

 こういう作品を見ると、自分好みがつくづく分かる。中央にドーンと画きたい主題を置いて、廻りをカラフルに飾る。そして、主題のふっくらとしたお餅のような小太り感。もう少し格好良く言えば、何かを雪が覆っているような大らかで膨らんだ造形感覚ということです。
 ニンマリと作品を見た後でタイトルを読むと、「凡庸」とある。ガーンと後頭部を打たれそうだ。「私の絵が好きだって、何て『凡庸』な人でしょ。でも、私も同じだから、そういう人、ダ~イ好キ!!」
 凡庸なるかな、我が絵画感。


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     ↑:奨励賞 岩内高校・原島勝成、「生きる代償」。(1階ホールの展示作品ではありません。)

 やはり、中央にドーンという視点の作品。排水溝に注ぐ太い排水管を見る目です。ずーっと見ていると、排水管が「目」に見えてくる。
 廃水とその設備を「生きる代償」と学生は見ている。絵で見る限り、汚く画いていないから「負としての代償」のようには見えない。なぜかしら、排水管の辺りが好きになって画いてみた。タイトルは後から格好良く付けてみた。そんな感じでは?

 ところで、岩内高校は伝統的にクローズ・アップにして学生の心象を画くという傾向があると思っている。そういう意味で、好きな学校です。美術顧問の指導法だと思う。「素直に自分を見ろ、そして絵にせよ」
 今展、このクローズ・アップ法の作品がかなり目立った。最高賞の作品もそうだ。特におといねっぷ高校の作品は目を惹いた。
 おといねっぷ高校絵画作品。確かに上手い。上手いが、こう画けば印象的だという方法論としての作品が多過ぎるようだ。クローズ・アップせねばならない学生の心が伝わらない。もしかしたら、強い心の表れかもしれないが、見せ方の上手さや技術の方が優先され過ぎているのかもしれない。確かに多くの賞を確保した学校だ。学生や関係者の努力は並大抵のものでは無いと思う。だが、「おといねっぷ」という地方に住んでいる「田舎・臭さ」が伝わらない。札幌という地方の中核・都市に目が行き過ぎているようだ。
 音威子府とは無縁な学生が大半かもしれない。他の高校生と同じく田園風景が原風景という青年はいないかもしれない。だから、彼等に素朴な田園風景や田舎らしさを求めはしない。これだけ上手い絵を描く学生達だ。技法の指導は当然として、学生自身の独自の感性を引き出す指導、山を見てもそれぞれの山、古典的・デザイン的構成を無視することによって出てくる感性の視覚化、要するに「学生臭い作品」をより多く見たいものだ。


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 (会期終了後になると思いますが、②に続く。)

by sakaidoori | 2010-02-11 12:50 | 市民ギャラリー | Comments(1)
2009年 12月 06日

1108) コンチネンタル 「油展  -2009-(道教育大学岩見沢校油彩画)」 12月1日(日)~12月6日(日)

○ 油展  -2009-
   北海道教育大学岩見沢校芸術過程美術コース油彩画研究室

    
 会場:コンチネンタル・ギャラリー
    南1条西11丁目 コンチネンタルビル・B1F
    (西11丁目通の西側)
    電話(011)221-0488

 会期:2009年12月1日(日)~12月6日(日)
 時間:10:00~18:00
     (最終日は、~17:00まで)
  
※ レセプション・パーティー ⇒ 12・5(土) 18:30~ 無料

ーーーーーーーーーーーーーーーーー(12・)

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 今年の全体の印象はソツなくまとめているという感じ。若さからくる乱れた作品がないのは、少し物足りない気がする。おそらく、どの学生も個展発表だとしたら自分なりの現状なり気分をもっと正直に伝えれるだろう。グループ展での1点となると、どうしても目立つ作品が話題になりがちだ。「オレがオレが!」の姿勢だ。そういう気分を押しとどめて、普段していることをそのまま見せているのだろう。

 以下、何点かの個別作品です。(敬称は省略。)


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     ↑:院2年・齋藤由貴、「深く、上る」・1000×1200 油彩。

 独立気味の狭い白壁に一つだけの展示。壁の白さとうまく呼吸している。
 齋藤由貴は多い煙を立ちこめたふわふわ感と、そこからはみ出る裸婦を描いていた。さわやかな絵で、イラストや漫画にも通じそうで親しみやすかった。その傾向を推し進めるのも一つの方向だろうが、そのさわやか感・もやもや感と裸体と言う具象表現から離れて、いろいろと模索しているようだ。
 青闇の森の木立ちが深く昇る、そんな印象。
 この絵の問題は、そういうイメージから出発しながらも、森の木々という具象性を排した絵画を目指したのに、イメージのメッセージ絵画に終わったことではないか。
 画家の持つ具象イメージへの愛着の強さが、新たな試みの邪魔になったようだ。


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     ↑:院2年・金吉恵理、「Fiction」・1820×1820 油彩。

 イメージ性の強い作品だが、背景の暗灰色などは大きな刷毛目調の筆跡を残し、輪郭線も骨太だ。荒々しくはないが、「柔なイメージで見るな」と言っているようで好ましい。
 個人的には輪郭線に一発仕上げの流れ、深みと巧みさがあればと思う。もっとも、そうなればこの絵の特徴である若さは消えてしまうだろう。


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     ↑:左、院2年・上野莉奈、「きりんさん」・F30 油彩。
     右、2年・岩崎加奈、「朧々」・F50 油彩&アクリル&墨。

 岩崎加奈、ドロッドロ感は2年生らしくて良い。この執着心、より強くなるのだろうか?軽くなるのだろうか?


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     ↑:2年・山越美里、「交錯」・F60 油彩。

 画学生らしくて、どこか安心してしまう。折角だから100号の交錯した世界が見たかった。


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     ↑:2年・橋本知恵、「子ども達」・F50 油彩。

 子どもの微笑ましさ、絵を一所懸命に画いている画家の微笑ましさ、一つの原点だろう。今展では数少ないカラー作品。油らしくて気持ちが良い。


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     ↑:院2年・鵜沼範考、「思春期」・S30 油彩。

 鵜沼範考は異性をいろんな角度から取り組んでいる。激しいところもあるが、どうなるのだろうと見続けている。
 今回は大人しい。異性への恋心と美化・理想化、これが若い男の基本だろう。それと静かに向き合っているみたい。


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     ↑:4年・山内太陽、「いつの事か見当もつかない」・1551×1939 綿布 油彩。

 山内太陽はグループ展で昨年から親しんでいる。何と言っても、作風よりも名前の方が記憶に焼きついてしまう。「ヤマウチタイヨウ」、素晴らしい。
 彼は上手く描こうと思えばそれなりにかけるのだが、若かりし多情多感さが手伝って、部外者にはその作風の全貌を示してはくれない。今回は現代山水画気分でカッコ良い。
 帰りしな、本人とも初めて会えたので記念写真をパチリ。名前の通り大きくおおらかな青年であった。聞けば大学には残らないと言う。もし道内に居るのなら、アグレッシブルな作品を出し続けてもらいたいものだ。本格画人になるのかどうか?その画論をうかがいたいものだ。


 書き始めれば個別作品の印象を楽しく思い出す。もう少し載せたいが時間がない。もっと早くパソコン操作ができれば、もっともっと早く言葉が出てくれば・・・。

by sakaidoori | 2009-12-06 10:24 | コンチネンタル | Comments(0)
2009年 05月 30日

984) コンチネンタル 「教育大岩見沢校金属工芸研究室 『金工展』」 5月26日(火)~5月31日(日)

○ 北海道教育大学岩見沢校美術コース 金属工芸研究室展
   『金工展

    
 会場:コンチネンタル・ギャラリー
    南1条西11丁目 コンチネンタルビルB1F
    (西11丁目通の西側)
    電話(011)221-0488
 会期:2009年5月26日(火)~5月31日(日)
 時間:10:00~18:00
     (最終日は、~17:00まで)

ーーーーーーーーーーーーーーーーー(5・30・土)

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 教育大学の金属造形の学生展です。全員で9名です。

 全体の印象は大振りの作品は錆を見せるという感じで、渋い。機械仕掛けあり、ロクロあり、ジュエリーあり、蜘蛛の巣的な飾り物ありと、なそれなりに楽しめます。
 お気に入りを中心に何人か紹介します。明日までです。


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     ↑:院1年・町嶋真寿、「還る」・鉄 19×13×25cm。

 ロクロです。手は生きた本人です。このフィット感がたまらなくて作った、と言っているようです。
 このロクロは死のおぞましさよりも、土に還り生命の源になるということでしょう。それは学生の主張だから構わないのだが、タイトルが少し安易だった。「ロクロに植物」という組み合わせの作品だから、「還る」では少しありふれた感じ。素敵なロクロなだけに工夫が欲しい。

 入り口に同じ作家の作品で、「a wihp」(鉄 98×50cm)という作品があった(下のの写真作品)。
 小振りの作品が3点の出品だが、コンパクト感で新春のスタートだ。
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     ↑:院1年・吉成翔子、「歯車はぐるま」・65×180×130cm。

 果敢に鉄の重量感と包容力を追求する吉成翔子だ。
 今回は、「ドン・キ・ホーテの無駄に闘う歯車部隊」という、滑稽にして涙ぐましい大きなおもちゃだ。
 この作品に何の意味があるか?気になる方は会場に行ってキーキー・キーキーと機械を廻してください。吉成・童話の世界が見える聞けれるかもしれません。


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     ↑:4年・清水愛美、「ゆめ まつ ひと」・鉄 160×50×100cm。

 ふんわか、ふんわかしている。


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     ↑:2年・大湊敬太、「英雄気どり」・鉄 52×74×84cm。

 唯一の黒一点の大湊君です。大いに頑張ってもらいたい。タイトル通に英雄気どりで、ダリ風にグイグイと進んだら、いつしか英雄らしくなる。


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     ↑:3年・佐々木清美、「さかなかご」・鉄 同 80×80×170cm。


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     ↑:院1年・小林優衣、「ブローチ 4点」・真鍮 ガラス ステンレス 銅。

 小林さんは他学校からの編入生だから、ここのギャラリーは初登場です。新しい環境に何かと大変でしょうが、新鮮な気持ちでの登校でしょう。フレッシュ1年生です。


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     ↑:4年・共に佐藤有希(?と思います、失礼。)


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     ↑:院2年・佐藤あゆみ、(他の作品を含めて)「虫食い」 「鳥の巣」 「クッキー」 「もくもく」・金属(鉄 銅) 木。

 壁にへばりついていて、独特のムードがあります。惹き込まれます。
 佐藤あゆみは作品のみを単独で見せるという学生ではありません。これらは具体的な場なり空間を想定しての作品だと思う。どんなイメージが膨らんでいるのだろう。
 個々のタイトル名は違ってもいいのですが、もっと広い壁一面で見てみたいものです。


 ・3年・上舘恵理、「4月10日 私の王国で」・鉄 アクリル 120×150cm 他。
   (撮影ミスで作品不掲載。ゴメン。)
      

 


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by sakaidoori | 2009-05-30 23:50 | コンチネンタル | Comments(0)
2009年 02月 05日

886) 奥井理ギャラリー 「札幌旭丘高等学校美術部・校外展」 1月30日(金)~2月6日(金)

○ 札幌旭丘高等学校美術部・校外展

 会場:奥井理ギャラリー
     中央区旭ヶ丘5丁目6-61
     (慈恵会病院へのは入り口の近く。看板あり。) 
     電話(011)521-3540  
 会期:2009年1月30日(金)~2月6日(金)
f0126829_2573225.jpg 時間:10:00~18:00
    (最終日は、~16:00まで)

 【参加学生】
 1年・ 片野莉乃 三上いぶき 秋田胡桃 大塚めぐみ 佐藤愛美
 2年・ 狩野悠佳子 佐々木祐美 金子沙織 坂東桃子 前川沙綾 宮本柚貴 河口奈実 泉静耶
 3年・ 堀田千尋
 顧問・ 齋藤周
 
ーーーーーーーーーーーーー(2・5)

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 実に羨ましい高校生達だ。
 綺麗で立派なギャラリーの半分を使っていた。しかも、残りの空間は兄貴程度の年齢差の青年の絵画空間だ。その人は高卒後に美術を学ぶために東京に行き、交通事故で帰らぬ人となった。奥井理君だ。

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 ほとんどの絵は薄塗りで優しく描いています。一心不乱さやがむしゃらというのではなくて、自分自身の気持ちを素直に描こうとしているみたい。そんな気持ちを同じくした仲間達展です。おそらく顧問の先生が齋藤周さんだから、無意識のうちに彼のたゆたゆしい画法を引き寄せているのでしょう。
 それは強烈な個性の発揮とは違っています。高文連や高校生も対象にした公募展の中では、少し目立たいでしょう。ですが、競争展を離れた一つの世界としての展覧会として見ると、普段着の彼女等が垣間見えて思わず拍手を贈りたくなります。

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     ↑:2年・河口奈実、「ゆめこ」。
 関節人形?でしょう。今の高校生はこういう作品に取り組むのですね、・・・思わず嬉しくなってしまいます。小品ですがそれで構わない。沢山作って、服もいろいろ作ってあげて物語展まで進んで欲しい。


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     ↑:2年・坂東桃子、「柘榴」。
 尖がった口の少女と黄色い背景、そして柘榴(ざくろ)の赤の組み合わせが楽しい。
 札幌では柘榴は珍しい。
 あるイベント会場で売られいたので土産に買ったことがある。妻は初めてなものだから食べ方がぎこちない。これを食すると口の中が真っ赤になる。美味しくて喜んで大きな口を開けると、口の辺りが真っ赤かで凄い形相になる。おまけに手まで赤くなる。血を滴らせて喜んでいる状態だ。
 だが、この絵は黄色だ。柘榴への喜びが黄色を生んだのだろう。飽きない黄色だ。


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     ↑:2年・金子沙織、「幽か」。
 幽霊のような女性が、画家の技術の拙さも手伝って可愛くも見える。学生の心の中や社会を見る目のアンバランスさがに匂う。


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     ↑:1年・三上いぶき、「キミがいた夕暮れ」。
 今展で一番大きな絵です。未熟な絵です。未熟ですが、伸びやかな絵です。
 夕暮れを赤と決めつけてはいけない。人はそれぞれの夕暮れを持つものです。この人は大地に対する信頼があるのでしょう、薄くはあるがしっかり黒で表現している。深くはないが、大きく自然を見ている。きっと大きな目をして見ているのだろう。「キミが・・・」とあるから、楽しい思い出があるのでしょう。


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     ↑:左側、1年・片野莉乃、「水辺の風景」。
     ↑:右側、・3年・堀田千尋、「まわりみち」。


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     ↑:2年・狩野悠佳子、「春」。

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     ↑:同上、散文・「戯び」。
 彼女は円く表現する。どこをとってもま~るい。その組み合わせと統一さが落ち着いた色と重なり、しっかりとした存在感を出している。目も力まずにこちらを向いている。タンクトップの肩にてんとう虫が止まっている。体も目もそれを無視している。見るこちらは逆にその虫と目と全体の少女の雰囲気に交互に意識が横断する。
 自画像だろう。凛とした清々しい絵だ。
 展示の裏側には二編の散文詩が展示されている。絵と言葉が学生の心の表と裏のように演出されている。拡大して呼んでみて下さい。なかなかの表現力です。


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     ↑:2年・宮本柚貴、「shine in the rain」。
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 楽しい傘です。雨模様は夢育む遊びの時間なのでしょう。雨降る日には特性のマイ・カサを拡げて、絵を小脇に抱えて何かを思って歩むのでしょう。

 結構楽しんだのでもっと載せたいのですがきりがありません。今回はこれまでということで。

 




 最後に奥井理君の作品を1点だけ載せます。次回の訪問時にはもっと作品を載せたいと思います。

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     ↑:奥井理、「少女の顔(習作)」・札美18歳。
 おそらく心の恋人を想定しての絵だろう。同時に彼女に対する自己の悩みをも重ねている。恋する自己と焦がれる他者のダブル・イメージなのだろう。
 いづれにせよ、強い恋心を思う。青年の絵だ。


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     ↑:ギャラリー空間と窓の間の部屋。渡り廊下でもあり、日なたゴッコをするところでもある。窓辺に頬を付けると冷たい。暖かい部屋で身が引きしまる。

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     ↑:南向きの窓からの景色。メイン道路が直ぐ傍だ。谷になっていて歩いては行けない。

by sakaidoori | 2009-02-05 22:59 | 奥井理g. | Comments(0)
2009年 02月 03日

883) ①市民ギャラリー「札幌大谷大学短大部美術科・卒業&修了制作展」終了・1月27日(火)~2月1日(日)

○ 札幌大谷大学短期大学部美術科
   第44回・卒業制作展+第42回修了制作展
   (同時開催:専攻科1年展+美術科1年展)
      
 会場:札幌市民ギャラリー
     中央区南2条東6丁目
     (北西角地)
     電話(011)271-5471
 会期:2009年1月27日(火)~2月1日(日)
 時間:10:00~18:00
  (初日は展示作業をしています。最終日は ~16:00まで。)

ーーーーーーーーーーーーーー(1・31)

 沢山の学生の作品展です。適当な写真紹介になりますが悪しからず。

 卒業制作展(大学2年生に相当)と修了制作展(大学4年生に相当)を中心に作品紹介をします。

 卒業生の作品は1階全フロアーを占めています。油彩(31名)・総合造形(7名)・デザイン(33名)コースとあって、油彩は複数の作品を出品しています。
 特徴としては、2級上の修了生の作品に比べて「明るい」という印象です。
 油彩を中心に載せます。

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     ↑:2年・宮村麻美、「ゆっくりと」「ぼんやりと」。
 かばさんと人間の大きさの違いと、動物がピンクがかっているのが面白い。人物は自画像です。

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     ↑:2年・相馬由佳、「みずうみ」「まち」。
 2枚の絵の対称性に惹かれた。それと、べたっとした色合いも。

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     ↑:2年・井上智絵、「猫スウィーツⅡ (僕のショートケーキ)」「同 -Ⅰ(メタボに気をつけて!)」
 なかなか綺麗でハッピーでユーモア満点だ。お気に入りの対作品。

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     ↑:2年・佐藤綾香、「光々チューブ場の代役」 他。

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     ↑:2年・関東翼、「帰宅」「家出」。
 特に上の作品が好きです。大きな家に小さな出入口。優しい家なのですが、入り口の狭さに心の屈折を思う。本当に「帰宅」でしょうか?どちらも「家出」に見える。家出というよりもどこかに逃げて隠れたい、優しく自分を包んでくれる世界が欲しい。

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     ↑:2年・石倉美萌奈、「最強のアピールコスチュームを着て愛の告白をする『わたし』“す”・“き”」
 ホールの展示作品。
 お馴染みの愛の告白娘・ミモナちゃんです。このオーラでガンガン進んで欲しい。


 (②に続く)

by sakaidoori | 2009-02-03 23:15 | 市民ギャラリー | Comments(0)
2008年 12月 22日

859) ②市民ギャラリー 「2009 第2回 道展U21」 12月17日(水)~12月23日(火)

○ 2009 第2回 道展U21
      
 会場:札幌市民ギャラリー
     中央区南2条東6丁目
     (北西角地)
     電話(011)271-5471
 会期:2008年12月17日(水)~12月23日(火)
 休み:月曜日(定休日)
 時間:10:00~17:30
     (初日は 13:00~、最終日は ~16:00まで)

 主催:道展
ーーーーーーーーーーーーーー(12・21)

 好みを中心にして載せていきます。

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  ↑:奨励賞・渡邉ゆきの(札幌平岸高校)・「昔日」。
 全てが縦縞で赤茶けた世界。
 背景処理の一工夫に、画材を垂れ流して心象ムード強める方法があります。この絵の良さはそういう垂れ流し気味の縦線を絵の具象の世界に完全にのめり込ませている点です。あくまでも書かれた物その物に情念を込めている処が良いと思うのです。
 色は骨太でブルーな心象を反映している。暖簾?の不思議な七色、全体の赤茶けた世界。「昔日」を超えて「今、日(いまじつ)」です。


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  ↑:角田美友(岩見沢東高校)・「優しい玉葱」。
 玉葱の皮は剥ぎやすい。薄く透けて見える。その一枚を剥いだ時、玉葱の本体が美しく曝け出される。美しくもゾクッとする存在を大きく描いているのが良い。


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  ↑:姫野やよい(札幌大谷高校)、「立冬」。
 きっと絵としては未完成で未熟な所が多々あると思う。でも、対象に大きく迫ろう、大きく描こうとしている。対象のオーラを見つめる学生の視線
、対象そのものの形を絵として動かそうとしていている感じ。


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  ↑:則峻介(札幌西陵高校)、「to the Forest」。
 以前にこのブログで西陵高校男子の風景画を載せた事があります。名前を載せれなかったので、断定は出来ませんが、断定して間違うと赤恥をかきそうですがおそらくその学生の作品です。よほど彼の作風は僕好みなのでしょう。
 緑中心で優しい。ところが、緑に色にドップリと描き手が漬かりきっていて脂汗をかきかきベッタリと絵筆を運ばせている姿が想像される。その粘着さが僕を魅了するのだろう。異界(森)を感じる独特の嗅覚、いちど会ってみたい学生です。


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  ↑:奨励賞・千葉美香(札幌国際情報高校)・「この街のどこかで・・・」。
 見事な夜景です。原画は写真のようには見えません。写真のような載せ方になりました。千葉さん、ゴメン!現代日本画を見る思いです。


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  ↑:道展U21大賞・堀内萌未(札幌西陵高校)、「metronome」。
 今展の最高賞です。自分好みが選ばれると嬉しいのですが、昨年度の最高賞との傾向の違いに驚きます。昨年は基本がしっかりした作品を選んでいました。今回は見ても分かるように、ドローイングを散るばめた学生の溢れる思い、自由さ、遊び心です。
 サーッ、もっとっもっと自由に大きく行きましょう。


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  ↑:本間美穂(札幌平岸高校)、「犬のきもち」。
 犬のとぼけた普通の顔と、首を絞められて苦しんでいる人の顔のコントラストが愉快。
 「犬は平気な顔をして飼い主を殺せれるのよ!油断しないでね」


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  ↑:左ー浜辺萌(札幌平岸高校)、「溺愛」。
  ↑:右ー奨励賞・高橋和佳奈(札幌平岸高校)、「情報社会」。

 続けて平岸高校の学生作品を載せてしまいました。全くの偶然です。彼女達の表現様式と僕の好みが重なっているのでしょう。
 「溺愛」、全体が淡いピンクの世界。顔がリアルです。反してポーズが苦労というか工夫というか、ぎこちなさが目を惹きました。
 「情報社会」、顔を新聞で包んでいる。人間と社会との関係に着目する作品も見たい!「美術表現」が、どれだけ社会を批判的に捉えられるかは分かりません。若い方は何にでもチャレンジしてもらいたい。そういう姿を見たい。


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  ↑:中山絵美里(札幌西高校)、「夏の日射し」。
 ドーンとこちらに向かってくる表現、こういう普段の目線とは違った感覚が好きなのです。アメリカン的ベタベタした色合い、納豆のような粘着質を発展させてもらいたい。


 受賞者を中心にした作品紹介のほうが、この展覧会の特徴が分かると思います。非常に質の高い写実力だと思います。ですが、高校生を中心にした展覧会を質を中心に述べても仕方が無いと思うのです。彼・彼女達の未熟な表現の中でこそ感じる僕自身との波長の刷合わせをして見ました。

 高校生中心と書きました。専門学校・短大・大学からの学生の参加も沢山あります。そういうところに所属していない人もいます。決して高校生ばかりではないのですが、「高校生中心」と書かせてもらいます。


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  ↑:優秀賞・川島みゆき(札幌大谷短期大学部)「夢想」。
 この夏、セントラルで大谷短大関係の展覧会でこの作品を見ました。輪島進一張りの色や線の流れ、寄り添い合う羊達を優しく表現しています。
 再び会うことができた。

by sakaidoori | 2008-12-22 14:48 | 市民ギャラリー | Comments(2)
2008年 12月 22日

858)  ①市民ギャラリー 「2009 第2回 道展U21」 12月17日(水)~12月23日(火)

○ 2008 第2回 道展U21
      
 会場:札幌市民ギャラリー
     中央区南2条東6丁目
     (北西角地)
     電話(011)271-5471
 会期:2008年12月17日(水)~12月23日(火)
 休み:月曜日(定休日)
 時間:10:00~17:30
     (初日は 13:00~、最終日は ~16:00まで)

 主催:道展
ーーーーーーーーーーーーーー(12・21)

 実に盛況な作品数です。入選者666名(そのうち受賞者69名)、総数735名のおそらく735点の666点の作品数です。
 会場出入口に工夫がしてあります。大広間に通じる普段の入り口は出口専用です。横の方が入り口で、区切られた部屋に入っていくのです。その部屋に各種受賞作品がびっしりと2段組に展示されています。普段の大広間は3段組でやや実力の劣る壁面作品が一挙大公開です。


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 ↑:市民ギャラリーのホール会場。

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 ↑:入り口直ぐの受賞作品中心の部屋。

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 ↑:天上の高い大広間。立体作品が少ないのが幸いして、3段組の作品群が広々と見れる。

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 あまりハチャメチャというか勢い勝負という作品はなくて、一所懸命に作画に取り組んでいる姿勢がうかがえて気持ちが良い。確かに実力的に温度差はあるのですが、そういうのはあまり気にならない。

 それにしてもこの作品数、昨年から始まったのに凄い入選数だ。おそらく応募数の大半を展示していると思う。作品の取捨選択というよりも、学生の発表の場を増やす、彼等の作画意欲を高めることが主催者の趣旨でしょう。同時に、道展参加作家は美術の先生や顧問をされている方が多いので、彼等の普段の美術指導意識や創作意識を間接的に向上させようという狙いもあると思う。

 道展関係者の美術先生に、学校単位での出品要請があるのだろう。当然なことだ。その成果がこの作品数と意欲だ。
 それにしても悩ましい問題が発生した。これ以上の展示は不可能に近い。会場を2階にも広げるか、公募展らしく入選作品を選ぶ(応募作品を落とす)のか。大盛況の道展若者展は嬉しい悩みを抱え込んだ。

 個別作品を続けて②で書きます。

by sakaidoori | 2008-12-22 12:14 | 市民ギャラリー | Comments(0)