カテゴリ:☆札幌・近代美術館( 16 )


2012年 05月 24日

1765)④完「阿部典英の全て ~工作少年、イメージの深海を行く~」 近美 終了・4月7日(土)~5月6日(日)

    
○ 阿部典英の全て 

         工作少年、イメージの深海を行く
   

    
 会場:北海道立近代美術館
      中央区北1条西17丁目   
     電話(011)644-6882

 会期:2012年4月7日(土)~5月6日(日)
 時間:9:30~17:00
     (入館は16:30まで。)
 休み:平日の月曜日(定休日)、5月1日
 料金:一般 1000円 高大生 600円 小中生 300円 

 主催:当館 北海道新聞社 

 ※ イベント多数 

ーーーーーーーーーーー(5.4)

 1731)①、1732)②、1733)③の続き。
 (以下、敬称は省略させて頂きます。)


f0126829_9545676.jpg


f0126829_956439.jpg



 ホールに展示されていた最新作だ。良いですね~、この馬鹿さかげん、このド迫力!

 何年か前にも芸森で彼をとりあげていた。だからだろう、「もうテンエイはいい。何度も何度も公共美術館で税金をかけて開く必要はない」という声を耳にした。当然の批判だろう。こういう批判がこないようでは、アベ巨大ムシも欠伸をするばかりだ。その言葉は美術館への批判も含んでいるだろう。もし、言い放った方が同じ表現者ならば、自分が選ばれないことへのジェラシーもあるかもしれない。

 その言葉が正当とも思わないが、間違っているとも思わない。
 現在では美や表現の価値基準は千差万別だ。だから、公共のお金を使った企画展示に、万人の賛成を得るのは無理だ。求めること自体が意味をなさない。だからといって、不満や批判が出てこないことほどつまらないことはない。誰かの「美」を否定はしないが、「美の選定」となると、侃々諤々(かんかんがくがく)が当然な姿だろう。

 しかし、今展に関しては阿部典英の足跡と「今のエネルギー」は素晴らしいと思っている。
 

 今回で最後です。まだ載せていない最後の方の作品紹介になります。


f0126829_1028292.jpg



f0126829_10283372.jpg



f0126829_1029396.jpg



f0126829_10313110.jpg




 前にも書いたが、典英ワールドを3本の柱で理解している。
 開けっぴろげなユーモア精神、女大好きという性表現、社会に視野をすえた宗教性、だ。

 上の写真の空間及び作品群は、一目で仏像と儀式を連想する。氏の中の「宗教性」が誰に憚ることなく表現されている。響文社発行の図録の中で、アフガンへの思いが創作動機だと語っている。9.11事件と、アフガンの仏像破壊、アメリカを中心としたアフガニスタン戦争が背景にあるわけだ。
 それは間違いないのだろう。だって、作家自身が言っているのだから。しかし、この世界的事件は画家のイメージが具体的形態や作品として昇華されただけである、と思っている。今、「だけ」と書いた。しかし、この「だけ」が大事だと思っている。感受性というアンテナを常に研ぎ澄ませていなければならない。その氏の網にかかったのだ。
 更に言えば、当時氏は60才を越えている。人間として表現者として、老境の階段に入ったのだ。それはある意味で危険な年齢であり、怪しげな精神状態に陥る可能性もある。マンネリ、惰性という危機であり、体力の減退を身にしみて感じる危機だ。死を妄想する時もあるかもしれない。既に道内では功成り名を遂げた美術家が、その名声を維持するか、そういう事とは次元を異にして作品の深化に努めるか、・・・僕は世界事件を阿部典英流に誤魔化すことなく向き合い料理したのだと思っている。
 
 しかし、いかに精神性がたちこめた空間や作品を作ろうとも、それらが性やユーモアで包まれて生真面目オンリーではなかろうとも、やはり氏は社会的リアリストという作家ではない。大風呂敷で社会にモンクを言いたそうな少年なのだ。それがホールの巨大ムシだ。
 だが70歳も過ぎた方だ、少年とは失礼だ。近美も画家におもねったタイトルを付けたものだ。だって、少年では女と寝れないではないか。それは氏に作品を作るなというより酷な話だろう。

 質実剛健、豪華絢爛、奇想天外、天下泰平な作品を今後も期待しよう。




 いよいよ作品掲載も最後に近くなりました。
 出口へのプロムナードです。


f0126829_11164418.jpg



f0126829_1118562.jpg



f0126829_1118296.jpg
f0126829_11184211.jpg



 「テンエイより愛を込めて」でしょう。


f0126829_11223156.jpg



  「テンエイ郷土資料館」ですね。


f0126829_11233369.jpg



 こちらは言葉通り「宝物館」です。


f0126829_11265359.jpg
f0126829_11271263.jpg



 ある詩人は恋人を想い、食卓のサンマにむせび泣いた。
 涙はテンエイには似合わない。カッパに恋しよう、鹿だってライオンさんだってキリンさんだって、皆な皆な恋しよう。


f0126829_11293912.jpg


 最後の作品です。これが最後とは意外な感じがする。
 やはり自画像と見るべきでしょう。哲人、あるいは仙人のような面相だ。




f0126829_11393534.jpg
     ↑:(ワークシップ参加者の作品。)


 出口を出て、狭い渡り廊下の壁にババーンと作品があるではないか。付け足しのような展示だが、付け足しを喜んでいるような元気盛んな姿だ。

by sakaidoori | 2012-05-24 12:29 | ☆札幌・近代美術館 | Comments(0)
2012年 05月 09日

1738)④「阿部典英の全て ~工作少年、イメージの深海を行く~」 近美 4月7日(土)~5月6日(日)

    
○ 阿部典英の全て 

         工作少年、イメージの深海を行く
   

    
 会場:北海道立近代美術館
      中央区北1条西17丁目   
     電話(011)644-6882

 会期:2012年4月7日(土)~5月6日(日)
 時間:9:30~17:00
     (入館は16:30まで。)
 休み:平日の月曜日(定休日)、5月1日
 料金:一般 1000円 高大生 600円 小中生 300円 

 主催:当館 北海道新聞社 

 ※ イベント多数 

ーーーーーーーーーーー(5.4)

 1731)①、1732)②、1738)④の続き。
 (以下、敬称は省略させて頂きます。)


 初めにエントランスホールの作品を見て下さい。この場所では最後の作品紹介です。


f0126829_21451231.jpg



f0126829_2147097.jpg



f0126829_2147463.jpg



 「どうだ!」と言わんばかりの「アベ五郎」だ。
 「これは何だ!」と問われれば、「これはこれだ!!でくのぼうミノムシだ!モグラだ!百叩きだ!」と応えればいい。無意味なのだ。芸術は無意味なのだ。意味を越えた、はるか彼方をめざすモグラなのだ。「これは何だ?つまらん」とあざ笑う諸君らを、笑い転がって楽しむ阿部典英がいるのだ。


 さー、第4室に行こう。

f0126829_2159372.jpg



f0126829_21592159.jpg





f0126829_2271957.jpg



f0126829_2275365.jpg



f0126829_2281460.jpg



 皆さ~ん、聞こえますか~?可愛くピチピチぱちぱち言っていますヨ~。
 春です。愛のさえずりです。あべ君とテン子ちゃんの戯れです。

 冒頭に紹介した変な生き物がモグラとするならば、こちらはミジンコだ。どれが男でどれが女かだって?そんな野暮なことをいっても仕方がない。でも、言えることは丸い穴は口であり、女の証だ。変幻自在の大穴口乃若彦と若姫だ。 
 阿部典英という作家はいつも恋をしている。我々も負けずに恋をしよう。


f0126829_23244767.jpg


f0126829_23251155.jpg



f0126829_2326519.jpg


 この屹立する柱は男根だ、でくの坊だ。そして、だんだんと宗教的儀式の場へと典英の美学は昇華されていく。男性的儀式から女性的儀式に変貌する。(次の部屋でその姿を見ることになる。)
 氏は素材剥き出しの表現を避ける。そういうことは砂沢ビッキや、木の精霊に拘る他の作家達にまかせればいい。それに、素材の荒々しさは氏の美学には向かないのだ。なぜなら、ダンスのお相手の女性が常に作品の裏側にいるからだ。手を握るのにトゲがあっては困るではないか。男根を意図するが剥き出しは野暮だ、高笑いで誤魔化そう。照れ屋なのかもしれない。
 死の影が離れなかった時期なのだろう。歳をとったのだ。しかし、小さく籠もらないのが典英らしくて素晴らしい。堕ちる地獄よりも、昇る天国を見ている。


f0126829_23421932.jpg




f0126829_23434655.jpg




f0126829_23443628.jpg




 ⑤に続く

by sakaidoori | 2012-05-09 06:23 | ☆札幌・近代美術館 | Comments(0)
2012年 05月 06日

1733)③「阿部典英の全て ~工作少年、イメージの深海を行く~」 近美 4月7日(土)~5月6日(日)

    
○ 阿部典英の全て 

         工作少年、イメージの深海を行く
   

    
 会場:北海道立近代美術館
      中央区北1条西17丁目   
     電話(011)644-6882

 会期:2012年4月7日(土)~5月6日(日)
 時間:9:30~17:00
     (入館は16:30まで。)
 休み:平日の月曜日(定休日)、5月1日
 料金:一般 1000円 高大生 600円 小中生 300円 

 主催:当館 北海道新聞社 

 ※ イベント多数 

ーーーーーーーーーーー(5.4)

 1731番①、1732番②の続き。
 (以下、敬称は省略させて頂きます。)



f0126829_718866.jpg
     ↑:「ネエ ダンナサン あるいは 飛べない面長始祖鳥」

 エントランスホールには3点の立体作品がある。既発表もあるのだが、このコーナーは最近の典英ワールドだ。広場で「今」を見せ、室内空間は概ね時系列で展開されていく。

 それにしてもこの始祖鳥、とぼけた姿だ。飛べないペンギンの阿部版だ。典英は底のある海ばかり泳いでいたから、空という無限の海を泳ぎたいのだろう、飛びたいのだろう。飛びたい飛びたい飛べれない。なぜ?重たいから?男の夢なのだろう。ドン・キ・ホーテとサンチョパンサだ。


 前回までに第1室&第2室を紹介した。
 第3室に行こう。ちょっとその前に、若かりし頃の絵画を立ち見しよう。


f0126829_8696.jpg


f0126829_883142.jpg



 以下、本項のメイン会場、第3室だ。



f0126829_8141729.jpg


 しんみりとして第3室に入る。 
 いきなり足下で「アベッチがピカピカうるさく這い回っている。
 上の写真、ちょっとピンボケ気味なので個別作品でしつこく紹介しよう。

f0126829_8144946.jpg


f0126829_817222.jpg


 アベ子ちゃんとアベ男クンだ。

f0126829_8174725.jpg


 お洒落に春の街を闊歩、カッポ、かっぽ。
 足下のバラス棒、なかなかスグレモノだ、ザーメンの雨だ。


f0126829_8225837.jpg


f0126829_8242141.jpg


 良いアングルです。カップルってステキ!


f0126829_9401529.jpg



 会場を一周したので、雰囲気はわかると思う。エッ、分からない!仕方がない。そういう方は今日まで展覧会は開かれています。急いで行って下さい。


f0126829_9451379.jpg
 


 中央の2体のアベ人形、ガラスで上下が挟まれている。顔を突っ込んで、上なり下なりを覗けば無限往還の迷宮世界が見れる。いわゆるガラストリックだ。


 壁はスケッチ帳の再現だ。


f0126829_9545426.jpg



f0126829_956385.jpg



f0126829_9565950.jpg



 細やかで、キチッとしていて綺麗だ。

 素描には違いないが、走り書きのメモという域を超えている。魚だどは、日々の食卓が画題という。素晴らしきかな、この粘着力。そのエネルギーは内に籠もって塞がることなく、外に過剰に爆発することなく、安定を保ちながら膨らんでいく。この辺が、早熟の人でもあったが、晩成の人にもなれた理由だろう。非常に精神の安定している作家だ。

 若さを保っているから、今後も一花二花咲かすことだろう。功成り名遂げた人でもある。こうして道内を代表する美術館でも大回顧展が実現できたのだ。今展は今までのご褒美であり、今後の活動の激励でもある。もう、恐いものはない。ますます今後を期待しよう。


 ということで第3室は終わり。

 項を改めて第4室に行こう。続く。




f0126829_10105428.jpg




 

by sakaidoori | 2012-05-06 10:16 | ☆札幌・近代美術館 | Comments(0)
2012年 05月 06日

1732)②「阿部典英の全て ~工作少年、イメージの深海を行く~」 近美 4月7日(土)~5月6日(日)

    
○ 阿部典英の全て 

         工作少年、イメージの深海を行く
   

    
 会場:北海道立近代美術館
      中央区北1条西17丁目   
     電話(011)644-6882

 会期:2012年4月7日(土)~5月6日(日)
 時間:9:30~17:00
     (入館は16:30まで。)
 休み:平日の月曜日(定休日)、5月1日
 料金:一般 1000円 高大生 600円 小中生 300円 

 主催:当館 北海道新聞社 

 ※ イベント多数 

ーーーーーーーーーーー(5.4)

 1731番①の続き。
 (以下、敬称は省略させて頂きます。)


f0126829_7591024.jpg
     ↑:「ネエ、ダンナサン あるいは 北・天・翔」。


 ①では1室の書、2室の全容を紹介しました。
 2室の続きです。


f0126829_874888.jpg



f0126829_882173.jpg



f0126829_885110.jpg



f0126829_891819.jpg



f0126829_8372914.jpg



f0126829_893662.jpg



f0126829_8133846.jpg
f0126829_8135248.jpg



f0126829_8141562.jpg




 「遊び」、「女」、「宗教」、この三つで典英を抑えている。最近は「夢と反逆精神」で大きく勝負している。
 それにしても女の好きな典英氏だ。センチでないのが良い。大らかなあっけらかんなロマンだ。肉にドップリ浸かって大海を泳いでいる。

 氏は戦時中、海沿いの街に疎開したという。その時の「海」が忘れられないという。創作に悩んだ時でも、海を見れば何かが貰えるという。海は優しくもあり荒々しい。闘う相手でもあり、包み込まれて浸る世界でもあろう。
 海は見えるようで、ほとんど見えない世界だ。その見えない世界の残滓が、荒れた翌日には浜に打ち上げられる。今展には出品されてはいないが、それらの廃品を集めた小さなボックスアートもある。本当に宝箱みたいで細やかで美しい。
 そして、この部屋にある唇のような大きな変な作品、おそらく海と女が底にあるのだろう。両者の不可知性、肉性の表現だ。

 それにしても典英は女も好きだが人間も好きだ。あまり男は出てこないが、それらは女と重なり「宗教・精神性」に昇華していったと思っている。氏自身が「男」の象徴・代表として創作に励んでいるともいえる。
 人と人との交じり合い、交歓が創作の源泉かもしれない。


 ③では3室の紹介です。続く。




f0126829_8345528.jpg


by sakaidoori | 2012-05-06 07:11 | ☆札幌・近代美術館 | Comments(0)
2012年 05月 04日

1731)①「阿部典英の全て ~工作少年、イメージの深海を行く~」 近美 4月7日(土)~5月6日(日)

   
○ 阿部典英の全て 

         工作少年、イメージの深海を行く
   

    
 会場:北海道立近代美術館
      中央区北1条西17丁目   
     電話(011)644-6882

 会期:2012年4月7日(土)~5月6日(日)
 時間:9:30~17:00
     (入館は16:30まで。)
 休み:平日の月曜日(定休日)、5月1日
 料金:一般 1000円 高大生 600円 小中生 300円 

 主催:当館 北海道新聞社 

 ※ イベント多数 

ーーーーーーーーーーー(5.4)


f0126829_22164775.jpg



f0126829_221755.jpg




 今展は5月6日までだ。遅い鑑賞になった。しかも、写真撮影可能だった。会期はあとわずかですが、宣伝も兼ねて、会場風景だけでも紹介していきます。


 (以下、敬称は省略させて頂きます。)


 僕はこの10年ぐらいしか典英を知らない。しかし、その間に随分と回顧展らしきものも開催されていたので、ある程度の古さの作品は知っている。初期のの油彩画もポルト会館で見知っている。だから、おおよその流れは分かっていたつもりだが、高校時代の書には驚いてしまった。書と言うより、落書き、素描、デザイン、絵画として見た方がいいだろう。

 とにもかくにも、その書を掲載します。


f0126829_23115119.jpg



f0126829_22333943.jpg



f0126829_22351260.jpg



f0126829_22563531.jpg




f0126829_22353554.jpg




f0126829_22381382.jpg



f0126829_22383341.jpg



f0126829_2247213.jpg



 書は全て高校書道部時代のものだ。凄い、圧巻だネ。この胆力、エネルギー、迫力、天晴れとしか言いようがない。


 以下、第2室の風景。

f0126829_22595638.jpg



f0126829_2302161.jpg



f0126829_2303661.jpg





 ②に続く

by sakaidoori | 2012-05-04 23:16 | ☆札幌・近代美術館 | Comments(0)
2011年 05月 17日

1551)①「美術館が消える9日間 ダンス・パフォーマンス」 近美 終了4月2日(土)~4月10日(日)

f0126829_22583158.jpg
f0126829_22584082.jpg


f0126829_22585191.jpg
f0126829_2259314.jpg


○ 美術館が消える9日間 

            札幌ビエンナーレ・プレ企画2011 
  アートから出て、アートに出よ
 

    
 会場:北海道立近代美術館
    中央区北1条西17丁目   
    電話(011)644-6882

 会期:2011年4月2日(土)~4月10日(日)
 時間:9:30~17:00
    (入館は16:30まで。)
 休み:月曜日(定休日)
 料金:一般 1000円 高大生 600円 他 無料

 主催:当企画実行委員会 
 共催:(財)北海道文化財団まちの創造事業
 助成:日韓文化交流基金草の根文化事業 札幌市芸術文化振興助成国際文化交流事業

※ イベント多数
  (パンフを拡大して確認してください。) 

ーーーーーーーーーーー(4.10)

f0126829_23182712.jpg



 最終日に見に行った。一渡り見終わった時に、ダンス・パフォーマンスがあるとの案内だ。今展の印象と会場報告は②に譲ることにして、まずは展覧会最後のイベントです。


f0126829_2320159.jpg


f0126829_23204425.jpg



 鉄パイプの仮舞台に若きダンサーが物静かに登場・・・やおらポーズをとる。アラブ雰囲気にモダン風にと、突っ張りネッチャンのそろい踏みだ。影でキャッツ・チュルドレンが媚びた格好でスタンバイ。

 そして、白尽くめの女の子の登場だ。ネッカチーフに短パン、可愛い脚線を披露する小悪魔・小娘だ。この娘(こ)はいつも笑顔満点での演技だ。何とも可愛くてしゃぶりたくなる。いよいよ小娘小坊主のハッピー・ダンスの始まりだ。ヒップ・ダンスをメインにした、罪のない浮かれダンスそのものだ。つっぱりネッチャン達も笑顔笑顔のサービスで憎めないことこの上ない。女の子のダンスは飛んで跳ねて宜しいのだが、やはりそこは女の子、子供ながらに男の子が本格ヒップヒップ・ダンスで観客の拍手喝采を頂戴する。まさしく今風の「稚児による踊る阿呆に見る阿呆」だ。場所柄、かぶりつきスタイルでの観客様で、何ともご満悦の一時であった。
 そのダンスの再現はかなわないが、多めのスナップを載せることにしよう。共に浮かれ気分で楽しんで下さい。


f0126829_23543311.jpg
f0126829_2354502.jpg



f0126829_23554094.jpg



f0126829_23562246.jpg
f0126829_23563667.jpg



f0126829_044084.jpg


f0126829_05247.jpg



f0126829_063692.jpg
f0126829_065477.jpg



f0126829_075499.jpg


f0126829_0102197.jpg
f0126829_0104143.jpg



f0126829_0112012.jpg



f0126829_018432.jpg
f0126829_019172.jpg



f0126829_0195270.jpg


f0126829_022869.jpg



 これにて一巻の終わりです。
 と思いきや、アンコールなのか何のか、時間は短めだが再演となった。男子二人組みのヒップダンスが圧巻だった。


f0126829_0241741.jpg


 右側の男性が、「TAK・GAK Plus」のディレクター・タクイチロー氏。左側はアンコールを共に楽しんだジャンベ太鼓の茂呂剛伸氏。ベリーベリー・サンクスの午後5時、ディ・エンドの消える美術館だった。

 展覧会の様子は②に続く。

by sakaidoori | 2011-05-17 10:01 | ☆札幌・近代美術館 | Comments(1)
2010年 04月 23日

1277) ②近代美術館 「水脈の肖像 09 -日本と韓国、二つの今日」 終了・12月5日(土)~12月13日(日)

○ 水脈の肖像 09
   -日本と韓国、二つの今日

    
 会場:北海道立近代美術館
    中央区北1条西17丁目   
    電話(011)644-6882

 会期:2009年12月5日(土)~12月13日(日)
 時間:9:30~17:00
    (入館は16:30まで。)
 休み:月曜日(定休日)
 料金:一般・500円 大学生・300円 高校生以下&65歳以上・無料
     (このDM持参のかたは100円引き)

 主催:当展実行委員会 北海道新聞社
 共催:(財)北海道文化財団まちの創造事業
 助成:日韓文化交流基金草の根文化事業 札幌市芸術文化振興助成国際文化交流事業

※ ワークシップ ⇒ 12月6日(日) 13:00~15:00  当館
※ ギャラリー・トーク ⇒ 〃      15:30~16:30   〃

 【参加作家】
 日本・15名  韓国・12名
 (お名前はDMをダブル・クリックして確認して下さい。) 

ーーーーーーーーーーー(12・12)

 1120番の①で会場紹介をしました。
 今年の1月に図録配布予定だったので、それが届いてから続きを書こうと思っていた。やっと3月に届いた。諸般の事情で遅くなったのは仕方がないが、何となく喜びも半減してしまった。それと、図録は予想以上に厚くて喜んではみたものの、文字が小さくて淡い色に感じられて読みにくい。何遍も見返す気になれない。おそらく、こちらの視力の問題なのだろう。

 さて、②では日本人の紹介をします。③では韓国人です。記憶も定かで無い所があって、過ちがあるかもしれませんが、お許しを。


f0126829_18455357.jpg
     ↑:鈴木涼子、「ANIKORO-Kawaii シリーズ」

f0126829_18494171.jpg
f0126829_1920572.jpg


 ご存じ、鈴木涼子の巨大キャラ・アニメ風自画像だ 。
 「そんなにオンナって素敵?アニメって面白い?だったら大きく見せてあげる、ワ・タ・シ・のからだ!!」
 「女性性=見せる・見られる存在」を逆手にとって、巨大な反逆を試みる作家だ。何が面白いかというと、作家本人のお顔を拝めれることだ。男は負けそう、少なくとも僕は負けちゃう。決して少女でも乙女でもなく、決してオバチャマと言われる年齢でもなく、「男の目を意識した女の主張」だ。


f0126829_19323543.jpg


f0126829_19345512.jpg
     ↑:谷口明志、「無題」・アクリクイック 合板 2009年。

 栄通記では「コンブの人・谷口明志」と紹介している。今作は完全に線描だ。何を描きたいかは分からないが、大きく腕をグルグル回して落書きをしている。だんだんと顔になっていったみたい。「だからどうなんだ?」と聞かれたら、はっきり応える事ができる。近美の広い壁の一角に何かを描きたいと画家が思ったわけだ。そして谷口明志は描いたのがこれだ。その気持ちや行為が面白いと思う人にとっては楽しい。何も思わない人にはつまらないガラクタだ。ただそれだけの事だ。
 空間との語らいだとか、そういうのを画家が主張するかもしれないが、それ以前の問題として、這い回る「コンブ線」を楽しめない人には空間も何もあったものではない。


f0126829_19473391.jpg
f0126829_19481389.jpg


f0126829_19492399.jpg
f0126829_19494320.jpg
     ↑:藤沢レオ、「今はいつ?」・水糸 鉄 アクリル板 エナメル 空間 2009年。

 第2室の中央にピンクの水糸が垂直に垂れ下がっている。もし黒いミシン糸ならばあるかないか分からない存在だろう。そこを品悪くショッキング・ピンクにした。そこが素晴らしい。実に目障りというか、いつも目に入る「藤沢・ピンク糸」だ。目障りといったが、「オレだオレだ」の姿勢に好感が持てる。作家は奇をてらうような、他人を顧みないという野暮な作家ではない。むしろ優しすぎると思っている。その性格がグループ展では作品を目立たない物にしていた。優しいながらも目立つ空間を作る姿勢が気に入った。
 だが、もしできることならば、この垂れ下がる作品を天井の最も高い部屋でしてもらいたかった。確かに物理的に問題があるだろう。だが、やっぱりもっともっと高い場所から吊り下げて欲しかった。


f0126829_2071644.jpg
     ↑:武田浩志。

 独立的な壁を独り占めして気持ちの良い空間だ。余りに私的雰囲気をストレートに、あるいはチョットお洒落に表現していて、個展の人だとつくづく思った。今までのグループ展とは違って、たゆたゆしいながらも、プライベート性の強いものになっている。そうなると、会場全体の雰囲気とはかみ合っていない気がした。グループ展の妙味の一つに「比較」ということがある。だんだんと武田浩志は「比較」の世界から離脱するような気がした。
 ただ、彼は「武田システム」と称されて、他の作家と合同で展覧会を開くのが好きな作家でもある。さて、どう進んでいくのだろう?


f0126829_2025476.jpg
     ↑:八子直子、「三年峠」・発砲ウレタン アクリル 木 ガラス等 2009年。

f0126829_20364081.jpg
f0126829_20371768.jpg


 母性、あるいは母娘性をモチーフにする八子直子。
 ちまちまと「娘」を描かない。大きく大きく、身の丈を超えてもっと大きくが心情だ。そして生活の品々を散りばめて、無用に大きくなるのをセイブしている。
 以前にも近美で作品を見た事があるが、その時は会場の広さに負けていた。豊富な経験を積んで大きくコンパクトに「母娘関係」を見せていた。


 ここまでは第1室と第2室の道内作家達。ふと思えば、彼等は普段のスタイルで勝負している。言い方を変えれば新鮮味がないと言えなくはない。地元作家に画題としての毎度毎度の新鮮さを求めてはいけないだろう。
 次回の③は韓国作家、できれば④で再度道内作家を紹介したいです。


f0126829_20542223.jpg


f0126829_20551983.jpg



~~~~~~~~~~~~~~


f0126829_20585550.jpg
          ↑:12月12日の近代美術館の屋内風景。

by sakaidoori | 2010-04-23 21:00 | ☆札幌・近代美術館 | Comments(0)
2009年 12月 12日

1120) ①近代美術館 「水脈の肖像 09 -日本と韓国、二つの今日」 12月5日(土)~12月13日(日)

○ 水脈の肖像 09
   -日本と韓国、二つの今日

    
 会場:北海道立近代美術館
    中央区北1条西17丁目   
    電話(011)644-6882

 会期:2009年12月5日(土)~12月13日(日)
 時間:9:30~17:00
    (入館は16:30まで。)
 休み:月曜日(定休日)
 料金:一般・500円 大学生・300円 高校生以下&65歳以上・無料
     (このDM持参のかたは100円引き)

 主催:当展実行委員会 北海道新聞社
 共催:(財)北海道文化財団まちの創造事業
 助成:日韓文化交流基金草の根文化事業 札幌市芸術文化振興助成国際文化交流事業

※ ワークシップ ⇒ 12月6日(日) 13:00~15:00  当館
※ ギャラリー・トーク ⇒ 〃      15:30~16:30   〃

 【参加作家】
 日本・15名  韓国・12名
 (お名前はDMをダブル・クリックして確認して下さい。) 

ーーーーーーーーーーー(12・12)
 
 今日見てきた。
 何と、簡単に申請すれば写真撮影OK、ブログ掲載OKなのだ。そして会期は明日まで。とりあえず会場風景だけでも載せます。入場料は300円です。大変でしょうが、ちょこっとでも見てもらいたい展覧会です。
 細かい文章は省きます。適当に会場風景を載せます。作家名を含めて、後日感想文を書きます。


f0126829_22575817.jpg
     (第1室。間延びしている空間だが、強烈なメッセージがある。)

f0126829_2301191.jpg


f0126829_2303458.jpg
     (↑:鈴木涼子。)

f0126829_2312513.jpg
     (↑:第2室。日本人だけ。広くて暗い部屋が、全体でそれなりのハーモニーを生んでいた。)


f0126829_23183258.jpg
     (↑:韓国人の映像の部屋。トリッキーで知的な部屋。)


f0126829_23235185.jpg


f0126829_23243799.jpg
     (↑:天井の高い部屋。その高さを生かした空間とは思えない。もったいない!)

f0126829_23264018.jpg
     (↑:最後の部屋。ここは上掲の建物?を中心にして、中心を避ける空間構成。)


f0126829_23283775.jpg
     (↑:韓国人の作品。黄色、美しくはかなく。涙がでそうだ。)



 韓国人の作品が目を惹いた。日本人との主張の差異が明瞭だった。
 韓国作品は「豊かさ」を前提にしながらも、その「豊かさ」へのこだわりや執着が強い。だから社会性も強く、具体的なイメージとして見れる。強いわかりやすさがある。
 道内人は、平均して軽い。作家自身の美や美的構成に強いこだわりを持っているようだ。
 その違いが「水脈」という言葉でどうつながるのか?
 無理してつなぐ必要はないのだろう。結果として、「今」という時代を強く反映されていればいいのだろう。
 僕自身は韓国作品の強い個性に惹かれた。おそらく、僕が古い人間だからだろう。

 後日、韓国作品を中心に載せたいと思っています。

 



  (②に続く



  

by sakaidoori | 2009-12-12 23:02 | ☆札幌・近代美術館 | Comments(1)
2009年 09月 06日

1091) 近代美術館 「北海道版画協会  創立50周年記念展」 9月2日(水)~9月13日(日)

○ 北海道版画協会
    創立50周年記念展

    
 会場:北海道立近代美術館
    中央区北1条西17丁目   
    電話(011)644-6882

 会期:2009年9月2日(水)~9月13日(日)
 時間:9:30~17:00
    (入館は16:30まで。
     金曜日は、~19:30まで。)
 休み:月曜日(定休日)
 料金:一般・700円 高大生・500円 小学生以下・65歳以上・無料

 主催:北海道版画協会
 共催:(財)北海道文化財団
 助成:日本芸術文化振興会 札幌市 

※ 公開制作&体験講習会 
    ⇒ 9月6日(日) 10:00~12:00 (木版・リトグラフ)
                13:00~15:00 (銅板・シルクスクリーン)

※ 移動展 ⇒ 滝川市美術自然史館 9月26日(土)~10月25日(日) 

ーーーーーーーーーーー(9・5)

f0126829_22102094.jpg


 今展はあくまでも「北海道版画協会」に属している版画家の版画展だ。
 確かに、かなりの道内版画家が在籍し、著名人も多く含んでいる会派だ。今展で今の北海道の版画人の関心をつかむことはできるだろう。

 一方で、属してない版画かも沢山いると思う。
 それに、「版」あるいは「版画」という概念がかなり緩やかに怪しくなっている。写真もお札も版画なのだ。版画を部分的に取り入れた絵画もあるだろう。それも版画といえないことはない。まことに難しい「版」及び「版画」なのだ。現代の機械化学技術が進めば進むほど、「版画」を分類することにむなしくなるかもしれない。作家がある技法を中心に制作している。それがたまたま「版」だから版画家と呼ばれている。そうなるかもしれない。

 だから、版画のグループとは規約の明示に関わらず、こういう展覧会で、そのグループの存在基盤を確かめているのだろう。
 僕らはそれを後追いするのだ。そこに緩やかな枠を見出すだろう。

 
 穏やかに心ゆるりと見ることができた。
 若い作家が少ないせいか、作風一般がおとなしい。
 北海道の風景や空気を背景にしながら、個々の作品を見る思いだ。

 写真を酷使した映像的作品、シルクスクリーン、技法などを実験性に富んだ作品は少ない。
 木版の情念を彫りに食い込ませる、そんな極端な作品もない。
 そういう意味ではバリバリの個性派は少ない。作家と鑑賞者との交じり合う緩い電波、そこを軽やかに歩みながら見ていったらいいのだろう。



 以下、会場風景を何枚か載せます。北海道の空気を楽しめる展覧会だと思う。
 個々の作家はかなり意欲的に出品されている。版画なのにこれ程の大きさをまとまって見る機会は少ないのでは。一人が5点前後の出品ですが、しっかりと構成されていて、その個性を損なわないような展示です。


f0126829_23843.jpg


 第1室は創立期からの現会員、創立会員で現在は非会員、創立会員を含めた協会関係者で亡くなられた作家、そんな方の作品が並んでいます。
 写真は主に非会員や物故会員。単作展示なので、見応えよりも、意外な作家に出会えた喜びがあると思う。僕の場合は北浦晃氏だ。ふりむけばそこにご本人が居られた。図録にサインを頂いた。


f0126829_23171361.jpg


 第1室と次室とを隔てる壁。
 「黒」です。展示は部屋の移動シグナルに「黒」を取り入れている。しかもかなり印象的な作品ばかりです。
 左側、(物故会員)佐藤克教・木版画。
 右側、(現会員)渋谷正己・銅版画。


f0126829_23241560.jpg



 第2室。
 何を見ているかというと・・・、

f0126829_23252299.jpg


 版画の原板や制作道具です。
 日本の職人は自分用の道具を作れるようになって一人前と言われていました。版画家は職人的要素がかなり強い。個々の作家はいろいろと道具には工夫をされているでしょう。


f0126829_23303512.jpg


 次室への移動空間。
 ここにも「黒」です。しかも、右側の作品は今展の僕のお気に入りです。真ん中の「花」の続っぽさと「種のような大地のような黒」の不可思議さ、ミスマッチかグッドマッチか?植物の生命を追求する鳴海伸一・銅版画。


f0126829_23374273.jpg


 鳴海作品の左は第3室。右を向けば・・・4室と5室の境界壁。そこにも「黒」。
 竹田道代・作品。縁取りの黒の分量が不ぞろいだ。おそらく、画題の人体のフォルムと呼応させるためだろう。面白い。が、見る人の好みの分かれるところでもあろう。「普通でいいよ」、「いや、このアンバランスが良いのよ」


f0126829_23434774.jpg

f0126829_2346185.jpg


 第4室。
 やはり今展の一つの華でしょう。
 上の写真の白地に赤っぽい十字の作品、赤いのは人の足形です。村田由紀子・モノタイプ。
 下の写真のピンクのカーテン?橘内美貴子・シルクスクリーン。こういう記念展にこういうお祭り的作品は良く似合う。会場全体が版画特有の暗めの雰囲気に、若さで大きく勝負してきました。


f0126829_23541086.jpg


 第5室の最後のコーナー。
 800円の図録です。

by sakaidoori | 2009-09-06 22:24 | ☆札幌・近代美術館 | Comments(0)
2008年 06月 27日

676) 近代美術舘 ④「北海道 立体表現展’08 」 終了・6月14日(土)~6月22日(日)

 【参加作家】
 阿地信美智  阿部典英 荒井善則 泉修次 伊藤隆弘 柿崎煕 加藤宏子 国松明日香 小石巧 佐々木けいし 下澤敏也 菅原尚俊 鈴木隆 高橋昭五郎 武田享恵 田村陽子 ダム・ダン・ライ 中江紀洋 楢原武正 韮沢淳一 野又圭司 林弘堯 伴翼 藤井忠行 藤沢レオ 藤本和彦 松井茂樹 森川亮輔 山田吉泰 山本良鷹 渡辺行夫
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(6・15)

 当初の予定に反して、4回目の記事です。立体展の回し者かと思われそうですね。個人の発する札幌・美術感想記です。偏りを楽しんで下さい。沢山載せたいのですが、他の展覧会の記が滞ります。一気に最後の報告です。


f0126829_17434391.jpg
 ↑:鈴木隆、「フェイス」・2008年 180×140×210cm 木材・アクリルカラー。
 何と言っても今回はこの作品です。どうだと言わんばかりの顔です。その顔ににらっみこをしている青年がいるではありませんか・・・、というのは嘘で、会場で楽しんでいた青年に、モデルになってもらいました。有難う。全然知らない若者ですが、僕らはフェイス繋がりになったのです。

f0126829_17504692.jpg
f0126829_17535087.jpg














 

f0126829_17555414.jpg
 ↑:野又圭司、「壁」・2008年 250×250×75cm 銅。
 大作のインスタレーション的立体を好んで造る野又君ですが、コンパクトにキリリと輝く作品を持ってきました。
 彼は今冬、北見方面の美術館で個展を予定しています。今はその制作に没頭しているでしょう。男・野又圭司が試される時です。
 今作、小振りだが引き締まったムードが印象的です。何より、「僕の作品は美には無縁だ」と言った彼の言葉に反して、綺麗だ。彼はロマンチストだと思う。その辺をどう乗り越えるかを、その個展で期待したい。


f0126829_1885939.jpg
 ↑:ダム・ダン・ライ、「サークル」・2008年 350×350×400cm 木。
 つい先日まで、殆んど同じ作品がSTVエントランス・ホールに展示されていた。抜群にこちらの方が良い。
 どこが良いかというと、床の作品はほぼ円形に並べられている。この円形が二重・三重になって鑑賞者に迫ってくるのだ。
 全体で一つの祭壇になっている。明快に画家の思想を雄弁に語っている。どう読み解くかは見る人それぞれが思えば良いことだが、ライ君の宗教性がこれほどはっきり表現されたのは珍しい。
 一つ一つのパーツは彼の遊び心の反映でもある。骨と露骨に見てもよいだろう。自然のムードや実景の模写とも見れる。繋がれて一つの世界を共有しようとしている。
 付言。円表現は平等主義と見ることが出来る。円卓会議やストーンサークルにはメンバーの平等感が反映していると。だが、円という形式を組まねば平等が保てないという緊張感も同時にそこにはある。真の平等とはランダムなはずだ。この作品にはそういう、強制にも通じる緊張感が素晴らしい。


f0126829_14123528.jpg
 ↑:柿崎煕、「林縁から」・2008年 15×860×240cm 木(カツラ・アクリリック)。
 柿崎さんの御馴染みの「林縁から」です。現在行われている、芸森の「サッポロ・イズ・ホワイト」にも出品しています。頻繁に見ることができる柿崎・林縁ですから、展覧会の風景になってしまった感じがします。


f0126829_14195495.jpg
 ↑:中江紀洋、「旅の果て(自然律)」・2007~2008年 450×450×150 木(シナ材)・他。
 悶え苦しむ人体や、不気味な黒い歯型で人の苦しみを表現していた中江さんです。「ありゃりゃどうしたことか、何て可愛いお魚さんでしょう」という作品です。
 もちろん、鮭の遡上は産卵による生命の誕生と、雄雌の鮭たちの死という代償が伴っています。中江流生死の表現です。だが、深刻ぶったところはなくて軽い。作家がこういう作品を出す時は、何かの構想の一里塚だ。彼の年齢から来るものか、重く暗く深刻な表現を克服する作品が次は必ず出てくると思う。重たいテーマを、重く表現するばかりが作品ではないだろう。


f0126829_1437164.jpg
 ↑:楢原武正、「大地/開墾 2008-6」・450×450×300cm 廃材にトタン板・古紙。
 我が道を進む楢原さんです。作冬の「存在派・展」では紙を使ってのインスタレーションでした。やや気の抜けた作品でした。やはり、こうきたのですね。
 おびただしい柱状は紙です。御馴染みの柱に釘が打ち込められた楢原・柱はしっかりと一本だけ立っていました。


f0126829_14455290.jpg
 ↑:小石巧、「森・環」・2008年 400×200×200cm 木。
 小石さんは無言でいるとちょっと怖い顔をしていますが、面白い人です。
 自分の作品に首を載せて、ポーズをとっての記念撮影。写し終わると、「どうだ、どうだ、晒し首みたいだろう」と、一人はしゃいでいるのです。たまたま脇で、その光景を撮ったのですが、モニターで晒し首風にアップしてご本人に見せると、すこぶるご満悦。その写真掲載の許可を貰い忘れたので、見せれないのが残念です。
 作品は日を背中に浴びて、木のウエーブ・ラインが見せ所です。立っている作品よりも、無造作に転がしている作品の方が、目に優しく、さわり心地がシャープです。


 なぜだか非常に楽しい展覧会であった。テーマ無き展覧会も良いものだと、一人悦に入ってしまった。


f0126829_14585767.jpg
 ↑:近美の中庭。ポプラの種が夏雪のようだった。

by sakaidoori | 2008-06-27 18:32 | ☆札幌・近代美術館 | Comments(0)