栄通記

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2012年 05月 25日

1766)②「CHIE・個展 『FOPPISH GIRL -つなげるかさなる-』」 大通西17丁目1-7 5月15日(火)~5月31日(木)

   
○ CHIE・個展 

  「FOPPISH GIRL-つなげるかさなる-」
 
 
 
 会場:D&DEPARTMENT PROJECT SAPPORO by 3KG
      中央区大通西17丁目1-7
     電話(011)303ー3333

 会期:2012年5月15日(火)~5月31日(木)
 休み:月曜日(定休日)
 時間:12:00~21:00 
     (日・祝は、~20:00まで)

ーーーーーーーーーーーーー(5.16)

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     ↑:(この建物の2階。左の部屋の窓は黒いカーテンで覆われている。そこが会場だ。)

 1759)①の続き。
 (以下、敬称は省略させて頂きます。)

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 前回は大作を載せました。そして言葉も多めになりました。今回は小品を載せていきます。言葉は限りなく減らしましょう。


 小品の中でも、やや大振りな世界から始めましょう。

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          ↑:「いつもはいつも?」・木枠にケント紙張り 紺色ペン ニス。


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          ↑:「青春」・同。

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          ↑:「こどものころから」・同。

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          ↑:「春の散歩道」。


 一つ一つの作品の全体輪郭を考えての構成だ。流れるように、昇るように、固まるように、などなど。アイデアの模索、その展開に汲々とはしていない。物語自体を離れて、全体を絵画的に見る余裕も生まれたのだろう。それに、自然に物語が生まれては発展していくので、単に描くという世界でもないのだろう。


 次は同じサイズの小品を、順番に関係なく載せていきます。


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     ↑:左から、「森ん中」、「海賊船」。


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     ↑:左から、「よみち」、「エスカレーター」・同。

 
 「よみち」の建物、生き生きとしている。」夜道」といえばHな犯罪を連想するが、ホピッシュガールは包丁大好き娘だ。パンチラお触りなどの、可愛いHシーンは無縁なのだろう。どこまでも血を見る世界だ。「鼻血ブー、脳天マサカリ、お腹イタッ包丁ササッタ」だ。

 「エスカレータ」、床のツブツブが好きです。グチャグチャにならずに埋める、埋まる、カッパえびせんだ。



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          ↑:「山登り」・同。


 雲のタッチ、いろいろ出てくる線の世界だ。立体的になっていくチエ・ワールドだ。


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          ↑:「遊園地」・同。


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          ↑:「バースデーバースデー」・同。


 もう絶好調だ。一枚の完結した絵としても充分に楽しめる。線の種類も増え始めた。

 CAIの研究所を修了して何年目になるのだろう?一つのピークに達したのだろう。絵にも山登りがあった。潜水もあった。高みに低みにと、彼女の冒険も大きく船出したのだろう。


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by sakaidoori | 2012-05-25 00:05 | ★その他 | Comments(2)
2012年 05月 21日

1759)①「CHIE・個展 『FOPPISH GIRL -つなげるかさなる-』」 大通西17丁目1-7 5月15日(火)~5月31日(木)

   
○ CHIE・個展 

  「FOPPISH GIRL-つなげるかさなる-」
 
 
 
 会場:D&DEPARTMENT PROJECT SAPPORO by 3KG
      中央区大通西17丁目1-7
     電話(011)303ー3333

 会期:2012年5月15日(火)~5月31日(木)
 休み:月曜日(定休日)
 時間:12:00~21:00 
     (日・祝は、~20:00まで)

ーーーーーーーーーーーーー(5.16)

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     ↑:(この建物の2階。左の部屋の窓は黒いカーテンで覆われている。そこが会場だ。)

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 会場は地下鉄東西線西18丁目駅から、近代美術館に向かう途中にある。家具屋さんとか、インテリア関係を連想させる店舗のドアを思い切って入り、有無を言わさずに階段を昇れば、それらしき部屋が目に入る。


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 会場は思いの外に広い。しかも、無音、無窓で冷やや、暗め。余計な物は一切無く、作品のみとの対話だ。その作品が油彩で重厚長大、緊張感漂うパノラマではない。ホピッシュ・ガールという漫画的キャラクターが主人公だ。彼女が冷暗気分の会場で、「これでもか、これでもか、この野郎、やっつけてやる」と誰にケンカを吹っかけているのか、ひたすら独り相撲を展開している、しかもエンドレスだ。
 サー、その世界に進もう。


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     ↑:「FOPPISH GIRL-いままでいま、ここから、コレカラ-」・72.8×412×3㎝ 木製パネル ペン ニス 透明シール。


 4mを越える大作だ。まるでこの空間に置くために制作されたみたいだ。そうではない。昨年の岡本太郎賞出品のための作品だ。
 実は、左側半分は旧作で、昨年のコジカでの個展時に発表した。生まれて初めての大作であった。その旧作を初めに載せよう。



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 僕は以前、「大きいのが見たいよ!」と言ったことがある。この時も、更に更に大きいのをと思った。あまり何度も言うのは失礼と思って、言葉を控えた。替わりに、「30万円、美術で懸賞」ではないが、札幌駅でのボックス・アートのコンペのことなどを語った。応募となれば、更なる飛躍があるのではと期待したからだ。そういう僕の思惑に関係なく、2mの追加で超大作が生まれた。

 その2m追加作品を載せます。初めに繋ぎ合わせ目の部分図を載せます。


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 追加作品、明瞭に描き方が変わった。「描く」という流れから、「強く埋める」に変わった。線描の多様化と力感、執着力は別人のようだ。袋娘が流れる置き人形から、暴れまくり、ケンカしまくりの終わり無き闘いに移行した。「出てくる出てくるチエの妄想」だ。
 つまり、描きたいから描く、ではなくて、出てきて出てきて止まらない、描かないと描かないと止(や)められない、「やめられない、止まらない、かっぱえびせん」状態になった。だから、定型の袋娘も描くのだが、収まりのつかない手は線を乱雑に引きまくって、描きまくって自動運動を起こし始めた。
 「線」、この絵の中では樹とか山とかの定型物に置き換えて、制御されてはいる。もし描き手が「ホピッシュガール(袋娘)」というキャラだけで、膨らむ妄想が満足しなければ、線が制御不能の落書き狂乱乱れがきに陥るかもしれない。線が袋娘の常識領域を侵し始めるかもしれない。線と娘の共同歩調が、あくなき戦闘へと進むかもしれない。
 先のことをあれこれ考えても仕方がない。自動運動し始めたホピッシュ・ガール、その動きと妄想を楽しもう。


 大作の中で、お好みの部分図を載せます。


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 山がある。そして、・・・アー、人人人、ただただただ人が群れている。彼らが何をしているか?そんなことは全くどうでもいい。溢れんばかりに人がいる。


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 妄想迷走という洛中洛外図屏風だ。

 大作で、いつものように時間を使いすぎた。小品の紹介は②に続く。




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by sakaidoori | 2012-05-21 11:37 | ★その他 | Comments(2)
2012年 04月 28日

1723)「米澤卓也作品展『ふわっとして、ひゅん』」HOUSE CREATIONモデルハウス 4月28日(土)~5月6日(日)

  
 米澤卓也・作品展ー 

    ふわっとして、ひゅん


       another creation 2012 プレ企画   
   

 会場:HOUSE CREATION モデルハウス・IBUKI 
      手稲区明日風5丁目17-39
       (手稲区の運転免許試験場北門
        から出て直進15分
        ※ 駐車場有り。)
      電話(011)683-3100
  
 会期:2012年4月28日(土)~5月6日(日)
 時間:10:00~18:00
      (最終日は、~17:00まで)

 主催:HOUSE CREATION

ーーーーーーーーーーーーーーーーー(4.27)

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 個展会場は立派でリッチなモデルハウスの中。
 根っからの貧乏性だから、こういう高級住宅に足を運ぶことはない。当然、住むには全く縁が無い。ソファーに座っても腰が落ち着かない。が、時にはこうして絵画を見、作家と語らうことは実に良い。これも人生の楽しみの一つだ。


 ブログに紹介するつもりが無かったから、間取りを意識した写真を撮らなかった。だが、見終えると、見たことが忘れがたく、予定変更での紹介です。建物なり絵画の全貌を上手く紹介できそうもありませんが、そこのところは適当に進んで下さい。


 玄関から行きましょう。建物は3.5階。


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     ↑:(作品は玄関の左右の壁に小さく一枚ずつ。)


 玄関の左側には居間。


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     ↑:(お洒落で意味不明な作品。デザイン、あるいは装飾的作品と解していいのでしょう。こういうのがポロッとでてくるところが成長の証だろう。要するに、何でも作品になるのだ。作家が「これが良い、これで行こう」と、強く決断すればいいのだ。)


 居間と同じ空間に床の間のような、茶室のような設計者ご自慢の空間。


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 茶釜の焼け跡のような黒墨が中央に見える。
 「穴」だ。モデルハウスに展示するにはいささか異様だが、関係者も問題なしとみたのだ。素晴らしい。
 他の作品は小品中心で、青年のふわふわ気分で統一されている。なのに茶室の中央に芝生と黒穴とは大胆だ。絵の主人公達は、このの建物の吹き抜けを意識して、上下にふわふわ飛んで跳ねているのだが、彼らの秘密の出入り口がこの「穴」なのだろう。作品としての穴、建物の穴だ。その、ささやかな不思議さで建物という空間全体を絵画(美術)空間に置き換えようとしている。
 作品としては何てことはないが、僕はとても好きだ。






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     ↑:(2階から階下を望む。中庭も見える。この庭も設計者自慢の空間だ。)


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 さて2階だ。


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 階段を上がった空間には長テーブルと飾り棚。変な窓穴を利用して三個の作品が並んでいる。



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 ベッドに酒に赤!何て情熱的なんだろう。夢は昼から開きそうだ。



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 2階には天井の高い部屋がある。そこにはアルミの長い階段が用意されていて、屋根裏部屋のような秘密の部屋を最後に用意している。


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     ↑:(外の景色。)


 細々と青い世界が白壁を飾っていた。目立たずおごらず爽やかに、だ。良い感じ、良い雰囲気の演出が第一で、そのことを通して、米澤ワールドの引き出しは随分と豊富になったことだろう。
 目立ち過ぎないのは充分に分かるが、どこかに20号なり30号の作品が欲しかった。壁に飾れないのなら、床に立てかければ良かった。
 それと、これは勝手な願望なのだが、女性というか女の子も画題に欲しかった。話がもっと拡がりもするし、楽しくなると思うのだが。



 最後に中庭からの景色です。

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by sakaidoori | 2012-04-28 22:27 | ★その他 | Comments(0)
2011年 05月 10日

1541)「てとてとマート 東日本大震災チャリティー」インナーガーデン 5月8日(日)・15日(日) 他

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○ てとてとマート 

  東日本大震災
    チャリティー・アート・マーケット
 
  

     主催・企画:北海道教育大学岩見沢校美術専攻生

 
 会場:インナーガーデン
      札幌駅前ビル sapporo55・1階
      (紀伊國屋書店札幌本店入り口前)
     電話

 日程:第1回 2011年5月8日(日)・15日(日) 11:00~19:00 
     第2回 2011年7月2日(土)・3日(日)       時間未定

 特別企画:5月8日(日)  ライブ・ペイント           14:00~
        5月15日(日) 山本将平アコーステック・ライブ 14:00~ 
                 ライブ・ペイント            15:30~  

ーーーーーーーーーーーーー(5.7)

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 会場は紀伊國屋札幌店の北側入り口付近。「本店前」と案内にある。「札幌駅前ビル・sapporo55」はどこだろうと、紀伊國屋のあるビルの廻りをぶらぶら歩く。建物の外側から、中で何やらしているのが見える。ようやく見つけたその場所であった。何てことはなかった、「紀伊國屋書店札幌店・北側入り口付近」であった。


 そこには女子学生がマイク片手に呼び込みをしている。入り口を塞ぐようにして何人も並んでいる。「24時間、愛は地球を・・・」スタイル調の白服だ。その明るく元気な女性若者雰囲気に、中年親父が入るには気後れしてしまった。やっと見つけたこの場所、返るわけにもいかない。

 壁際には絵画などが陳列、売値を見ながらグルリと廻るが、やや商品不足の感じ。作品も力作という感じでもなく、小品を気楽に出品しているといった感じだ。
 中央テーブルには本当に小物が並んでいる。当世言葉で「カワイイ」グッズがお行儀良くお披露目だ。値段も手頃だし、楽しい気分だから絵画よりもこちらの方を楽しんだ。
 気付けば、ライブ・ペイント作品がそれなりの大きさで奥の方にっあった。その付近で筆をもてあそんで何やら書いている。その時書いていた字は時間つぶしの腕ならしなのだが、1枚300円で「リクエスト書」の受付中とのことだ。担当は書専攻の学生だ。『そうか、書もこの学校には合ったのだ』と、妙に嬉しくなった。虚ろに覚えている詩をリクエストした。長い詩だが冒頭を書いてもらった。


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f0126829_8385798.jpg 時間つぶしの時の書き方とは違って、気合いがこもっている。小さい字ばかりなので手首を少しずつ動かすだけなのだが、時に素早く筆を払う動作が僕の目を驚かせる。それは僕の意識のスイッチ・オンでもあった。書き手の緊張感がグッとくる、思わず写真を撮り始めた。カタカナ、漢字、ひらがな混じりで長い文章だ。大きな字での書き出しでどうなるかと思ったが、見事に収めてくれた。
 学生にとって、実演販売などは初めてではなかろうか?金額は300円、たかだか300円、されど300円で気合いも入ったのだろう。しかもその金額は寄付金だ。僕にとっては寄付行為という意識は無いのだが、良いものを見させてもらった。良い作品を書いてもらった。

 他にも小物でお気に入りを見つけた。
 会場では写真撮影の話をしなかった。若い女性のムードに気後れして声が出なかった。僕の所有物で、会場の品々や雰囲気をご想像下さい。


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 書は○○亜耶。伏せ字は伏せているのではなくて聞き忘れたからです。そのうち分かるでしょう。
 豆本とフェルトの小物、作家は?ご存じの方、教えて下さい。


 「書」、この続きを書いてもらいたくなった。あるいは違う詩にしようか?短歌でもいい。来週も実演書があるのかはわからない。


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by sakaidoori | 2011-05-10 09:23 | ★その他 | Comments(4)
2010年 09月 11日

1366) 倫土 「菊池絹枝・白磁展 Moko Moko」 9月6日(月)~9月15日(水)



○ 菊池絹枝・白磁展 

   Moko Moko
  


 会場:ギャラリー倫土(ろんど)
    西区山の手3条12丁目3-56
     (北一条宮の沢通りのバス停・「4条11丁目」から
     山側に歩いてすぐ。)
    電話(011)611-2031
       (10:00~17:00)

 会期:20010年9月6日(月)~9月15日(水)
 時間:10:00~17:00
    (最終日は、~15:00まで)

ーーーーーーーーーーーーーーー(9.10)

・ 遊び心と実直さ

 会場風景を真っ先に載せます。
 (以下、敬称は省略させて頂きます。)


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 真面目さ几帳面さを縦軸に、遊び心を横軸にした個展だ。

 その心は二つ。
 一つ一つの「もこもこ」作品を余すところ無く見てもらおう。この部屋の間取り、空間、部屋からの景色は素晴らしい、この素晴らしさを全部わかってもらおう。
 
 手段も二つ。
 徹底的に作品は「モコモコ」だけにしよう。チョッピリ光と紐に助けてもらおう。床のパネル目地に即して等間隔に埋め尽くそう。

 今展の素晴らしさは、沢山の「モコモコ」を展示した菊池絹枝の情熱であり、エネルギーだ。しかも、その「モコモコ」だけに徹底した姿が良い。スポーンと突き抜けた真白き聖柱の清々しさだ。 
 モコモkの制作数は全部で280個にもなる。会場は2階なのだが、部屋外の2階の踊り場や飾り棚にも並んでいる。僕にはそれだけで大満足だ。


 さて、問題はマス目に並んだモコモコの展示方法だ。間違いなく、この方法は見る者の好悪を二分するだろう。それは作家の意図を離れた鑑賞者の美学と美感の問題でもあるが。
 作品はお触り自由だし手に持って遊ぶこともできる、歩けない場所はない。その限りでは鑑賞者には優しい。優しいのだが、実に歩きづらい。座って見たいのだが、それがなかなかできない。触れるのだから座る場所は確保できるが、なかなか勇気と決断が必要だ。そしてなによりも等間隔の視界は緊張を強いる。だから、決して鑑賞者には優しく落ち着く場所とは言い切れない。
 そこが今展の重要なところだ。つまり、何かを愛でて心がゆったりするような癒しの場ではないのだ。あくまでも「菊池絹枝の美の世界を、この時この限りだけでも楽しんで下さい。モコモコ君達、どれもこれも可愛いです。触ってあげて下さい」と訴えているのだ。強いあからさまな主張があるのだ。作家そのものを見るという個展の原点がある。空間に生かされつつも、空間そのものを超えようとしている。中途半端さを排除して、徹底的に没我の世界だ。
 見る者とは違った別の美学・意思があるということ、その理解が誤解だらけでも構わない。違う世界があるということをググッと感じることができる。

 この展示方法が成功したかどうかはわからない。グッドだと言い切れるが、ベストかベターかはわからない。
 そういう比較の問題ではないのだ。「菊池絹枝」、その人の個展であった。直向きな強い姿勢に乾杯をしたくなった。


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by sakaidoori | 2010-09-11 10:37 | ★その他 | Comments(0)
2010年 08月 11日

1329) NHKギャラリー 「《四季・薬草園》油彩画展 2010・横山文代」 終了・7月30日(金)~8月5日(木)


○ 《四季・薬草園》油彩画展
    2010 横山文代



 会場:NHKギャラリー
     札幌市中央区大通西1丁目
     (大通公園の北側、NHKビル内)
     電話(011)232-4001 

 会期:2010年7月30日(金)~8月5日(木)
 時間:10:00~18:00
    (最終日は、~15:00まで)

 協力:北海道薬科大学

ーーーーーーーーーーーーーーー(8.3)

 会場は二部屋構造。以下、その二部屋の風景。
 (以下、敬称は省略させて頂きます。)

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 緑の風景作家です。

 横山文代は好きな対象をビシッと真ん中に納めて力強く描く、これが基本姿勢だ。対象は風景であり、見たとおりに描くから完璧な具象画だ。直視する真摯さは好ましいのだが、「嘘」が無さ過ぎるのが最大の欠点だろう。いや、「絵」というものは根本的に嘘なのだから、画家自身の自覚の有無に関係なく間違いなくそこには「嘘」がある。その「嘘」さが見る人に魅力として、主張として伝わるかどうかだろう。
 そして、風景画の場合、写真という魅力的な対抗馬がいる。単なる写実的な絵では「絵」として一顧だにされない場合がある。横山文代は急速に絵が上手くなった。上手くなったが故に、その可能性が高くなったとも言える。
 だが、それは仕方が無い事だろう。皆なが写真を撮り、多くの人が絵を描くのだから「似た作品」は多くなる運命だ。それでも、「自分らしさ」という味の素を絵に加えて、描き続けるしかない。


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          ↑:「白い貴婦人」。

 本展の中では少し古い作品。
 この絵はもっとも良く彼女らしさがでているだろう。
 中央に描きたい木を直立させる。好きな緑色の木の葉という顔。そこに白いお化粧がチャームポイントとして華を添える。幹は写真では黒いが実際はそうでもない。細身の体で繊細で、緑を際だたせる存在だ。
 ひまわりの花のように、緑が中央で咲いている。


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          ↑:「九月の風」

 欲張りな女性だ。
 「道なりの模様が素敵だわ!なまめかしく横筋模様を描いてみよう。上手くいった。
 あー、この緑!強く深く新緑にしよう。
 木漏れ日が輝いている。何とか白で引き立たせよう。う~ん、難しい。よし、一所懸命に白くしよう!
 道の先も輝かせよう。希望の道明かりにしよう。」
 あれもこれも描いて元気な絵だ。全てが並列的で対等な主張でもあり、砂糖沢山のコーヒーのようだ。
 上手で綺麗な飾りの絵に限りなく近くなった。もったいない。


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          ↑:「光の詩」

 上の写真では分かりにくいが、絵のテーマは「中央での木々の塊と、そこに添えられた白い木漏れ日」です。原画はまさにそういう絵です。
 僕が横山文代・風景画が好きなのは、こういうどうでもいい対象を強く描こうとしている意思だ。一心不乱に画いている姿が想像されるからだ。
 悪いのは、作品を絵として収め過ぎなところです。額縁という枠が心の枠になってしまって、そこからの発散度や緊張度が小さい。もっと大胆で、もっと失敗した絵を見たい。

 今展は樹の「緑」を中心に、光や花を「白」でアレンジしていた。その中に適度に視覚を変えた作品もあり、リズム感もあった。課題は「自分らしさ」の自覚なのだろう。それも、強い自覚だ。

 

by sakaidoori | 2010-08-11 10:02 | ★その他 | Comments(0)
2010年 07月 05日

1283) 大通公園・路上パフォーマンス

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 新道展にも出品しているチアキさんが大通公園2丁目で路上切り絵パフォーマンス。

 午後7時頃から始めると聞いていた。当日は時計を忘れて適当に寄り道した。派手な着物スタイル、コミカルな津軽三味線、多くの人だかりと、なかなかの繁盛で、静かな動きで熱演中だった。
 着物は動きやすいように後ろが割れていて、黒いパンストと足の動きのチラリズム、うらなり顔に柳腰、チョッピリ色気か健康的若女性美、夏の楽しい風物を見る事ができた。
 老若男女が見物人だ。子供が投げ銭を持っていくと、サービス精神豊かなチアキさん、すかさず披露した作品をバインダーに収めてお土産に提供する。どっと立ちこめる笑い声、間髪はいる拍手喝采。笑顔を振る舞うチアキさんは慣れたものだ。
 最後は会場の女の子を傍に寄せて、彼女の似顔絵切り絵で本日の演技は終了。いやいや、持参の垂れ幕を降ろして、「投げ銭をお願いします」と大書されている。一回りゆらりゆらりと垂れ幕をお披露目、お色気と華やかな一人無言劇は本当に終了だ。大きな投げ銭箱にお客さんは群れなし、お足には千円札も混じって、大盛況の夕闇の一時であった。
 なお、本日のプロフィールには「キリガミスト 千陽(ちあき)」とあります。キリガミスト、なかなかコジャレたネーミングでした。


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 続けて沖縄からの訪問者が何やら披露する予定だったなかなか始まらない。次の用事と空腹模様なので退散する事になった。ほんの少し心残りなテレビ塔と噴水であった。

by sakaidoori | 2010-07-05 11:56 | ★その他 | Comments(0)
2009年 07月 22日

1042) 紅桜公園 「澁谷俊彦・展 -森の雫 09-」 終了・7月18日(土)~7月20日(月)

○ 澁谷俊彦・展
   -森の雫 09-

 会場:紅桜公園内 茶室寿光庵
     南区澄川4条13丁目389-6
     電話(011)581-4858  

 会期:2009年7月18日(土)~7月20日(月)
 時間:10:00~17:00
     (初日のみ、12:00~)

 料金:園内での散策を含めた鑑賞のみの場合は入園料(300円)が必要。
      飲食メニュ⇒茶屋利用(菓子付き抹茶 680円、他)
              茶室メニュー (問合せ下さい。)

 【公共交通手段】 
  地下鉄真駒内駅6番バス乗り場より、
   [南81]西岡線「豊平清掃事務所前」行き乗車。
             「澄川南小学校前」下車、徒歩12分です。
 
   時刻表。 行き、真駒内発     10:00 12:25 14:25 16:25 
          帰り 澄川南小学校を 10:22 12:47 14:47 16:47 18:47
          (土日祝ダイヤ)


ーーーーーーーーーーー(7・20)

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 最近の天気は晴れ間が少ない。この日は幸い良い天気であった。

 「久しぶりに晴れて、良かったですね」
 「そうですね。でも、昨日は雨だれの音も聞こえてなかながでしたよ。・・・」

 確かにそうだ。和の空間は自然を取り入れて成り立つものだ。満月よりも朧月夜を良しとした平安貴族の美学を忘れてはいけない。
 足を運ぶには少し不便な所だが、訪問客は途絶える事はない。本来ならば、作家はじっくり座ってお客と対話したいと思う。代わる代わるの客人に、笑みを浮かべて嬉しそうに対応されていた。


 写真は玄関から、二つの茶室、隣接する赤いカーペットのひかれた廊下と進行方向に掲載。(最後の写真は逆向き。)
 
 茶室、廊下と沢山の作品が並んでいる。畳に座って、ゆっくりと個別の作品を愛でるというものではない。あたかも柱状の作品が茶室の主人とお客で、白テーブルを囲んで茶をたしなんでいる。その空間を我々人間がお邪魔をしているみたい。
 主人公は作品だ。だからお邪魔している「ひと」達は作品の動き・視線と同じ高さで向き合うのが望ましいのだろう。
 柱状作品と会話をする、意志の疎通を計る、光がくればその変化に優しく対応させる、椀状の作品とは茶会の会話のように、「畳の部屋の気分はどうですか?色はうまく反射してますか?」と、心の中で掌に乗せて聞いてあげたらいいのだろう。

 インスタレーションにおける美学に、二つのアプローチがあると思う。全体(空間)に重きをおくか、作品を生かすことに重きをおくか。
 例えば、前者は展示される壁を生かすのに、たった一点の作品をどの位置におくか。
 後者は、作品を引き立たせるために、壁のどの位置に展示するか。
 前者は和みやインテリア空間に応用され、時には絶対美学の追求の場にも発展する。
 後者は作品そのものとの関わりが大事で、作品と作家と鑑賞者の関係がより人間臭いものになるかもしれない。

 おそらく、澁谷俊彦氏は後者だろう。
 氏の作品は宇宙の広がりや四季の移ろいを感じさせる。日本美に親和性の強い作家だと思う。ところが、展示となると額装の白さなどを利用した日本美なのだが、沢山展示して余白美とは異にしている。
 氏はもともとは版画家で平面展示作家であったと聞く。最近の発表はインスタレーションが主流だ。なぜそうなったのだろうと時々考える。思うに、平面空間での大人しい展示に物足りなさを抱いたのではないのか。展示壁面に作品と鑑賞者(作家自身)の間に見えない壁が見えてきた。見る人が作品に行かないならば、作品の方からこちらに出向かせよう、何とかして作品自身が世の中を闊歩する、させたい。そのことが触れる作品ということにもなって、親しみやすい澁谷・ワールドになったのだろう。
 点描がおびただしく画面に重なり、内に内にとエネルギーが向かう絵画だ。そのエネルギーがお椀や柱の形を借りて、外の外に行こうとしている。それは、もともとは外に爆発させたかった氏のエネルギーが、ようやく美術の形式て実現しているのかもしれない。
  

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by sakaidoori | 2009-07-22 22:51 | ★その他 | Comments(2)
2009年 07月 18日

1038) 旭丘高校 「旭丘高校美術部・学校祭展示」 終了・7月18日(土) 10:00~14:45 

○ 旭丘高校美術部・学校祭展示
   
 会場:市内中央区旭ヶ丘6丁目5番18号
      A207教室(2階奥の美術室)
    電話
 日時:2009年7月18日(土) 10:00~14:45 
    (注意⇒最終入場は14:30まで。
         上履きを用意して下さい。)
          
ーーーーーーーーーーーーーー(7・17)

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 チョッと訪問には恥ずかしいものがあったのですが、なかなか行けれない高校の美術部室です。意を決して行ってきました。

 旭丘高校はギャラリー門馬のすぐ傍です。門馬邸から山に向かって真一文字に進めば、左側に見上げるように待ち構えています。
 学校祭ということで玄関からなかなかの賑わい。制服姿もあれば甚平に浴衣に実に開放的なものです。
 美術部は2階なのですが、玄関が0.5回という高さです。1階をぐるぐる廻って、間違いに気付いて2階に上って、その間にも生徒のうきうきする声が浴衣姿で届いてきます。なんとなく歩いていたら、「美術部へどうぞ~、美術部へ~~、美術部~~」、小さい声を一所懸命に呼び込みの声が聞こえてきます。「美術部はいかが~、美術部はいかが~」と、どこかで聞いた文句に変化し始めて、一気に自分の過去におちいりそうです。不思議な気持ちを抱いていると、声も姿も遠くに走っていく。我を取り戻して、スルッと部室に入ると顧問の齋藤周先生とばったり。
 「ブログ、いいですよ。生徒の作品は高文連のための未発表作品ですからダメですよ」ということで、何となく会場風景を載せることになりました。(載せれないと勝手に判断していたので、心の準備ができていなかった。)

 部室内は中央に多角形の仮部屋を作っていて、その内部にインスタレーションと先輩達の思いを込めた落書き。外壁には3年生達の即興的な絵画作品です。
 仮小屋を囲むようにして入り口に向かって製作中の作品がズラリと並んでいる。30号です。美術部と演劇部が一緒になったような空間作りです。そして、浴衣と甚平の学生が気ままに作品鑑賞、まさに演劇だ。脚本ができそうだ。

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     ↑:3年・宮本柚貴、「プラネタリウム」。(紫の好きな学生だと思う。星もぶら下がっていて、自分の世界を作っています。)

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 (↑:作者不明。非常に印象的な絵です。整った美女顔と目との関係が面白い。人の目とも思えない。顔はサラリと、目は頑張り過ぎに描いていている。若人の見える姿とと見えない心の象徴のように見てしまった。)

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 ↑:詩のコーナー、ペンネーム・文月悠光。(少し読み進んだ。詩と廻りの風景との関係にこちらの心が付いていけない。読むのを断念する。部室も詩も学生達も眩しすぎる。)



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 ↑:絵画は、3年・狩野悠佳子、「書く」。(画題、構図、顔の切り具合と、いかにも学生的で好感が持てる。)

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 旭丘高校と言うだけあって、とても見晴らしの良い所だ。更に部室は高い所にある。
 絵に書いたように眼下にグランドが拡がっている。テレビ塔までも見える。山がある。大和三山の一つのように手頃な高さで収まっている。ここが天の香具山ならば、畝傍山にしよう。曇天の空が神々しい。


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by sakaidoori | 2009-07-18 23:55 | ★その他 | Comments(0)
2009年 06月 28日

1024) 菊池邸予定地 「612621」 終了・6月12日(金)~6月21日(日)

○ 612621
    (4人の作家による展覧会)


 会場:旧Wander Archi建築設計事務所
     (菊池邸建設予定地)
    東区北11条東6丁目1ー23
    (駐車場無し、市立北光小学校南向い。)

 会期:2009年6月12日(金)~6月21日(日)
 時間:13:00~19:00

 企画・主催:612621プロジェクト

 【参加作家】
 小林麻美 ミウラアヤ 安藤文絵 真砂雅喜

■ オープン・スタディオ(公開制作) :6月5日(金)~6月7日(日)
■ ペイント・プロジェクト(安藤史絵) :6月13日(土) 13:00~17:00
■ オープニング・パーティー  : 持ち寄り形式。 6月13日(土) 18:00~

■ トーク・イベント :6月12日(金) 19:00~21:00 無料
             北海道大学工学部建築都市スタジオ棟・MITSUIホール
             (北13西8) 
         パネリスト・小林麻美 ミウラアヤ 安藤文絵 真砂雅喜
         協賛    ・菊池夫妻


ーーーーーーーーーーーーーー(6・20)

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 上の写真が今展の会場。

 今展は参加作家が自己表現をするだけに止まらず、「場」ということを再考しようという意図があるかもしれない。その主体は場の提供者か、参加作家か、目に見えない誰か、かもしれない。
 鑑賞時も2階では中年男性を中心に激しく意見交換をしていた。協賛夫婦を交えたトーク・イベントもある。会場には穂積利昭氏が詳細に「場」のことをパンフレットで語っている。「作家ー作品」関係だけを語っても仕方がないかもしれない。だが、たった一回きりの一会場での展覧会で、「場」をどうのこうのと言っても仕方が無い。その気があるのなら、不定期でも構わないから、こういう展覧会を開いて欲しい。開いてもらいたい。こちらもその方面に意識を高めて見に行こう。

 (展覧会はミウラアヤの文学作品、真砂雅喜の映像作品、安藤文絵の鑑賞者参加型のペインティング作品と刺激的であった。
 それらを無視して、小林麻美作品を語ることにしよう。
 作家とも会話したが、作品理解のためというよりも、久しぶりに小林麻美という人の肉声と向かい合いたかった。)

○ 小林麻美の場合。

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     (↑:小林麻美が見ていたであろう、会場向かいの風景。暗がりの撮影だったので、かなり修正しています。)

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     (↑:1階の窓。住宅の玄関横ににこんなに大きな閉め切りの窓は作らない。店舗用の改造でもしたのだろう。画家はここから覗いて風景を描いたのだろう。)


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 垂れ流しの部分もある、半分はマスキングを利用したすだれ模様の画面だ。技巧性は確かに強いのだが、あまり作為を感じさせない。絵そのものを静かに濃密に描いている印象を受けるからだろう。それと、画家には失礼だが、絵が上手くなったと思う。特に色の出し方というのか、色そのものや色と色と隙間を魅入らせる表現力が格段に良くなったと思う。
 問題は上手くなったことと表現したいこととの相関関係だろう。表現したいことの延長上の上手さというよりも、画家を続けている事からの上手さではないかと思っている。だから、その上手さに彼女の主張が意図的に含蓄されているかは少し疑問である。

 小林麻美はある種の風景に体質的な違和感を持ち、その原因を見定めようとする人だと思っている。おそらく、自分の中の制御出来ない異質なものを抱えていて、その反映として風景が眼前にあるのだろう。負けじ根性の強い人だ。自己探求の強い人だ。正体を見定めたいために、異空間とも思える世界と格闘し、見定めようとしている。その行為が彼女特有の「窃視的」覗き見として語られる。

 もしかしたら本当に異次元・異空間を感知しているのかもしれない。だがその前に自分自身のブラックホールを見つめなければならない。
 自分自身を見ること、それはほとんど「過去」への探求と同義だろう。苦しい過去もあれば、懐かしき過去もあるだろう。探求を伴わない時、人はそれらを「思い出」と語る。

 会場備え付けの穂積利昭氏の文章によると、今展は祖父を中心にした家族の思い出が重要なモチーフとのことだ。
 確かに、画面に漂う淡々とした静けさや、すだれ画面は思い出の反映なのかもしれない。それに絵の巧が加わった。

 だが、もし思い出のみを描いている小林麻美ならば、これほど面白くない事は無い。
 もし本当に「思い出」のみが重要な要素ならば、今の彼女は画家の踊り場にいるのだろう。溜め込んでいるのだろう。

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  ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

f0126829_1353876.jpg 会場に備え付けの評者・穂積利昭氏の文章を左に載せます。拡大して読んで下さい。


 具体的で詳細な言葉です。
 単なる展覧会の一つという認識でしたが、表現者の作品以上のメッセージが今展にはあったのでしょう。


 ところで、穂積氏の文章に一つだけ疑問があります。
 
 今展のような、建築物などを含めた場所特有の記憶の掘り起こしとしての「場」、それにからむ他の団体の活動一般に対して、「ある種の欺瞞性を感じる」と看破されています。
 明快な主張でとても良いと思う。

 ひるがえって、今展に対して、「そうした欺瞞からはかろうじて免れている」と語って筆を置いています。

f0126829_1426302.jpg 唐突に「場」の美術専門用語を語りだして、何となく言いたいことは分かるのですが、しかし、「欺瞞から逃れている」と何をもって言い切れるのでしょう?自己肯定のための安易な他者批判の域をでない結論だと思います。
 面白い展覧会でしたが、他者の批判をせねば成り立たない展覧会とも思えません。
 それに、「意欲的な」グループ展というものは必ず欺瞞性がつきものです。今は個人の行動様式が多様化した時代です。そこに多数が集まれば必ず欺瞞・温度差・力関係が発生するものです。今展も参加作家の個々の意識を離れて集団としての「欺瞞」は必ずあるはずです。集団としての今展の欺瞞性の指摘が始めにあって、その後に他者の批判があるべきだと思います。

 穂積さんはきっといい人なのだろう。それで、ついつい必要以上のリップ・サービスをしたのだろう。

by sakaidoori | 2009-06-28 14:35 | ★その他 | Comments(0)