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2008年 07月 31日

709) 大丸藤井セントラル 「今泉心・個展」  7月29日(火)~8月3日(日)

○ 今泉心・個展

 会場:大丸藤井セントラル・7Fスカイホール1室
    中央区南1条西3丁目2
    電話(011)231-1131
 会期:2008年7月29日(火)~8月3日(日)
 時間:10::00~19:00(最終日は~?:00まで)

 主催:社団法人・日本パッケージデザイン協会
     (「北海道を包む」展・実行委員会事務局。
       連絡先・(011)642-2035)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(7・29 火)

 1956年、北海道千歳市生まれ。道展会員。現在伊達市在住。

 52歳ですが、札幌での初個展です。今春東京の画廊で初個展とのことです。驚くことに道内では初個展なのです。なぜ驚くかというと、その実力で初個展とはなんとも不思議でなりません。時折り見かける作品の強さに、まとまって作品を見たいなと、いつも思っていました。
 以前は「今泉真治(いまいずみ・しんじ)」という名前です。「今泉心」と改名しての個展です。その辺に心境の変化と、発表姿勢の心意気を見る思いです。
 まずは会場風景を載せます。

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 氏の作品を初めて見たのは、芸森の常設展だったと思います。大きな絵でした。本当は山を描いた風景なのですが、その全体像よりも暗がりの山の表面を藪が覆っている描き方のほうを注目しました。たなびく藪がブラック・ホールに吸い込まれるような不気味な絵でした。深く沈み行くような空間を表現する為の風景描写と理解しました。失礼な言い方ですが、嘘としての「風景画」に心引かれたわけです。その時の絵のムード近い作品が、下の写真作品です。白や青の色があるのがチョッと違います。(「2004年 第3回 具象の新世紀展」の図録より。「残雪」・油彩 130.3×162.1cm。) 

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 今展は「石」・シリーズです。今展の為に2年間書き溜めた作品です。量的にそれだけでは個展としては少ないので、旧作の風景画を5.6点並べたそうです。

 驚いたことに、僕の抱いていた「今泉・ワールド」とは全然違うのです。確かに、細かい描き込みは藪を描いていた描法と同じです。が、絵の主張が全然違う。ここには、ただひた向きに「石」という実体に触れて、眺めて、修行僧のように「石」と語り合う作家がいるばかりです。
 会場に雑誌の切抜きからの作家の言葉があって、それには「僕は石が好きなんだ。昔から好きなんだ。慰められ、励まされ、石と関わってきた。その石を描くのだ」という主旨の言葉がありました。
 石を人に見立てての擬人化された作品もあります。画中の石同士が語り合っている絵もあります。

 「細密絵画」、今泉絵画をひとまずこう言うことができるでしょう。「山」を描く時の細密性は山が画面に占める割合が大きかったから迫力もあり、その細密の意味合いも「山」を越えたところに見るものを誘ったと思う。
 「石」のみに取り組む細密性はどういう風に進展していくのでしょう?石以外の背景はどうなっていくのでしょう?リアルなテーブル・クロスを背景にした絵もありました。よくある静物画の手法です。まだまだ「石」が生きているとは思えませんでした。背景の空気感を細密に描いた「石」の絵もありました。

 確かにどれも上手い。が、実体としての「石」をリアルに細密に描く本格的な旅は始まったばかりだと思います。おそらくは今後は細密とは親戚関係の「省略」が問題になってくるのでしょう。それと、石を擬人化するヒューマンな絵画は、見るほうにとっては少しは息抜きになっても、絵画自体の余裕が無ければ中途半端な感じがしてしまう。「寄り添った石」ではなくて、「石自体の表現」で、こちらが寄り添いたくなるような「石」が見たい。

 厳しい旅の始まりの個展、そういう機会にめぐり合うことが出来ました。

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 ↑:「石」・F100。

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 ↑:「家族」・F50。

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 ↑:左から「石・ふたつ」・F6、「映」・F6。

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 ↑:「残雪」・F30。



 

by sakaidoori | 2008-07-31 18:49 | 大丸藤井スカイホール | Comments(0)
2008年 07月 30日

708) CAI02 「FIX・MIX・MAX!アワード入賞者展」 7月23日(水)~8月5日(火)

○ FIX・MIX・MAX!アワード入賞者展
    優秀賞=大島慶太郎 笠見康大 鈴木謙彰
    奨励賞=太田博子 織笠晃彦

 会場:CAI02 
    中央区大通西5丁目 昭和ビル・B2 (地下鉄大通駅1番出口)
    電話(011)802-6438
 会期:2008年7月23日(水)~8月5日(火)
 休み:定休日は日曜日
 時間:13:00~23:00

 主催:当館 ギャラリー門馬
ーーーーーーーーーーーーーーー
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 なかなかハッピーな展覧会だ。
 ブロックむき出しの広い空間は「肉体以前の織笠君、可愛くいやらしくの太田さん、エロスまっしぐらの鈴木君」という部屋になっている。統一テーマなどはない選抜展なのに、「エロス・展」になっている。

○ 織笠晃彦の場合

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 織笠君は札幌市立大学の3年生だ。いささか栄養不良気味の体躯や風貌が、かえって学生らしく美や芸を愛するオタク的青年に見えて、僕には好感が持てる。飛び出そうな目、言わずにはおけない口元、愛すべき青年だ。

 本人の背景の作品は「くる」。今回の力作だと思う。コンピューターで細かく仕上げていった作品の上から、フリーハンドで目やぐるりを装飾している。おそらく、機械による操作での作品化は好きなのだが、機械オンリーになることに盲目的な反発があるようだ。「機械と生理」を処理できないでうごめいている姿に好感が持てた。「デザインー文明の利器ー直筆(生理)的表現」、今後の織笠君をそういう目で関わっていきたい。


○ 太田博子の場合

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 ↑:「ラブシーン」
 非常にいやらしい画題です。この怪しげな世界を刺繍で軽く表現していることに、非常に感心しています。江戸時代の「春画」を見る思いです。こういうのを20代前半の女子学生が表現しているのに驚きます。
 刺繍だから上手くいったのか、彼女の実力だから上手くいったのか今後も楽しみな作家です。

○ 鈴木謙彰の場合

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 ↑:「analgesics」。(「痛みを感じない」?)

 エロスそのものです。何が良いかと云うと、たじろがずに大きく表現していることです。2展1組、8点1組で空間を女を自分自身を見ている。金網をかけたりして、試行錯誤している。今展のテーマはエロスですが、鈴木君の現在の関心がどういうものかが気になります。


 さて隣室の白い部屋はムードを異にしています。映像と絵画ですが、それぞれがあまりに実験にこだわっている感じです。自分自身のテーマと美学的テーマでうごめいている風に見えます。

○ 笠見康大の場合

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 ↑:「夢のひだり」・2008 油彩。
 一応タイトルはついています。僕は彼の絵が今後どう変化するかに興味を持っている。彼の作品は勉学の一里塚だと思っている。今展のタイトルも「夢のひだり」というものがあって、創作されたものではないと思っている。絵画上の問題でカラフルにしたので、たまたまそういうタイトルにしたのだと思っている。絵画上の軌跡と笠見君の心の軌跡がどういう交わりを見せるかに興味を持っている。

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 ↑:笠見君がこういうのを見せるのはいい事だ。


○ 大島慶太郎の場合

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f0126829_23531155.jpg ガタガタと映写機の音がうるさく地下室に響いている。フィルムが怪しげに回転している。画像はせわしなく色と模様を見せている。何と言っても、映写機そのものを見せる展示だ。大島君はいろんなことを考えて、青年のおもちゃのような機械仕掛けの映写機装置を作る。時代の記念品のようにして作品化する。古き良き時代を懐かしむような大島君の感覚が、その映像作家としての実験的取り組みとは別にして、僕には好感が持てる。
 大島君は映写機のバタバタ音、パラパラ感覚が好きなんだと変に納得してしまう。
 青年のおもちゃ、そして段々と大人のおもちゃになり、「おもちゃ」が表から消えていくのだろう。



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by sakaidoori | 2008-07-30 21:15 | CAI(円山) | Comments(0)
2008年 07月 30日

707) S-AIR ②「レジデンス2名のオープン・スタジオ」 終了・7月26日(土)~27日(日)

○ レジデンス2名のオープン・スタジオ
    ウエイド・マリノウスキー(豪州)&チャン・ヨンチア(マレーシア)

 会場:インタークロス・クリエイティブ・センター(ICC) 3階・アーティスト・スタジオ
    豊平区豊平1条12丁目1
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(7・27 日)

 マレーシア人のチョン・ヨンチア君の個展のテーマは「死あるいは死者」です。彼の作品と交流者とのワークショップ作品の展示です。

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 ↑:「ソヒーの世界(Sophio’s World)」・2008年 油彩。
 大作かつ力作です。あいにくと作品の説明を聞かなかったので画題説明はできません。
 黒色は色としての深みを出すというよりも、ベターとしたコルタール状の粘着力を感じます。三途の川の物語のような、死者との別れを表現しているようです。タイトルは「ソヒーの妄想世界、死の入り口」と理解しました。表現には日本漫画の影響があるのでしょうか?全体が不気味なヴェールに包まれていて、顔を描いたり描かなかったり、描いても妖気が漂っています。

 以下、キャプションの説明文。
 ---。日本到着直前に思わず起こった出来事に由来しています。作品はその出来事に対する私の反応です。
 友人の5歳の娘の死そのもの、娘を亡くした友人の胸の内、彼女が喪失に向き合っていることを想像し描きました。


 以下、「植物と動物シリーズ」という、手のひらに収まるような小物作品があります。貝などの食材としての廃棄物を再利用したペンティング作品です。タイトルは省略します。

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 ↑:同じ作品を角度を変えて撮影。

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↑:本当に小さい作品です。接写しての撮影です。


 以下は、今展のもう一つの大事な展示空間です。

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 ↑:「追悼の刺繍」
 ワークショップ作品。参加者が木綿の布に愛しい人(物・ペット)を刺繍したものです。3回行ったそうです。

 参加者が故人をしのび、個人の想い出を形にするということを通じて、参加者相互の語らいの場や人間信頼の契機にしようとするものでしょう。美術を利用してのグループ・コミュニケーションです。相互理解や情操教育に役立つのは間違いありませんが、過度な感情移入の危険性もあります。開かれた方法として、いろいろな美術的アプローチがあるのでしょう。
 キャプションによると30名の参加です。9割が女性です。テーマによるのか、関係者の努力不足なのか、あまりの男女比のアンバランスが気になります。
 このワークショップのおかげだと思います。ヨンチア君のスピーチ・タイムには多くの参加者がいました。


 キャプションにはヨンチア君の「死への関心」を綴ったメモがあります。
 彼は非常に若い青年です。中国系の敬虔な仏教徒ではないでしょうか。単に「死」への関心に止まらず、自然と宗教(仏教)が視野にあると思います。名辞宗教に疎い僕としては、「芸術と宗教」の日本との違和感を感じました。彼にとっては宗教心が芸術表現の内発的な力になっているのですね。
 同時に、最近義兄の通夜や葬式に出席していて、「死に顔」がリアル過ぎて、今展を深く考える余裕がありませんでした。
 
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by sakaidoori | 2008-07-30 17:16 | S-AIR | Comments(0)
2008年 07月 28日

706) S-AIR 「レジデンス2名のオープン・スタジオ」 終了・7月26日(土)~27日(日)

○ レジデンス2名のオープン・スタジオ
    ウエイド・マリノウスキー(豪州)&チャン・ヨンチア(マレーシア)

 会場:インタークロス・クリエイティブ・センター(ICC) 3階・アーティスト・スタジオ
    豊平区豊平1条12丁目1-12
    
    http://www.icc-jp.com/ja/access.html

 会期:2008年7月26日(土)~27日(日)
 時間12:00~19:00
 料金:無料 
   (1階受付にて、ご記名いただいてから3階にお入り下さい。)

※オープニング・パーティー:7月25日(金)、19:00スタート 


 主催:独立行政法人 国際交流基金、特定非営利活動法人S-AIR(エスエア)
 協力:インタークロス・クリエイティブ・センターICC、(財)さっぽろ産業振興財団

 問い合わせ先:特定非営利活動法人S-AIR(エスエア)
   札幌市豊平区豊平1条12丁目1-12 ICC-401号室
   電話(011)820-6056 、FAX (011)820-6057
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(7・27 日)

 非常に面白かった。かつ、有意義であった。

 まずはウエイド・マリノウスキー(豪州)君の作品を紹介しよう。

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 良い写真だ。惚れ惚れする。西欧人というものは、常に自己主張するものだと理解している。そういう彼らのステータスが、僕の単なるスナップ写真でも彼らの魅力を充分に出ていると思う。さて、本題。

 二人はレジデントとして札幌に来た。そして、生活した。そして、作品を作った。自分の生活の場を開放して、滞在中に制作した作品を見せる展覧会だ。


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 (↑:会場は3部屋です。上の写真が入り口の部屋で細長く、下の2枚の写真が右側の部屋。右側にはもう一部屋あって、普段はベッド・ルームかもしれません、今展では映写ルームとして使われていて、暗い部屋だった。)

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 (↑:本人の横の作品「恋の季節」、左から「ワイセツナロボット」、「ほたてパンチマシーン」、「非植林」。)

 入って直ぐの部屋。「森林・ルーム」と名付けられている。
 マリノウスキー君の作品は非常に言い易い。
 まず、丁寧で綺麗だ。皮肉とユーモアに富んでいる。それは、彼の作品の暴力性の為の安全弁にもなっている。コンピューターの利用など、現代文明利器に対する理解・利用度が高く、同時に現代文明・社会に対する批判精神も旺盛だ。自分の体を利用することによって、人間の内面の負に迫り、ショーマン性豊に振舞っている。エロスに関しては、遠慮がちな表現だが、破廉恥を武器にして暴れまわりそうな作家だ。

 スタジオの作品群は小品で、一貫性としての展示ではないが彼の才能・可能性のダイジェストにはなっている。現代風・マルチ作家だ。

 札幌滞在色はいかんなく発揮されている。
 市内のゴミを拾って、綺麗に色を塗り、あたかも中古品として展示している。そのデザインセンスは、やはり西欧的で作家の意図以上に異国情緒があって関心させられる。
 オーストラリアにはないという、火災用非常装置に大いに触発されたようだ。本物のように部屋に再生して、ペンキで火災のおまけまで描いている。デザイン・皮肉・ユーモア・暴力・文化の違和感と考えさせる作品だ。タイトルは「火災招来装置」と記憶するが、忘れた。

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 札幌人との交流をうかがわせるビデオ作品がある。
 祭太郎君を伴って、洞爺のサミット会場近くでの映写作品だ。警察警備員との交渉で、会場から可能な範囲の近い場所での録画だ。祭太郎君が坐臥の姿勢で20分間瞑想している現場を撮っただけだ。他にも映像が流れていて、静と動、自然と日本文化、文化の滑稽さなどを表現している。当然、「アンチ・サミット」というメッセージだ。見事なインスタレーション作品だ。
 インスタレーションを一回限りの場(空間)の展示、と理解するのは狭すぎると思う。実施されるまでのプロセスを含めて考えるべきだろう。そのプロセスで一番大事なのは人との交流・交渉ではないだろうか。人間同士の信頼関係の構築、制度を最大限に利用する為の関係機関との交渉という政治性だ。社会批判を秘めた美術表現は、「既存の国家や公共機関」との対決という側面があると思うのだが、「闘い」は交渉の中に埋め込まれているのだ。
 さすがにマリノウスキー君は西欧の血を持つ男だ。作品の本質を語ることはなかったが、西欧流美術のエッセンスを僕に示してくれた。


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ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 (以下、余計な雑談)

 僕は安易に「レジデント」と云う言葉を使った。僕なりにのその言葉の理解度を書いておきます。
 作家が生活基盤を離れて、海外なり国内なりに訪人(まれびと)として居住し、未知の世界で創作活動をすることだと思う。受け入れるほうが、何らかの目的があって成立する美術制度だと思う。つまり、未知の人間がそこで生活し、人々と触れ合い、相互に心の交流を果たし、受け入れる側は彼の創作の今後の糧になるようにいろいろと便宜を図ること。その為の滞在経費を応援するのです。当然、若い人が対象です。(交通費、滞在費、生活費、制作費と作家にとっては多くのお金が必要ですが、どこまで負担するかはケース・バイ・ケースです。)

 僕はこの展覧会を見るまでは「滞在」と云うことを中心に考えていた。それは明らかに間違いであった。レジデントの眼目は「そこの人達との交流」であり、作品はあくまでも結果なのです。作家の「芸術生活の過程」が大事なのです。
 だから、この展覧会を見る視点ははっきりしています。ひとまず、作品の質なり、今展のコンセプトを問うことではないのです。彼らが札幌でどういう人と交わり、この地の何に触発されたかを見ることです。その結果が今展の作品の集合です。
 もちろん、作品の質の悪さは、彼らが単に札幌で遊んでいたのではないかと受け止められるでしょう。だが、彼らを結果だけで見てはいけないのです。それは、受け入れるスタッフの力量が問われるべきなのです。なぜなら、作家は何が何だか分からなくて札幌に来たわけですから、彼らの好奇心や志向性を理解して、いろんな機会や場(サービス)を提供するのは受け入れスタッフの情熱・力量以外にはありえない。ですから、「レジデント・展」は作家自身の札幌での関わりを見ること、彼らに対して受け入れスタッフはどういうアプローチをしたかを見ることだと思う。

 今展の作家には札幌の税金が使われたと思う。厳しく暖かく関係者を見、今後も語りたいと思う。
 「彼らの作品の質は問わない」、と言ったが、今展はそうでは無かった。人間もハッピーで、好感の持てる青年達であった。
 それだからエス・エアーの広報活動に、「しっかりせいや!!」と言いたい。良い青年、良い作品を札幌市民に見せる場を考えるのはエス・エアーの仕事だと思う。

by sakaidoori | 2008-07-28 22:41 | S-AIR | Comments(0)
2008年 07月 27日

705) 夕張市美術館 ②「夕張美術館と石刻画・山田光造・展」 7月1日(火)~9月15日(月)

○ 2008 G8サミット記念特別展
    『石刻画 山田光造・展』
   
 場所:夕張市美術館
    夕張市旭町4の3
    電話(0123)52-0903
 期間:2008年7月1日(火)~9月15日(月)
 休み:会期中無休
 時間:9:30~1700
 料金:大人・700円 中高生・500円 子供(4歳~小学生)・300円

 主催:山田光造展開催実行委員会 夕張YUBARIの会
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー(7・23 水)


 山田光造氏のH.P.こちら
  上記H.P.内の「安井金比羅宮・著作権侵害差止請求事件についてこちら
     ・・・以上、2012年11月30日追記。


      ~~~~~~~~~~~~~



 ①では美術館・常設展を載せました(⇒①の記事)。本題の山田光造・展の会場風景を載せます。会場は闇とは言いませんが、照明を落としていて、写真としては見難いと思いますが悪しからず。

 右回り見て行きます。

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 (↑:入り口正面の作品。「相生 理・RI」・1992年 紙本彩色6曲屏風 144×432cm) 
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 (↑:右側の部屋。) 
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 (↑:正面裏側の空間。)
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 (↑:同)
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 (↑:最後の入り口左側の閉じ込められた空間。)
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 (↑:正面から左側を覗いた空間。)

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 現実的に夕張に見に行かれる方は少ないと思うので、あえて多めの写真紹介です。この写真を見て、「行くつもりだったがその必要はない」と思われる方は少ないと思います。「行きたい、行かねばならぬ!」と思う人が一人でもおられることを望むばかりです。臨場感が伝われば幸いです。

 DM写真は細やかでリアル感のある力強い作品という印象でした。原画は確かに力強いのですが、大仰さよりも、深く沈みこんだ情念がそこにある、という雰囲気です。
 作品は年代順に並んでいないのですが、古い作品は野武士的な感じで、最近のは色が増えたり貝殻などの自然物を散りばめたりと華やかな軽さがあります。

 ピン・ポイント紹介を何点か次回(③)にしたいので、その時にもう少し語りたいと思います。

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 (加森観光の美術館運営に関してメモしておきます。以下の文章は山田光造・展の作品内容とは関係ありません。企業運営に代わっての美術館の様子の記録です。)

 正直な第一印象は「(有力)企業が運営すれば、しっかりしたもんだ」、これに尽きます。

 入場者も少なく、加森にとってはこの美術館は赤字部門でしょう。黒字になることは無いでしょう。メリットは何かと考えれば、今回のような企画展によって、ネーム・バリューを高めることぐらいですが、美術館運営経費と効果を考えた時に、高いメリットは期待できないのでは。地方美術館をビジネスに組み込むという戦略を加森がどれ程お持ちなのでしょう?夕張リゾート施設の一環として、必要範囲内の赤字部門として運営していると思います。
 ですが、いったん引き受けたからには恥ずかしくない管理は企業人としての責務です。その最低基準は見た目の綺麗さです。そして、資格のある学芸員の常駐は美術館の知的レベルの維持には必要不可欠です。巨額債務自治体の冠を持つ美術館としてはよくやっていると思います。

 入場料について。
 美術館運営の当初は、他の遊戯施設と一体化したパック料金だった。確か3000円?だと思った。美術館だけの入場希望のリクエストに応えて、700円の入場料に変更したと記憶しています。今回の山田光造・展のような実力作品の企画展は別ですが、常設中心の展示で入場料の700円に文句をいう人がいるかもしれません。僕もその一人です。ですが、いくらなら入場者が沢山入るのでしょう?僕の場合は、300円ならば年に1~2回は行きたい。500円ならば迷うところであり、700円ならば数年に1回です。入場金額で劇的に訪問者が増えるとは思われません。
 地元の人にとっては、ここは金額的には遠い存在になってしまいましたが仕方がありません。併設の市民ギャラリーは気軽に訪問できるのですから、ひとまずは良しとすべきでしょう。

 4,5年前に初めてここを訪れました。
 その時は入り口付近に地元の方が何人もたむろしていました。身内的な感じでした。一方で、館内はその広さを使いあぐねて、一番奥の部屋は乱雑な感じでした。もしかしたら、その広さを管理・維持するお金が足りなく、運営の意欲不足・マンネリがあったのかもしれません。今は山田光造・展として厳かな空間です。今展、夏休みに入って、客の入りも期待できるでしょう。今年度は10月の中旬で閉館と聞いています。
 もしかしたら、加森はあっけらかんと運営放棄の意思表明をするかもしれません。それも仕方が無いことです。運営を任されている間は、企業人として恥ずかしくない努力を今後も期待しています。


 遅い昼食弁当を美術館の前で、マイカーの中で開いていた。掃除のおばさんが一所懸命に働きだした。庭の草刈、館内の清掃と公共空間の日本的景色を見ながらのおにぎりだった。
 

by sakaidoori | 2008-07-27 10:55 | ☆夕張美術館 | Comments(0)
2008年 07月 27日

※)アートスペース201 ⑤「Vol.3 FIVE ENERGY 中島弘美・展」 7月17日(木)~7月29日(火)

○ Vol.3  FIVE ENERGY(ファイブ・エナジー)
     ~5人の作家によるファイブ・エナジーの名に於ける5つの個展~

 会場:アートスペース201 5階
    南2西1-7-8 山口中央ビル・北向き
    電話(011)251-1418
 会期:2008年7月17日(木)~7月29日(火)
 休み:水曜日(定休日)
 時間:10:00~19:00(最終日は~18:00まで)

 【出品者】
 Shelter・Serra(シェルター・セラ) 朝日章 横須賀令子 中島弘美 Liberated・Area
ーーーーーーーーーーーーーーーー(7・19)

 (2週間という展覧会も、今日を入れてあと3日となりました。写真紹介の最後になりました中島弘美・展です。海を渡って来られた小柄で可愛い女性でした。)

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 (↑:部屋を左回りで撮りました。ほぼ全容です。中島さんの場合は5階の広い部屋よりも、6階の狭い部屋の方が良かったと思います。細い線描なので、密着してみた方が、作品の生理が身近に感じるのではないでしょうか。)

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 (記は後日。もう少し写真を載せます。)

by sakaidoori | 2008-07-27 09:17 | アートスペース201 | Comments(0)
2008年 07月 26日

704) コンチネンタル 「vol.2 交差する視点とかたち」 7月19日(土)~7月27日(日)

○ vol.2 交差する視点とかたち
    艾沢詳子 下沢敏也 阿部典英 鯉江良二 

 会場:コンチネンタル・ギャラリー
    南1西11 コンチネンタルビルB1F (東向き)
    電話(011)221-0488
 会期:2008年7月19日(土)~7月27日(日)
 時間:10:お0~18:00 (最終日は、~17:00まで)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(7・19)

 まずは会場風景から。それぞれがそれぞれの領域を侵さないシンプルな展示です。昨年と同様です。
 それぞれのテリトリーからの他者への眼差し、それを交差と交響と企画者は位置づけています。

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 阿部典英は絵画から出発して、何でもありの幅広いオブジェを制作している。下沢敏也は北海道にあっては未熟な陶芸をベースにして、陶を武器にして異分野との交流を図り、工芸と美術を模索している。この二人を核にしての企画・グループ展と理解している。
 参加作家が一つのカテゴリーに納まりきれないのがセールス・ポイントのようだ。
 何でもありの現在の美術表現で、少人数での多用な素材や表現方法を披露することによって、僕達に他とは違った楽しみを披露しようというのだ。

 そういう美術概論的な挨拶とは別に、彼/彼女の具体的表現感覚があまりに一致しているのはどういうわけだろう?いわゆる「死へのオマージュ」である。「生と死」を見詰めたそれらの表現が、見るものの心に何かしらの喚起をもたらせることができたならば、ひとまずは成功だろう。


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 ↑:下沢敏也、
 飽きることなく、柱状物を寝かせたり立たせたりしている。それは棺桶や墓標を連想させる。生死感の反映というよりも、「自分にとっての土とは、陶芸とは、陶が立つとは、陶が寝るとは」と云うことを反問しているのではないだろうか。
 今作、とても綺麗だ。白地を増やしたのが原因と思うが、本人の満足度が伝わってくる。四角柱を止めて、細い三角柱だ。背中の部分は重ね合わせて、優しさを表現しているようだ。自然体になれたという作品だ。「何かと闘う」というよりも、「一つの安心の居住まい」という心境だろう。個人的には今までで一番好ましい。

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 ↑:阿部典英、「ネェダンナサンあるいは木花(米谷雄平に捧ぐ)」2008。
 あきらかに祭壇である。昨年と同様である。しかし、ムードは全然違う。昨年のそれは、内向きの度合いが強かったと思う。今作は具体的な人の名を冠しながらも非常に開放的、外向きさを感じる。しかも綺麗だ。ペンキで塗ったようなデザイン性は全然無い。色を塗った後にペーパーをかけて、薄塗りの中に深みを増している。鏡に包まれた箱の中の持念物は鉛筆を思わせて、エンクー仏ならぬテンエー仏だ。
 昨年の宮の森美術館以来、軽く大きくなった典英を見る思いだ。今年で69歳。札幌の美術重鎮の充実さに、若手中堅も負けては居れないだろう。


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 ↑:艾沢詳子、「無辜の民 ’08」。
 艾沢版棺桶と理解している。
 僕は最近の女史の「無辜の民・シリーズ」は好きでは無い。
 ティッシュに蝋で固めたようなシリーズがいつからかは知らないが、4年前の芸森・有島邸、「夏のオライオン」がピークだと思っている。目に見えないものに立ち向かう作家の凄みがあった。闇夜の不気味さ怪しげさを激情の世界に置き換える作家の強い意思があった。作家中心の創作姿勢が僕を圧倒した。
 「無辜の民・シリーズ」は同じ素材を使っている。以前の「見えない」対象が、ここでは「無辜」という倫理的な涙の対象に置き換えられている。今の日本で「無辜」とは誰を指すのだろう?僕はこの言葉に倫理的な真摯な姿勢を見るが、創作家の悶え苦しむ姿を感じない。当然、作品からは緊張感は伝わらない。不可知なるものを追い求める者が、それを止めた姿に思える。

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 ↑:鯉江良二、「チェルノブイリ・シリーズ×森を歩く」。
 図録には上掲の作品を2008年制作となっている。この作品の全部がそうなのかは定かではない。このシリーズが氏の出世作と伺った。それがいつなのかを聞き忘れた。1987年9月14日から21日までに、「札幌・器のギャラリー中森」で個展をされている。事故そのものは1986年4月26日未明である。おそらくその間であろう。
 画歴を簡単に流し読みしたが、陶芸と美術、伝統と現代にアグッレシブルに活動されている。1938年に愛知県常滑市生まれだから、70歳だ。

 自分自身の鑑賞の無さを暴露するようだが、何ら心が揺さぶられなかった。
 現在、門馬ギャラリーで氏の陶芸作品を見ることが出来る。20点ほどの抹茶茶碗が素晴らしい。何度見ても飽きない。幸いにも触って感触を楽しむことが出来る。後日、写真掲載したいと思う。
 おそらく門馬邸には鯉江さんが居られるだろう。全くの自由人だ。発言・行動はプラス志向だ。その元気さは何とも素晴らしい。作品と同時に作家自身を垣間見るのも有益だと思う。

by sakaidoori | 2008-07-26 00:09 | コンチネンタル | Comments(0)
2008年 07月 25日

※)アートスペース201 ④「Vol.3 FIVE ENERGY シェルター・セラ展」 7月17日(木)~7月29日(火)

○ Vol.3  FIVE ENERGY(ファイブ・エナジー)
     ~5人の作家によるファイブ・エナジーの名に於ける5つの個展~

 会場:アートスペース201 5階
    南2西1-7-8 山口中央ビル・北向き
    電話(011)251-1418
 会期:2008年7月17日(木)~7月29日(火)
 休み:水曜日(定休日)
 時間:10:00~19:00(最終日は~18:00まで)

 【出品者】
 Shelter・Serra(シェルター・セラ) 朝日章 横須賀令子 中島弘美 Liberated・Area
ーーーーーーーーーーーーーーーー(7・19)

 (昨年は5個の展覧会のうち、会場写真は全部載せたのですが感想記は二つだけでした。今年は全部書きたいと思う。まずは写真だけでも何枚か載せます。最後の中島弘美さんは明日載せます。7・25)

○ シェルター・セラの場合

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 ↑:ほぼ部屋の全貌。

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by sakaidoori | 2008-07-25 23:03 | アートスペース201 | Comments(0)
2008年 07月 24日

703) 時計台 「第6回 櫂展」  終了・7月14日(月)~7月19日(土)

○ 第6回 櫂展

 会場:時計台ギャラリー 2階A・B・C室
    中央区北1条西3丁目 札幌時計台文化会館
    (中通り南向き)
    電話(011)241-1831
 会期:2008年7月14日(月)~7月19日(土)
 時間:10:00~18:00 (最終日17:00まで)

 参加作家:梅津薫 田崎謙一 福島孝寿 川本ヤスヒロ 斉藤嗣火 藤井高志 渡辺貞之
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(7・19 土) 

 早いものでこのグループ展も6回目である。そして、僕が一般ギャラリーの作品を見るようになって、6年目ということになる。

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 ↑:以上がA室。

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 ↑:以上がB室。


 以下、一人一作の掲載と簡単なコメントです。

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 ↑:藤井高志、「橋のある情景」・150号F。
 川があって、橋があって、少年がいて、それらはいつもの写実画家・藤井高志さんのお気に入りのアイテムではあるが、いつになく動きがあって、川に映る橋の影も黒を避けて抜けた表現で、藤井さんの意欲旺盛な快作だと思う。
 絵の中に吸い込まれる気分と、絵からはみ出す気分の、見る側の相反する心の動きを引き出している。以前の回顧主義、ロマンティシズムが適度に抑制されていて好ましい。川の流れや道の方向は怪しげに徘徊し、旗はそれらに関係なく素直にたなびいている。何と言っても橋の影に心を奪われる。橋と云うものの象徴性を充分に引き出すような抜けた色の世界、どこにこの橋と影は人を誘うのだろう?


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 ↑:田崎健一、「群棲」・200×420cm(変形)。
 大作だ。クローン・ベイビーの薄気味悪さを田崎さんは表現し続けている。
裸の赤ちゃんの肌色が画面が覆っている。胎児が羊水の中で群れているのだろう。

 田崎さんはホッペが膨らんでいる姿が大好きな画家ではないかと思っている。単に好ましいというのではなくて、愛憎を孕んだ美学や造形の原点ではないかと思っている。そのご自身の造形の美学を社会批判や文明批判の原点にしているのが、昨今の絵画だと思っている。皮膚が膨らむという現象になんともいえない生理的な愛憎を抱く画家ではないのだろうか?今は負(文明批判)のみの道具にしているが、この「肌が膨らむ」ことに正負の表現が入り乱れたらどうなるのかな、見てみたいものである。
 描かれた作品以前に、画家自身の造形上の生理を、ストレートに出している姿に多大の関心を寄せている。


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 ↑:川本ヤスヒロ、「赤のピラミッド B」・30号F。
 青を背景色にした大きな作品もあるのだが、この赤のコンパクトな作品が気に入りました。ロクロとピラミッドはそのものズバリの関係ですが、土色に近い赤が眩しかった。
 それにしても、ロクロにこだわる川本さんです。泣き笑いしたくなるようなロクロ、ただただ大きいだけのロクロ、挽歌としてのロクロ、意味も無く次も見たくなります。

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 ↑:渡辺貞之、「黒い羽根の天使 無関心ゴッコ」・100号S。
 「目の人・渡辺貞之」さんは予想した通りに、目の強さを落として画面全体に目配せしています。僕自身の好みは「目を強いまま」にして、その強さに負けない画面構成を期待し続けているのですが、その方向には行きそうもありません。その代わりに、いろいろなことを画面に挿入しています。今作は画面右下の子供の落書きが面白い。演劇空間としての子供のゴッコ遊びに落書きという普段着の子供の遊びに、虚実の絵画のカラクリを楽しむことが出来ました。


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 ↑:福島孝寿、「時刻(とき)」。
 昨年に引き続いてのギリシャ風を感じさせる絵画。とにかく力強い。白い下着と肌色だけの人物と緑の葉、画面全体の野性味はゴーギャンを連想させる。
 白は目に迫る色という。色気無く迫る人物が面白い。僕はこの女人に色気(エロス)を感じないが、おそらく福島流のエロティシズムがあるのかもしれない。


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 ↑:梅津薫、「静かなる生成・黄昏」・100号F。
 青と潅木の世界を得意とする梅津さん。普段の色とは違う色合い、形の変化に新鮮さを感じました。


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 ↑:斉藤嗣火、「再生」・100号F。
 先日個展を終えたばかりの斉藤さんです。
 斉藤さんの古代的感覚と現代への関心がクロスした作品ではないかと理解しています。

 梟(ふくろう)、それは北海道の守り神的存在ですが、斉藤さんにとっては哲学的表現も含意しているのではないでしょうか。「梟(ミネルブァ)は夜に羽ばたく」という諺があります。夜、全てが終わった後に活動するということです。哲学(思惟)するということは、全てが終わった後にあれやこれやと考えることでもあるのでしょう。そういう意味で、ヨーロッパは古代から知恵なり思想の体現者として梟を当てはめます。
 梟の好きな齋藤さん。ガス・タンクと梟とギリシャ風女神、そこにはどんな寓意を込めているのでしょう?

by sakaidoori | 2008-07-24 22:49 |    (時計台) | Comments(0)
2008年 07月 24日

702) たぴお 「キャバレーたぴお展・ライブ ギター・吉田信生」 7月21日(月)~7月26日(土)

○ 2008年 第9回  キャバレーたぴお展
    ライブ・ギター 吉田信生

 会場:ギャラリーたぴお
    中央区北2西2・道特会館1F (中通り・東向き)
    電話(011)251-6584
 会期:2008年7月21日(月)~8月2日(土)
    注意⇒バータイム:7月21日(月)~7月26日(土)
               17:00~21:30 
 時間:11:00~18:00(or19:00)

 ※ 打ち上げパーティー:7月26日(土) 16:00~

 【参加作家】
 阿部有未 阿部啓八 漆山豊 大友洋子 加藤弦 久保千賀子 瀧原聖治 棚田裕美 能登健一 林教司 橋爪俊二 福原多賀士 藤川弘毅 藤井啓 吉住ヒロユキ 吉井美智子 斉藤邦彦 名畑美由紀 YURA YUKO 横山隆 星こず枝 為岡進 千葉有三 森実 中森秀一 のざわゆきお 玉本猛・・・以上28名。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(7・22 火)

 キャバレー仕様の会場、美術作品を背中にしてのギター・ライブだ。ギター・スクールも主宰されているクラッシク・ギターリスト・吉田信生さんの演奏会。

 S君の呼びかけで聴きにいくことにした。午後7時からと聞いていた。時間は過ぎてしまい、慌てて到着した。30分のファースト・ステージが終わったばかりで、しばしの休憩時間であった。
 背の高い演奏者だ。ハンサムである。繊細な感じだ。のんびりしている彼をS君が紹介する。こういう時に何かを言わなければいけないと思うのが僕の癖で、しばしの雑談。その風貌から、思わず「アランフェス」をリクエストしてしまった。「今日はリクエストを受け付けていないので無理ですが、・・・アランフェス、きついな」。
 黒装束を身にまとった青年が、淡々と荒野に向かっての演奏は絵になるだろうなー、と勝手に想像した。それではと、「アルゼンチンは?」との質問に、「そこは無いが、近くを演奏しますよ」との前口上を伺って、クラッシクギターの演奏の始まりである。

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f0126829_16453655.jpg 静かな曲から始まった。部屋のムードはキャバレーというよりも宮廷サロンのようだ。甘美なメロディー、静かに宮廷ダンスの仕草をしたくなるリズムだ。バロック音楽の優雅さの現代版という印象である。バロックのチェンバロ、その弦をこする音をギターの弾く音に置き換えた感じ。後で曲のことを聞けば、バッハであった。きっと演奏者はバッハの宗教音楽が好きであろう。荘重に弾くというよりも、静かに円く優しい音色で祈るような感じではなかろうか。きっと、「アランフェス」も嫌いではないだろう。

f0126829_1647037.jpg 次はグッと楽しくリズミカルな曲だ。タンゴだ。「タンゴ・アン・スカイ」。
 次はテクニックを見せる動きのある曲だ。右の親指で上の方の太い弦を2,3本軽く弾くのだが、同時に右の小指、薬指、中指で下の方の細い弦を素早く弾いていくのだ。高音と低音を右手一本で同時に演奏して、音に幅ができて、太くダイナミックに聞こえてくる。僕は最前列でかぶりつきで聴いていた。マイク無しの生音が静かな部屋で、コロコロと転がっていた。
 ・・・・・・。
 拍手喝采で終了した。
 当然アンコールの要求で、映画「禁じられた遊び」の主題歌である。定番中の定番ではあるが、やはり聞きたくなる曲である。緊張した演奏の後だけに、静かに余韻を楽しんでいるようなギターリスト・吉田信生さんであった。

 円く優しく美しく。キャバレーたぴおが宮廷サロンになり、静かに華やいだ時間であった。


 会場の様子を何枚か載せます。

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by sakaidoori | 2008-07-24 17:18 |    (たぴお) | Comments(0)