カテゴリ:☆(倶知安)小川原美術館( 5 )


2007年 10月 06日

337)③小川原脩美術館 「麗彩会展」 終了・8月22日(水)~9月24日(月・祝) 

○ 第49回 麗彩会展

 会場:小川原脩記念美術館
     倶知安町北16東7
     電話(0136)21-4141
 会期:2007年8月22日(水)~9月24日(月・祝)
 休み;毎週火曜日
 時間:9:00~17:00
 料金:500円

 参加作家:谷口一芳(1919年~札幌市)、 野本醇(1930年~、伊達市)、 坂口清一(1931年~、札幌市)、志津照男(1931年~、仁木町)、 徳丸滋(1934年~、倶知安町)、 穂井田日出麿(1938年~、古平町)、 田丸公記(1943年~、札幌市)、 羽山雅愉(1943年~小樽市)、渡辺嘉之(1943年~、古平町)、菊池ひとみ(1943年~、新十津川町)、木滑邦夫(1944年~、千歳市)、 米澤邦子(1944年~、札幌市) 鈴木康子(1946年~、登別市)、宮崎むつ(1946年~、札幌市)、林雅治(1947年~、倶知安町)、恩田信行(1950年~、札幌市)・・・以上、16名。


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 (上の写真は入り口から左回りの会場風景です。)

 麗彩会は当美術館の主、小川原脩が中心になってできた絵画サークル。地元絵画有志の交流・研鑽の場として出発したのでしょう。初めは8名でしたが、すでに49回目になります。その後、会員やこの地に縁のある方が参加するようになったのでしょう、16名にまで膨らみました。参加作家の出生年を記しました。中堅からベテラン主体の会です。広い会場に落ち着いた雰囲気で見ることにしましょう。一人一点というのは寂しいのですが、広さからの制約、仕方がないのでしょう。

 何人か個別作品を載せます。女性から。

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 ↑;菊池ひとみ。「5月の庭」、油彩・キャンバス、2007年、60×91cm。

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 ↑:米澤邦子。「物語の森」、油彩・ペン・板、2007年、57.2×101cm。右は部分図。
 糸を紡ぐような色合い、細やかさ、森が謳っているいるようです。

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 ↑:宮崎むつ。「輝」、油彩・キャンバス、2007年、53×53cm。
 鮮やかです。抽象派協会展の中でも見たい人。

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 ↑:鈴木康子。「共鳴ー1&2」、油彩・キャンバス、2007年、22.7×15.8cm。
 絵の中で線と色が踊っています。小さいのを2点出品しているのですが、他とのバランスが悪く、普通に中品をのほうが良かったのでは。おそらく、対にして見せたかったのでしょう。


 以下、男性軍を何人か紹介します。

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 ↑:左側、野本醇。「残光」、油彩・キャンバス、2007年、91×72.7cm。
 不思議な絵です。野本さんは伊達に、私設ギャラリーを開設していると聞きます。一度、是非行かねばと思っています。

 右側、谷口一芳。「愁色」、油彩・キャンバス、2006年、72.7×90.9cm。
 大ベテラン、谷口・フクロウです。この会をフクロウが守護神のように見守っています。

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 ↑:左側、坂口清一。「遠い季節」、アクリル・キャンバス、2007年、116.7×91cm。
 右側:志津照男。「木霊(こだま)」、アクリル・板、91・0×72.0cm。

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 ↑;左側、羽山雅愉。「黄昏・小樽」、油彩・キャンバス、2006年、72.8×91cm。
 右側、木滑邦夫。「朝霧」、油彩・キャンバス、2007年、80.3×116.7cm。
 現在、この展示会場で個展をされている作家です。「麗彩会の作家たち・11ー木滑邦夫展、9月27日~10月28日」。以下案内文より、-「叙情詩的な情景を醸し出す作品を多く描く木滑展」

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 ↑:左側、田丸公記。「庭の花・B」、油彩・キャンバス、2006年、91×116.7cm。
 僕は田丸さんの裸婦の大作よりも、こういう絵のほうが好きです。裸婦を静的構成的にただあっさりと描いています。裸婦という画題を利用して、絵画的何かを追求されてのことだと思います。とても成功している、あるいは見ていて何かを感じるとも思えません。ですが、画家は画家として何かに拘っているのでしょうね。もう少し、見せるという要素もあってもいいと思うのですが、仕方が無いのでしょうね。
 次回の企画展作家です。「麗彩会の作家たち・12-田丸公記展。11月1日~12月2日」。以下、案内文よりー「抽象と造形的な要素が表現された田丸展」

 右側、渡辺嘉之。「敗戦のある浜」、油彩・キャンバス、2007年、72.7×60.7cm。

by sakaidoori | 2007-10-06 01:24 | ☆(倶知安)小川原美術館 | Comments(0)
2007年 10月 03日

334)②小川原脩美術館 「麗彩会展・徳丸滋作品」 終了・8月22日(水)~9月24日(月・祝) 

○ 徳丸滋・作品「カラマツ」(第49回 麗彩会展会場にて)

 会場:小川原脩記念美術館
     倶知安町北16東7
     電話(0136)21-4141
 会期:2007年8月22日(水)~9月24日(月・祝)
 休み;毎週火曜日
 時間:9:00~17:00
 料金:500円

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 徳丸滋(1934年~、倶知安町)、「カラマツ」2007年・油彩・アクリル・キャンバス91.0×116.7cm。


 カラマツに魅入ってしまった。
 この作品は既に個展の時に見たことがある。だが、深く見ることは無かった。

 黄色い背景に数本のカラマツが描かれている。葉も落ちきってしまって、幹と枝ばかり。りりしく立っている。とても風景的な絵とは言えないが、「秋の夕暮れ時」として見れる。心象?いや違う。カラマツという実在を通して、徳丸氏が自然の中に何かを見て、感じる現象を実在として絵として顕わになった姿だ。それは木と木が重なる処で、小枝と小枝が重なるところでせめぎ合っている。数本の木は重なってあるのかもしれない。だが、見た瞬間、一本の立ち姿が時間を凝縮したかのように後ろに後ろに姿を残しながら引き込んで行き、林の奥というよりも、絵の中に消え入り、消え入ると同時にその木がこちらに向かって、姿を残しながら、回帰してくるのだ。小枝と小枝の間に何かを引き連れての回帰でもある。トリックという技巧では無い。現代、いかに人間の感知能力が衰えたといえども、日常の世界で、目に見えない何かと拘っていることには間違いない。それを幽霊・霊魂として実体と感じる人がいるかもしれない。親和力・関係性という非実体的に思っても構わない。我等を取り巻く「空気」という海の中に不可視な何かがあるのだ。徳丸氏は絵として見せるのだ。木の太く細く、何本も交叉する世界。隙間の微妙な色の変化とリズム。木の色を含めて、言葉としてはわずかの種類の色しかない。黒、白、茶系、黄色・・それらと線の綾なす世界に、食い込まれていくのだ。一度、枝枝の世界に不思議を見た目には、黄色一色の背景の中にも不思議を見てしまう。絵の中のカラマツの往還図。

 稀有な体験をした。誰一人いない、明るく健康的な会場。一際目立つ黄色い絵。無音の部屋に小枝が絵の色と触れ合うの聞く思いだった。

by sakaidoori | 2007-10-03 22:31 | ☆(倶知安)小川原美術館 | Comments(0)
2007年 09月 24日

324) ①小川原脩美術館 「風の中の展覧会」・彫刻 8月27日~9月28日(金)

○ 「風の中の展覧会」 Ⅳ

 会場:小川原脩記念美術館
     倶知安町北16東7
     電話(0136)21-4141
 会期:2007年8月27日~9月28日(金)
 時間:屋外の為、24時間鑑賞可能
 料金:無料

 参加作家:伊藤幸子、小野寺紀子、笠原昌子、川上勉、川上加奈、橘井(きつい)裕、林雅治、藤田尚宏、以上8名


 同時開催の麗彩会展の最終日に見てきました。この展覧会は28日までやっています。美術館の裏手の芝生の上に展示しています。この辺りを立ち寄る機会がありましたら覗いてみてください。おそらく、適当な時間まで照明があると思います。

 全体写真は野外の広さに比較して、一点一点が小ぶりなので上手く収まりませんでした。なるべく、全員の写真紹介をしたいと思いますが、コメントはどうしても関心の高い作品・作家に力が入りがちです。何より、掲載順番が栄通好みと判断してください。

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 ↑:川上加奈。「はこぶ人」、2007年、FRP、140×170×80cm。
 漆仕上げではありません。だから、色がカラフルです。昔話を題材にした作品に見えます。「かぐや姫」や「金の玉」にまつわる話です。女性の顔が何かを求めて、憧れて、大事な宝物と一緒に天に昇り詰めたいといった風情です。人形のいつもの「加奈・顔」が今回もいいですね。ちょっとお茶目な感じもするし、冷たくもあるし。

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 ↑:橘井裕。「鉄学の小道」、2004年~2007年、鉄。
 恐竜の間を通り、芝生には幅の狭い鉄板が道にあしらえて並べられ、鉄のテント・ハウスへと誘われます。テントには鉄で出来た昆虫や蓑虫?が引っ付きぶら下がり、鉄学の道として橘井・スクラップ・ワールドを楽しむわけです。針金細工の大人版、錆色が緑と青と、羊蹄山の高みと良く合います。だいたい、いつもこの辺に展示して山が守護神のようにして鎮座しているわけです。

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 ↑:笠原昌子。「からっぽの世界」、2007年、石膏・着彩。
 中は空洞で足先だけが飛び出ていて、体を何かが覆っているといった感じの作品。こういう作品は概して顔が隠れていているものです。具象的でありながら、何とかしてボリューム感(造形力)で想像力をひきだそうと作家は工夫・苦労しているのではないでしょうか。笠原さんは人と膨らみと見る人との共振をいつも考えているのではないでしょうか。

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 ↑:小野寺紀子。「音研生」、1982年、ポリエステル樹脂、126×72×96cm。
 タイトルはどういう意味なのでしょう?25年前の作品です。現在、60歳弱の作家、どうしてこんなに古い作品を出したのでしょう?何か作家にとって記念作なのでしょうか?大地に飾ってみたくなったのでしょうか?

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 ↑:川上勉。「Moon-tan」、2007年、FRP、70×85×40cm。
 FRPで、加奈さんと同じく非漆仕上げの白色。何かご夫婦で申し合わせたのでしょうか。バナナのような形はタイトルからして月なのでしょう。都会のビルがあしらわれています。加奈さんの「かぐや姫」に呼応したのでしょう。二作の位置関係もぴったりのようです。いつもいつも加奈さんと勉さんは同じことを考え、語り合っているのでしょうか。若いカップル、作品以上に二人が微笑ましく思いました。

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 ↑:伊藤幸子。「カイスイヨク’07」・2007年、石膏、76×36×28cm他。
 今年、STVホールでも出品した海水浴シリーズです。芝生を海に見立てての秋の海原。きっと子供達にも人気のあったことでしょう。

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 ↑:藤田尚宏。「再生気流」。2006年、黒御影石・白御影石、550×1550×1250cm。
 他の作品は美術館裏手に集中的に設置されているのですが、この作品は作品の風格に合わせて、入り口の広い駐車場の真ん中・分離帯に堂々と置かれています。公共彫刻を意識した作品に見えます。手ごろな大きさです。作品が周囲の空気層に気流を生む、より強い磁場を創るということでしょう。

 室内に林さんの作品があったので、それが今回の作品だと勘違いしました。タイトルが違っていたのです。というわけで林作品は見落としてきました。おそらく美術館の向かって右側にあったのでしょう。広い敷地を散策しなかったのが失敗の原因です。

by sakaidoori | 2007-09-24 23:15 | ☆(倶知安)小川原美術館 | Comments(0)
2007年 07月 11日

254) 小川原脩美術館 「ふるさとの山・展3」 終了(7月8日まで)

○ 「ふるさとの山」展3

 会場:小川原脩記念美術館
     倶知安町北16東7
     電話(0136)21-4141
 会期:2007年6月6日~7月8日
 時間:

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 七夕の7日に小樽美術館と小川原脩美術館に行った。途中の寄り道も紹介したいが、先ずは倶知安から。

 参加10名による山の絵の企画展覧会。
 参加作家:小川原脩(物故)  谷口一芳(1919年~札幌市在住)、 野本醇(1930年~、伊達市在住)、 坂口清一(1931年~、札幌市在住)、 徳丸滋(1934年~、倶知安町在住)、 穂井田日出麿(1938年~、古平町在住)、 田丸公記(1943年~、札幌市在住)、 菊池ひとみ(1943年~、新十津川在住)、 米澤邦子(1944年~、札幌市在住) 鈴木康子(1946年~、登別市在住)。

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 ↑:徳丸滋。

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 ↑:左側の2点、鈴木康子。右側、坂口清一。

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 ↑:穂井田日出麿。

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 ↑:左側、谷口一芳、「残雪のイワオヌプリ」。右側、野本醇。

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 ↑:鈴木康子。

 北海道を代表する大きな綺麗な羊蹄山のふもとで、ベテランの山の絵を見るわけです。会場の広さに比して、こじんまりとした作品群です。参加作家が山を含めて、どの程度に風景を専門にしているかは定かではありません。大胆にデフォルメされた山はありません。ですが、なんともそれぞれの画風が異なっていて、対象の捉え方、距離感、作家の位置などゆったりと想像しながら明るく広い部屋を逍遥するわけです。

 今回は意識的に女性の山を中心に見てきました。(鈴木さん以外は写真紹介ができなくてすいません。来年はもっと大きくした写真を載せればと思っています。パンフレットから拡大写真を載せておきます。)菊池さん、鈴木さん、米澤さん達です。どういう訳だか、彼女達はベテランではありますが、この企画展では年齢も近く、最年少グループになります。3者に共通なのは色が多彩なことでしょうか。「誇張の無い美しさ」とでも言いたいです。
 菊池さんは前景の木々と山とをしっかり、力強く描いています。凛々(りり)しさでは彼女の絵が一番です。
 鈴木さんは毛糸をコラージュ風に這いめぐらしていて、色合いと重なってとても女性的です。輪郭線で山をビシッと三角に、区切った線と色の面で山を立体的に抱きしめたくなるように描いています。菊池さん同様に次を見るのが楽しみです。
 米澤さんは全道展でも見ていますし、今展の楽しみの一人です。細やかに緻密に色を配して、特に紫と桃色のリズミが気になっています。粋ふようで個展をしていたのですが、見に行けなくて残念でした。必ず個展を見る機会があるでしょう。怠り無く待機しておきます。

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 ↑:美術館の裏庭。ガラスのある辺りがロビーで椅子が並んでいて、外をのんびり見ながら人生を考えるわけです。左側の四角い建物が展示会場で今展の作品が四角く並んでいます。右側の部分が事務所や喫茶ルームがあります。入館料は400円だったと思いましたが、高いと思われた方は無料のコーヒーを飲んで心を休めてください。

※ 次に行く予定の企画展。

○ 第49回麗彩会展・・・小川原を含めた8人の画家の作品展。

 会期:8月22日~9月24日

○ ’07造型展・風の中の展覧会Ⅳ・・・8名の全道展造形(立体)作家による野外展。これはお奨めです。

 会期:8月27日~9月28日 



 

by sakaidoori | 2007-07-11 23:56 | ☆(倶知安)小川原美術館 | Comments(0)
2007年 04月 10日

135) 倶知安町・ST-GATTARY(徳丸滋私設ギャラリー)訪問記

f0126829_15451039.jpg○  ST-GATTARY(徳丸滋・しげる私設ギャラリー)

 場所:虻田郡倶知安町山田74
    電話(0136)22-1765

 油彩画家・徳丸滋氏のギャラリーを訪問した。
 正面に羊蹄山の東面を望み、ニセコアンヌプリの西麓に位置している。ニセコには美術館や登山できる山もあるので、その都度訪れることは無いが、いつも親しい気分で辺りをうかがっている。南の方に1000m足らずの昆布岳がある。2時間ぐらいで登れる安易な山だ。登る楽しみは少ないが頂上からの展望は素晴らしい。ニセコの山、羊蹄山、昆布岳に囲まれた平地地帯がすっぽりと見晴らされ、大地が波打った感じで目に迫る。そこから徳丸ギャラリーが建物は樹に囲まれて定かではないが、間違いなく位置が確認できる。氏は1978年に銀行を辞められ、以来その地で絵画制作中心の生活をされている。

 3回目の訪問。小川原美術館を4時頃に出てからだから、少し遅い。失礼とは思ったが、雪の残るギャラリーをどうしても訪れたかった。玄関先でバケツを持った姿で鉢合わせた。室内の掃除中のようだった。

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 見慣れた展示場を、一度は目にした作品を一渡り確認して、勧められるままに着座した。「見たことのある作品ばかりでしょう」という言葉を皮切りに、あれやこれやと雑談に花が咲いた。見たことのある作品といっても、製作者の手元に並べられた作品群は居心地よく鑑賞者を迎えてくれる。僕は当然に、氏と対座して話をしているわけだが、いつも僕の目には後ろにあるマツの絵が氏の顔と同時に飛び込んでくる。森の中に立たずむ幼木のような凛としたマツと、すべてが淡いピンクに覆われた世界。若い絵だ、瑞々しい絵だ。氏の絵は青で語られるのが普通だが、1色でおおい尽くすこと事が出来ないのが画家の世界だ。以前「空はピンクにもなるのですね」と氏の作品を見て感想を述べた時、「黄色にもなりますよ」と、直ぐに返事が帰ってきた。
 ところで、青の世界だ。近代美術館所蔵の「森」(1982年、50歳頃)という作品がある。夜中に羊蹄山を登山中に5合目辺りで出くわしたダケカンバの大木を描いた絵だ。青の夜陰に一本の大樹を生命力みなぎらせて、更に土からあふれた根っこをのた打ち回らせ、克明に描写している。孤樹を描いているのに、タイトルが「森」というところに画家の思想が現れている。「全体と個」が、「見えない森と描かれた樹」に、更に「幹と根」に。そうであっても、80年代の力点は一木一草の生命の秘密の真っ只中に入り込み、絵筆でえぐり出そうというダイナミックさがあった。ピンクのマツとは違った若さがあった。(そうなんだ、徳丸氏は常に若い絵を描いているのだ。)時期を確定することは出来ないが、氏は生命の末端に入り込んで格闘することによって、和解したようだ。本来の生命讃歌の願望を素直に表現されているようだ。全体と個の融和が図られ、画面一杯に生きとし生きるものをうたいあげようとしている。「ピンクのマツ」は完形としてはマツしか描かれていないが、もやったピンクの向こう側に楽しげに森に住む生き物達の静かなざわめきが聞こえるようだ。

 構図やデッサンのことをうかがった時に聞いた言葉である。
 「最近は厳密に構図は決めていないですね。いいかげんなんですから。下塗りをしながら、じっくりキャンバスに向き合って、向こうから出てくるものを表現するようにしていますね。・・・どこで筆を置くかですって。ついつい描き過ぎちゃうんですね・・・・」ニコニコと笑いながら応えていただいた。ゆったりと時間が過ぎていった。これほど画家との話が盛り上がるとは望外の喜びである。おそらく、僕のレベルに合わせて言葉を繋いでくれたのであろう。僕の方は何時までもいたかったが、長居は失礼と思い、違う意味で長く話し込むことに焦るようになった。やはりお邪魔しすぎたようだ。ニセコアンヌプリのスキー場が明るく点灯していた。

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 柱に挿まれた二枚の作品が壁の中でつながって見えてしまった。不思議に眺めていると咄嗟に外して二枚が合い寄り添うことになった。図像的には曼荼羅画です。八百万神的な一木一草の全体のありようを象徴的に表現した物だと思います。手前の川も象徴的です。

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by sakaidoori | 2007-04-10 16:21 | ☆(倶知安)小川原美術館 | Comments(2)