栄通記

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カテゴリ:☆(室蘭)室蘭市民美術館( 2 )


2009年 06月 24日

1018) 室蘭美術館 「霞 ーKasumi-2009」 終了・6月9日(火)~6月21日(日)

○ 霞 ーKasumi-2009

 会場:室蘭市民美術館オープンギャラリー
     室蘭市幸町6番23号
     電話(0143)22-1124
 会期:2009年6月9日(火)~6月21日(日)
 休み:月曜日(定休日)
 時間:10:00~19:00
     (最終日は、~17:00まで)

 【出品作家】
 陶 ・前田育子
 ドローイング・澤口紗智子
 漆工・真境名 伊久里 
 彫刻・奥山三彩 国松希根太 坂本正太郎 登尾真帆 藤沢レオ 
 絵画・曾田千夏 今泉育子 数又裕子 中野美砂子 
 写真・世羅繁宇 Dog Leg (兜森達也) (渡辺久太) 室蘭工業大学写真部
 鏡 ・諸木純 
 花 ・森直子
 

ーーーーーーーーーーーー(6・21・日)

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 会場はL字形で、交点付近が出入口。入った瞬間に窓のある明るい方向と無窓の方角と、同時にニ方向を見ることが出来る。
 上の写真は窓に向かって撮ったもの。

 以下、個別作品を何点か載せます。

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     ↑:室蘭工業大学写真部の3名の7点。

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     ↑:山川泰明、「Thailand」。

f0126829_17455241.jpg 大学3年生の山川君がタイに旅行に行っての撮影。
 当地の山岳少数民族の少年の写真と思う。
 地蔵菩薩のような少年の大きな顔が印象的だ。目の黒、背景の黒と、黒と円い形が印象的だ。遠くから見た時に、晒し首と勘違いしてた。上の石地蔵との組み合わせも良いと思う。
 他の学生作品を含めて出品数が少なかった。特に中本和樹君の3点は主張が見えにくかった。おそらく、社会人との共同参加に慣れていないのだろう。来年は遠慮せずにもっと出そうよ。




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     ↑:(吊り下げられた小品。)藤沢レオ、「今はいつ」。
     (背景の左の油彩画は、曾田千夏。)

f0126829_1852396.jpg 藤沢レオはグループ展での小品は主張が弱いと感じている。他の作家作品との整合性に会わないものがあるから、弱いと感じると言った方がいいだろう。今作もそんな第一印象だった。
 ところがです!こともあろうに鑑賞者が作品を触って、揺れを楽しんでいるのです。何でも触る僕でも出来ない事をサラリとしている。そして、軽く揺すった時の全体の動きが何とも宜しいのです。あまりにもキチッと取り澄ました美の箱が、チョッと不規則に、それでいて上品に動き合う姿は見ていて清々しい。小さなプレゼントを貰った感じだった。


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     ↑:坂本正太郎、「Star dust casket」。

 星のゴミの棺、ということだろうか?覗き窓から中を見ると、赤い液体が溜まっている。棺は軽く揺すれる。社会批判でも込めているのか?箱の白さの無機質さが、変に会場にあっていた。


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     ↑:澤口紗智子、「Line of Sight”””psyche”」。 

 線描による線描そのものの作品。久しぶりに彼女の「線描壁画」を見た。とにかくドローイング作家だ。
 彼女のような画風の人は見せ方が大変だと思う。上品に額に収まっているこうした作品では、なかなか作家の魅力が伝わりにくいと思う。何かのライブ作品を見せるのがもっとも効果的だが、ライブに強い思いがあるのかどうか知らない。
 やはり、こうした額での見せ方では物足りない。線描は作家の精神性がストレートに出るものだ。しなやかでも過剰な世界、額という枠をはみ出た世界が見たい。


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     ↑:奥山三彩、「うたかたの旋律」。

 月夜の砂浜を思ってしまう。砂浜に横たわるまろやかな木塊、門柱に挟まれて胎動するその瞬間を待つ、そんな儀式の場を思っていしまう。月の光と影と潮騒と砂の波跡、何を表現したいのかは不明だが一つのモニュメント(記念碑)だ。


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     ↑:今泉東子、「渫(さら)うように」(8点)。

 この日、絵を見た後に地球岬に行った。見事な乳白色の世界だ。かすかに海の音はするが、いずこに海があるのかと問いたくなった。
 久しぶりの海の人・今泉東子の絵画だ。こんな綺麗な七色で何を渫(さら)うのだろう?

 
 こんなつもりではなかったのですが、だらだらと載せてしまいました。


 若手表現者によるそれぞれの自分という印象です。表現手段、方法とバラエティーに富んでいます。それでいて互いの領域を侵さない上品な展示、今の若者気質でしょうか?会場全体のインパクトは強くは無いのですが、耳を澄ましてそれぞれの作表現と静かに対話する、そんな面持ちでした。

 メンバー構成は変化があるのでしょう。来年も見たいものです。
 
 残りの部屋は②に続く、ということで。

by sakaidoori | 2009-06-24 21:19 | ☆(室蘭)室蘭市民美術館 | Comments(0)
2009年 06月 24日

1016) 室蘭市民美術館 「所蔵作品展 伊藤正・展」 6月2日(火)~7月12日(日)

○ 所蔵作品展 伊藤正・展
   
 会場:室蘭市民美術館
     室蘭市幸町6番23号
     電話(0143)22-1124

 会期:2009年6月2日(火)~7月12日(日)
 休み:月曜日(定休日)
 時間:10:00~19:00

ーーーーーーーーーーーー(6・21・日)

 若手中心のグループ展「霞」を見に室蘭に行った。当然、昨年出来たばかりの室蘭市民美術館を見るのも重要な予定だった。
 室蘭に美術館を!という活動は名前だけは知っていたが、その実体は全然知らない。お金のかかる美術館だ。失礼な言い方だが、その実現性には疑問を持っていた。門外漢の僕なんかの心配などは吹き飛ばして見事に実現した。心からおめでとうございます。

 さて、初訪問の展覧会は「伊藤正・展」だ。伊藤氏の遺族が2001年に室蘭市に寄贈された。機縁はわからない。
 かなり広い長方形の部屋だ。真ん中に柱が2本ある。天井はそれほど高くはない。絵画を見るには問題ない。

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 伊藤氏の絵画は札幌の風景画でお馴染みだが、大作はあまり知らない。

 21点の作品が4つの時期区分に分かれている。

 ① 順風万藩のスタート -構図技法の探求ー。(1915年・大正4年、朝鮮に生まれる。)
 ② 渡欧 -貞子との幸せな日々ー。(1962年4月、妻貞子と伴に初渡欧。)
 ③ 家族との死別 -再び欧州へー。(1966年・昭和41年、貞子の死。享年43歳
 ④ 晩年 -衰えぬ制作意欲ー。(1989年、逝去。享年75歳。)


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     ↑:①「鼓笛隊の少女」・1946年(31歳頃) 油彩 91.0×72.7cm。

 瑞々しい作品だ。少女と音楽、画題に負けないくらいの健康的な作風だ。展覧会の初めを飾るには最高だ。

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     ↑:①「野草のある構図」・1949年(34歳頃) 油彩 116.5×91.0cm。

 花と女性が画家の絵のエネルギーかもしれない。それに、風景画が加わるのだろう。


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     ↑:①「二人」・1952年(37歳頃) 油彩 116.2×90.7cm。

 後ろの額装が一工夫か。人物をしっかり大きく描く、小道具を構図として利用する。氏の絵画方法のようだ。


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     ↑:②左から、「ガランド通の家“パリ」・1963年(48歳頃) 油彩 90.8×73.0cm。
       「ジャルダン・サン・ボール通りの壁“パリ」・同年。

 硬くて暗い。佐伯祐三の初期渡仏滞在時と同様に、型というか構図からパリの風景(建築物)を見つめている。がっしりとした構築物になっている。


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     ↑:③「セーターの女」・1964年(49歳頃) 油彩 116.1×90.8cm。

 初の渡欧以後の帰国作品。妻貞子が癌と判明する。モデルは癌と分かって描いた妻・貞子か?暗さと硬い線描は欧州での壁の絵と同じだ。欧州の壁は喜びで描いた作品だが、この絵の線は苦しみの反映と言う事か?


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     ↑:③「埋葬・雪」・1966年(51歳頃) 油彩 145.1×112.1cm。

 妻・貞子への挽歌であろう。全出展作の中でも異色の作品。幸せな画題を描く事多き画家にとっても、数少ない哀しき絵であろう。万感の思いの伝わる作品だ。


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     ↑:④「室内」・1978年(63歳頃) 油彩 130.2×162・0cm。

 明るく華やかな絵だ。この人には暗い絵は似合わない。堂々とししっかりした美人がよく似合う。
       

by sakaidoori | 2009-06-24 00:59 | ☆(室蘭)室蘭市民美術館 | Comments(0)