栄通記

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カテゴリ:☆三岸好太郎美術館( 3 )


2009年 02月 18日

913) 三岸美術館 「常設展&おばけのマールと小さなびじゅつかん」 1月23日(金)~3月27日(金)

○ 常設展 三岸好太郎の世界
         旅愁 -ロマンチストが見た風景


○ 特別展 おばけのマールと小さなびじゅつかん
 
 会場:三岸好太郎美術館
    中央区北2条西15丁目
    (東西に走る道路の南側)
    電話(011)644ー8901
 会期:2009年1月23日(金)~3月27日(金)
 休み:月曜日(定休日)
 時間:9:30~17:00
 料金:一般500円 高大生250円 中学生以下無料
     (毎週土曜日は高校生無料。)

※ 第144回 ミニ・リサイタル⇒2月21日(土) 14:00~
           大家葵(ピアノ) 麻尚子(ソプラノ)

※ 第145回 ミニ・リサイタル⇒3月14日(土) 14:00~
           円山真麗子(ヴィオラ) 椎名榛名(フルート)   
      
ーーーーーーーーーーーーーーー(2・18)

 僕は絵本は好きだ。特に言葉が少ない絵本が。だが最近は意識して絵本の世界に自分を置いてはいない。
 僕は「マール・シリーズ」を知らない。知らなくて今回の特別展示を見たのだが、美術展としてはなかなか見せる工夫をしていた。そして、「おばけのマール」のファンになってしまった。
 美術館の一画が保育園のようになっていた。しかも大胆だ。美術館の学芸員は演劇の舞台装飾家だ。表現者の意図をささえるマネージャーのようなものだ。是非彼等の努力・工夫・拘りを大人は500円、大学生は250円払って見に行って欲しい。一般人にとってはいつもとは違う美術館の雰囲気料として、大学生にとっては美術やデザインの授業料として訪問して欲しい。高いか安いか?それは見てのおなぐさみだ。

 1階の一部屋が「マール」用の特別展示です。当然、原画の展示です。見開き2頁の絵本の世界を原画で構成し、その原画の廻りを大胆に拡大された絵が覆っている。見た瞬間、「オー」と後ずさりして、原画と装飾画を何度も見比べてしまいます。
 そして天上には・・・。
 僕の文章では理解しがたいでしょうから何枚か展示風景を載せます。シンプルで大胆な学芸員の工夫とエネルギーを確認して下さい。


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 たった一部屋なのに少し載せすぎました。(原画のアップは避けます。)
 こんな会場で人のいないのは寂しい。愛妻の登場ですがお許しを。

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 (続き。常設展の三岸作品を1,2点載せます。)

by sakaidoori | 2009-02-18 23:37 | ☆三岸好太郎美術館 | Comments(1)
2008年 12月 25日

864) 三岸美術館 「所蔵品展第3期 三岸好太郎の世界 ~三岸の魅力再発見」 11月1日(土)~1月18日(日)

○ 所蔵品作品展第3期 三岸好太郎の世界
    ~三岸の魅力再発見
 
 会場:三岸好太郎美術館
    中央区北2条西15丁目
    (知事公館北側。入り口も北向き)
    電話(011)644ー8901
 会期:2008年11月1日(土)~1月18日(日)
 休み:月曜日(定休日)
 時間:9:30~17:00
ーーーーーーーーーーーーーーー(12・)

 常設展です。
 それなりにここは見ているほうですが、初めて見る作品も展示されていました。三岸ファンでしたら、チョッと顔をだしても損はなさそうです。

 それと今展の展示にはいつもとは違う工夫があります。
 作品の横に参考資料として写真作品を展示して、作品をより深めようとしています。確かに面白い。一方で、活字がどうしても多くなるので、絵画それ自体を楽しむには目障りかもしれません。公共美術館が教養としてのビジュアル展示にチョッとチャレンジということでしょう。 

 色々と面白いパターンがあるのですが、「海」と「ピエロと花の共通構図」を載せます。


○ 「海」シリーズ。1933年~34年。

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 (↑:「海」・ともに1933年~34年制作。)

f0126829_1113039.jpg 展示解説には二つのことを指摘しています。
 絵画の面白発見という意味で、上の作品のサインに注目しています。「S.Migishi」と描かれています。これは好太郎の妻の節子の自筆によるものです。彼女が売る時に書き添えたのです。
 次に、絵画上のことで水平線の位置の変化や海と空だけという構成上の研究。それと、次の「貝殻シリーズ」や「海上を飛ぶ蝶」の連作への予兆を見てます。

 ところで、この「海」の連作は現在までに6点しられていて、当館『館報NO.18・(2001年12月)』で当時の主任学芸員の苫名真・氏がその制作時期の特定という作業を通して、制作時期の好太郎の意図やこの海の意義を語っています。
 結論から言うと、1933年~1934年かけて。「断定は出来ないが・・」という前書きで、1933年10月~翌年の3月以前と推論しています。
 そして、「1933年の前衛的実験をくぐり抜けた後に、再びフォーブ的表現に立ち戻った」ということになります。
 苫名氏は三岸の画業を基本的にはフォーブ的なものとして捉え、それが全面に押し出される時期と、絵画上の研究が強い時期との変遷として捉えています。この場合のフォーブという言葉は感情爆発的表現というよりも、ロマンチック漂う情緒的なものと理解したほうがわかりやすい。

 苫名氏の三岸研究ばかりを書いてしまった。そのことが言いたかったのではないのです。美術学芸員が考古学の研究者のように、作品をなめるようにして接する態度、そのことが驚いたのです。たった6枚の作品が、地層(人生)のどの当たりかを比較確認していく、相対年代を細かく推論する。そこから導き出される総合的な見識、推理小説を読むようなワクワク感がその研究ノートにはあった。優れた発表というものは、そういうものだろう。(説明文と参考写真との整合性が悪く誤植もあり、読みづらかったのが残念。簡明な文章で良い論文です。)

f0126829_12125576.jpg ちなみに、「海」を描く頃の好太郎はサインをフランス風に描く癖があったそう。末尾は一定しないが、「gi」→「gu」と描くのです。下の作品のサイン、分かりにくいので画像処理しての掲載です。
 「K.Migishi」とあります。苫名氏は自筆を疑っています。売る人がサインの無い絵は名画にあらず、と思って書き加えたのでしょう。



○ 「ピエロと花の構図」

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     (↑:写真による参考作品。「道化役者」・1932年 222.2×167.2。)
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     ↑:「白百合」・1932年。

 この「白百合」を見るのは初めて。
 同年に描かれた大作との構成上の類似を指摘しています。本当に似ている!画家29歳の時です。画題もサイズも違っているのに、似た絵を描く。若い時にこそできることでしょう。

 彼の才能のは認めるが、こういう似た絵を目の当たりにした時に、これからの人でもあったと強く思う。もっとも時代は自由なロマンチシズムを認めない空気が強くなっていった。戦争が終わって10年は長生きしないと、彼の更なる魅力は発揮できなかっただろう。
 突然の病による死ではあったが、妻・節子は自殺と同じ感覚で捉えている。彼の死で彼女自身は「自分は生きれる」と悟った。そういう男があの時代に後20年生きれたか?自由奔放にしたいことを手掛け、向こうの世界に勝手に行ったのだろう。悔いが残るとすればフランスの地を踏めなかったことだけだろう。妻と息子がその代わりをしてくれた。


 今展はこんな工夫が一杯。また見に行こうと思う。初見の作品は載せるかもしれない。

 
 

by sakaidoori | 2008-12-25 23:45 | ☆三岸好太郎美術館 | Comments(0)
2008年 01月 20日

482)三岸美術館「常設展&第135回ミニ・リサイタル」 10月27日(土)~2008年1月20日(日)

○ 平成19年度 第135回ミニ・リサイタル 1月の予定
 出演:大島さゆり(フルート)
    本間あづさ(ピアノ)
 演奏:グルック「精霊の踊り」
    ショパン「ノクターン 第20番嬰ハ短調(遺作)」他
 
 会場:三岸好太郎美術館
    北2西15・北向き
    電話(644)8901
 会期:2008年1月19日(土)
 時間:14:00~
 料金:美術館入場料 大人・450円 高大生・220円

○常設展 「ブルー・グリーン・グレー―北方(きた)の色彩」 

 会期:2007年10月27日(土)~2008年1月20日(日)
 時間:9:30~17:00
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 久しぶりにミニ・リサイタルに行った。
 ピアノとフルートのお二人。沢山のお客さんだ。当然、今年最高の大入りだろう。2階のベランダのような処で聞く人、会場内のあちこちの常設の椅子に座って聞く人、僕のように2階に行く階段に座って聞く人、適当に立ちながらうろうろして聞く人と、定席以外に人がたむろしていた。
 演奏家は二人とも若い女性で、しっかりと正装していていた。僕は階段に座っていた。その目の前を花道のようにして、背中を開けた演奏家が凛とした姿で通って行った。

 休憩を挟まないで一気に45分ほどでエンディングだ。いつものようにトークもアンコールも無く若干の寂しさがあるが、これがここの流儀だ。仕方がない。

 二人の経歴当日のプログラムを張っておきます。音楽を聴くだけならば何処にいても構わないのだが、演奏家を目に入れていないと記憶から消えていきそうだ。何と言ってもライブという実感が薄い。時間ギリギリに行ったから仕方がない。

 曲は聴いたことがあるかどうかはわからないが、オーソドックスなクラッシックで聞きやすかった。きれいな曲、流れるような曲、アルゼンチンを主題にした曲もあった。どこかジャズ的なアレンジ感だ。ダラー・ブランドの黒人ピアニストを思い出した。もっとも彼はアフリカン的要素が強いのだが。

 フルートの「ハンガリー田園幻想曲」・ドップラー作曲でエンディング。日本人好みの曲だ。フルートはもっとこもった音色と思っていたが、綺麗で哀愁に満ちていた。

        ~~~~~~~~~~~~~~

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 ↑:三岸好太郎、「鷺宮(さぎのみや)風景」・1931~1932年。

 音楽会の後、常設展の鑑賞。展覧会名は付いているがオーソドックスな編年展示。
 写真の作品は初めて見る。制作時期は1931~1932年。札幌での風景画、「大通公園」「水盤のある風景」「植物園」を書いた時期の手前辺りだ。それらの風景画が一気に対象に迫るという画法だ。リズミカルな生命感、躍動感、静かに対象に魅入らせるというもので、才高い作品だ。それに比して、「鷺宮風景」はじっくりと書き込んで、構成なりを研究しているという感じだ。俗に三岸の作品を感情的要素と構成的要素で語る場合があるが、札幌のと鷺宮の風景画がそれに対応していて面白い。「ゆれる三岸」の面目躍如である。

 それと、鷺宮は三岸が晩年にアトリエを建てようと構想を練った地だ。その鷺宮で好太郎の告別式が独立美術協会によって執り行われた。結局、節子が好太郎の願いをかなえて、無事建て終えた。築造時のままかどうかは知らないが、現在でもそこにはアトリエがある。
 ふと、三岸夫婦にとって鷺宮はどういう意味があったのかを手持ちの資料で探ってみた。残念だが、深い考察はしていない。会場には鷺宮とアトリエに関する小さなキャプションもあったが読み忘れた。「三岸の住まい考」などを考えてしまった。機会があれば関係者に鷺宮のことを尋ねてみよう。

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by sakaidoori | 2008-01-20 22:33 | ☆三岸好太郎美術館 | Comments(6)